紀ノ国寧々
きのくにねね
眼鏡におさげ髪で、クールな顔立ちの女子生徒。
上位5名が3年生で占められている「遠月十傑評議会」において、2年生としては最高席次の第六席に座しており、その実力も別格の料理人。詳細は描かれていないが、中枢美食機関主催の残党狩り食戟においても圧勝している。
「江戸そば」の流儀を現代まで継承してきた神田のそば屋を実家に持ち、自身の必殺料理(スペシャリテ)のジャンルも蕎麦。その腕前は薙切薊をして「テキストブック」と言わしめる程であった。
同じ十傑の中でも、元・第七席である一色慧とは深い因縁があり、出会った当初は仲良くしていたが、次第にそれは彼に対する対抗心へと変わってしまう事になっている。
常に冷静で理知的な口調で話すが、機嫌を損ねるとボソッと「死ね」と毒を吐く。一方、反逆者側への罵詈雑言をやめさせたり、「公平な勝負をしたい」と対戦相手の創真にお題のくじを引かせるなど、現十傑はもちろん作中ではかなりの常識人の部類。しかし可憐な容姿やサディストじみた言動から学園内にはコアな男子ファン達がおり、彼女の「死ね」の一言で快感を覚えている様子。
幼い頃から「和のエリート」としてそば作りに必要な技術を始め、日本舞踊・書道・薙刀等様々な日本文化の稽古に明け暮れており、要領はどちらかというと悪い方であったらしいが、地道な積み重ねを厭わず、技術を磨く事を好むタイプの為、それら全てを己の血肉にしている、所謂「努力型の天才」である。
一色慧とは、互いに4歳の時より、自分達の家のしきたりに従う形で共に生活していた時期があり、当初は実家から離れて暮らす事になった彼に優しくしようとしていた。しかし、要領の悪い自身と対照的に一色は何でもすぐにこなしてしまっていた事への苛立ちから、次第に自分が彼とは違い「凡人」であると思い込むようになった結果、一色に対し逆恨みに近い妬みを抱く様になってしまい、現在でも彼に対し、並外れた対抗心と敵意を抱いている。
一色との関係について、寧々自身はあくまでも「居候して修行してただけ」と評しているが、美作昴の十傑イメトレの寧々の一色に対する態度は完全なツンデレキャラであり、飄々とした一色の態度への苛立ちは、「親しくしたい」、あるいは「好敵手として競い合いたい」と言う想いによるものなのかもしれない。
連隊食戟では幸平創真と対戦。創真がよりによって「そば」をお題として引き当てたことにより、自身も含めて会場の誰もが寧々の圧勝を信じて疑わなかった。それ故に、創真に対しては殆ど眼中に無く、自身が調理中であるにも拘らず白津樹利夫と対戦していた一色に対し、2nd BOUTで自身と戦うよう挑戦状と叩き付けようとするのだが、当の一色からは「君はその前に幸平創真という料理人に負ける」と、逆に自身の敗北を宣言されてしまう。
そして彼女が完成させたのは、喉ごしに優れた一番粉をふんだんに使用した麺に桜エビのかき揚げを添えた冷蕎麦であり、彼女がこれまでの人生で積み上げてきた蕎麦作り技術の集大成と言えるものだった。
だがしかし、寧々の調理における作業工程にこそ落ち度は無かったものの、実はこの対戦において寧々の作った蕎麦には致命的な弱点が出てしまう事になった。生まれ育った東京と違い、日本でも北方にあたる礼文島での気温と湿度が低かったのが原因で、一番粉で作り上げた自らの蕎麦は風味を殆ど失ってしまい、逆に喉越しの質は低くとも風味が強調された三番粉を使い熱と油まで加えた創真の蕎麦の方が強い風味のある物となってしまったのである。
それでも寧々は、創真の蕎麦の風味が強いのは「ただの偶然」と断言し、断固として自らの失敗を認めようとしなかったが、それを聞いた一色から偶然ではないと否定され、更に自分の最大の敗因が、他ならぬ自分自身の料理人としての姿勢にあった事を痛烈に批判されてしまう事になった。
寧々はあらゆる技を実直に学んでいく事で、その腕を上げていたのだが、それは裏を返せば、「そうすればよい」「そうしていれば間違いない」とただ教えられたことを繰り返しているだけに過ぎず、「なぜそうしなければならないのか」と物事の本質に目を向けることをしないまま成長してきたのである。
その事実に気付いていた一色からは、「料理として重要な『食べる人間を楽しませる』という要素に目を向けていなかった時点で、君は創真君に敗れていたんだ」と指摘され、対決前からその点を考慮に入れて調理していた創真に『香り』の面で差をつけられた形で、3-0で敗れた。
しかし、料理人として一番大切な要素が抜け落ちていたにも拘らず、今回の敗北に至るまで寧々は遠月で大きな失敗をする事無く、十傑の2年組のトップに上り詰めていた事実を考慮すると、寧々もまた一色に及ばないながらも「家柄と才に恵まれた料理人」の一人であったのかもしれない。
もはや言い訳の出来ない現実を突きつけられた寧々は、「なぜ食戟という場において実力以上のことにまで目を向けられるのか」という彼女の問いかけに対し、「客相手なら毎日が真剣勝負でしょ、(他のことも考えることが)出来て当然っすよ」とあっけらかんと答える創真。
そこで彼女はようやく、実力以外にも目を向け臨機応変に対応しなければならない「『客という相手』に行う食戟」を毎日こなしてきた創真に、料理人として敵わないことを悟ったのだった。
その後の4th BOUTでは、一色と司瑛士の対戦を観戦しながらも、相変わらずな飄々とした調子で料理する一色に苛立ちを覚え、「天才は良いわよね。凡人の気持ちなんて分からないんだわ。」と愚痴を溢しており、それでも態度を崩そうとしない彼の態度が自分を馬鹿にしているという被害妄想にとらわれた寧々は、遂に我慢出来なくなって、これまで押さえ込んでいた感情を爆発させてしまう。
しかし、そんな寧々に対し、一色は寧々の存在が無ければ料理そのものをやめていたのかもしれないという事実や、技術を実家でどんなに身につけても完璧主義を押し付ける家族の誰からも認められず、料理をやめようとしていた日々、そして要領が悪くても心の底から料理を楽しんで技術を積み重ねる寧々自身の姿から、料理を楽しいものだと初めて理解できるようになったという本心を打ち明けられる。
そして一色に「ボクはキミを尊敬している………!」という言葉を送られたのと共に、かつて料理を楽しんでいた頃の気持ちを思い出してほしいという心からの想いを受けた寧々は、涙する事になるのだった。
進級後は十傑に復帰し、現在は第九席。髪型もおさげからストレートなロングヘアーに変わった。
創真の父・城一郎が元・第二席と聞くと「どうりで(創真が)強いわけだ」とまたしても愚痴をこぼしていた。
毒を含んだ物言いは相変わらずどころかきつめになっているが、一色には若干物腰が柔らかめになっている。
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