概要
クレーター (crater) とは、天体衝突などによって作られる地形である。典型的には、円形の盆地とそれを取り囲む円環状の山脈であるリムからなるが、実際にはさまざまな形態がある。
- お椀型
- 底が半円型で平地がない
- 皿型
- 平坦なクレーター底を持ち一重のリムに取り囲まれている
- 中央丘付きの皿型
- 盆地の形成により圧力が解放されることにで地下の物質が上昇し、それがクレーターの中央で収束して中央丘が形成される
- 中央丘はクレーターの規模が大きくなるにつれ単峰→不明瞭な広い峰→同心円型と変化していき、最終的にリムと区別ができなくなり多重リムクレーターになる。このためきれいな単一の中央丘を持つクレーターは特定規模のクレーターのみに見られる
- 多重リムクレーター
- 非常に大きいクレータ-ではリムが波紋のように同心円状に並んだものになる。水星のカロリス盆地や木星の衛星カリストのバルハラクレーターが有名
主に隕石・彗星・小惑星・微惑星などの衝突でできるが、核爆発や大量の火薬などの爆発でも同様の地形ができる。
木星・土星・天王星・海王星は、固体表面がないため、クレーターはない(Wikipedia)。
地球にも固体表面があるためクレーターは存在するが、地球に衝突する天体のうち小さいものは地表に到達する前に大気圏中で爆散するため、一定規模より大きい天体でないと地表にクレーターを残すことができない。またクレーターが形成されても活発な気象現象で風化し残存しにくいため、地球は固体表面を持つ天体の中で比べるとかなりクレーターの少ない天体となっている。
クレーターは衝突体が直接物質を排除してできるのではなく、高速の衝突により莫大な位運動ネルギーが瞬時に開放されることで爆発が生じ、その爆発で地表の物質が吹き飛ばされることで間接的にクレーターが形成される。このため比較的低エネルギーの衝突で生じる「弾痕」とは本質的に異なる現象となる。火薬の爆発でも衝突と同じ形のクレーターが生じるのはこのためである。また、クレーターの形状は爆発が生じた地点を中心とした円形になるため、垂直に衝突しても浅い角度で衝突しても常にほぼ円形のクレーターが生じる。また、衝突速度に応じて、衝突体の物理的サイズよりはるかに大きなクレーターが形成されうる。古く(19世紀以前)は高エネルギー衝突実験を行う技術もなかったことから、クレーターは弾痕と相似の現象と誤認されており、月の衝突クレーターのほとんどが円形をしていることは大きな謎とされていた
火山地形のカルデラと混同されることもあるが、カルデラは火山の地下にあるマグマ溜まりが空になった後にその上層が陥没して形成される地形なので、爆発地形であるクレーターとは形が少し似ているだけで、共通点は少ない。
転じて、近年では酷いニキビ跡のことをクレーター肌とも呼ばれる。