美作昴
みまさかすばる
料理人としての技術や分析面では非常に優れている反面、食材や道具への敬意は一切なく、目に掛けている叡山ですら、「料理人としてはクズ以下」と評している程。
食戟においては、ストーカーまがいの手段で相手を徹底的に調べ上げる事で、相手の出す料理を分析し、同じ材料や調理道具を使って相手と同じ料理で勝負する事をスタンスとしている。ただし、単純に真似するだけではなく、自らのアレンジを加えた上で相手の料理を超えた形で自らの料理を完成させている。なお、これは相手の料理と比較(似た料理を食べることで差異がわかりやすい)することで深みや印象を強調するものであり、例えば最強の料理人の料理をコピーするより対戦相手をコピーするから意味がある手法である。
この驚異的な分析力から「キング・オブ・ストーカー」の異名を得ており、また本人はこの一連の流れを『周到なる追跡(パーフェクト・トレース)』と呼んでいる。
表立ってないが敢えて彼の弱点を挙げるのなら、彼のスタイルは極端なまでに食戟=料理勝負において特化しているため、紅葉狩りなどの様に、長時間常に同じクオリティの維持、作業の連続と言う「店を出す」行為には不慣れな事(それでも大きなミスを犯さず長時間やり抜いている)。
実家は名のある洋菓子店で、12歳の頃には実物を狂いなく模倣する才能の片鱗を見せていたが、オリジナリティを一流の能力とする父親からはまったく評価されていなかった(しかし、模倣も技術の一つと見れば、ほぼ情報のみの状態で的確に料理を再現・改善するというのも、実際には凄まじい才能である)。
余談だが、流石に学生の美作にも限界はあり、技術はコピーできても道具ばかりは入手するしかなく、入手困難な特別な道具の所有者相手には分が悪い。後述の斎藤戦では、大振りのマグロ解体用の包丁は、逆に美作の能力と実力を認めて道具を貸した事で解消されている。しかし、特殊な調理器具を駆使し、貸す性格でもないアリスが相手の場合は興味に尽きない。
かなり強面の外見をしている反面、『微に入り細を穿つ』を座右の銘とする用心深い性格で、刺繍に勤しむ乙女の幻影が浮かび上がる程の器用な手先と繊細で丁寧な仕事が強み。乗っているバイクにも入念な防犯対策を欠かさない。
しかしその本性は卑劣そのもので、勝利を得る事への執着心が異常なまでに強く、標的に定めた相手の素性を徹底的に調べ上げたうえで、相手を挑発、恫喝し、食戟に引きずり込む。
これは実家の新作品評会で「父に評価され、褒められたい」という一心で父の特別料理をたった一点の改善であっさり超えてしまい、プライドを傷つけられた父に厄介払い同然に遠月へ編入させられた過去によるもの。
この時彼は「父は自分を追放したのではなく、息子の俺から逃げ出した」と解釈(実際その通り)し、彼は料理によって他者を超えることがこれほどまでに簡単なことなのだと悟ると同時に、相手を蹴落とすことの悦楽を知り、信念を嘲笑し他者の絶望を楽しみとする外道へと変わってしまったのである。
勝てば負けた相手から料理人の命とも言える包丁を奪い、相手のプライドをズタズタにした上で勝利を収めている。これまで99回勝ち、過去の食戟ではある生徒から、亡くなった母の形見の包丁を高笑いしながら奪い取ったという話があるなど、まさに外道極まりない(創真との決着後に包丁が返された中で、ある女子生徒が親の形見であるという包丁を受け取り創真に礼を述べていたが、おそらくはそれだろうか)。
反面システムを悪用しているものの勝負自体に不正は無く(相手の行為を先読みして煽ってはいるが、暴言や煽り自体は他の生徒も割とやっている)純粋に相手より美味い料理を作り、手を抜かないと言う点では正々堂々としている。
その姿勢から審査員からも嫌われているが、正当な評価を受けられない事で歪んでしまった哀しき悪役でもあり、奪った包丁に関しても壊したり杜撰に扱うわけでもなく原物のままきちんと保管していたりと、腐っても料理人としてのプライドは捨てていないといえる(たんに勝利の証と言うコレクションゆえかもしれないが)。
創真の方も(後々他の人物からも正当な評価をされるが)彼の能力と努力自体は好評価しており、料理人としての真の喜びを知らない彼を憐れみ、罵るどころか料理生命を懸けて手を差し伸べている(後に、このことに対して恩義を持っていたことが判明する)。
そして、敗北し味方になった後はそれらの歪みやわだかまりが綺麗に解消されて「美作っち」と呼ばれるほどに仲良くなっており、要所要所で「頼もしい」とたたえられた。
2学期に1年生の選抜メンバーで競う「秋の選抜」本戦でタクミを徹底的に調べ上げ、愛用のメッザルーナ(半月包丁)にガムを吐き捨てたうえ、弟のイサミを馬鹿にするなど挑発し、タクミを激怒させ、食戟に引きずり込ませた。そして、タクミの作った料理を完全に分析した上でアレンジも加えた料理を完成させ、自らに嫌悪感を示した審査員達が認めざるを得ない形で勝利を掴み、タクミからメッザルーナを奪い取った。
しかし、準決勝では創真が次に作ると宣言したビーフシチュー対決で、創真の作った料理を完全に分析し、アレンジを加えたにもかかわらず、調理が始まってからも料理の推敲をし続けていた創真の味を超えることが出来ず敗北。今まで食戟で奪い取った包丁を過去の対戦相手に返還し、料理人を辞めると宣言して潔く遠月を去ろうとするが、創真の「1回の敗北くらいでは何も決まらない」、タクミの「次は絶対負けない」という檄を受け、思い止まった。
学園祭編では、その時の借りを返すべく創真の屋台の助っ人として参上。タクミとも共闘し、仲間の一人として認知された様子である。
しばらく出番はなかったが、連隊食戟にて久々の登場。創真の頼みを受けて今まではセントラルの進級試験を普通に受けていたが急きょ反逆者側として参戦。
二回戦で天才寿司職人である斎藤綜明と鮪で対決することになる(寿司職人相手に鮪対決になったアンラッキーっぷりは創真以上と吉野から驚愕された)。
しかし、この日の為にセントラル全員の模倣に心血を振り絞って来た美作は、トレースに更なる磨きがかかり、相手とのタイムラグを一切生じさせず全く同じ速度で調理する「周到なる追跡・閃(パーフェクトトレース・フラッシュ)」という大技を編み出し、斎藤と完全に同じ調理を披露した。
そして美作は斎藤が料理を試行錯誤する時間を久我のサポートに使い、彼の料理の決め手となる燻製醤油を調合、さらには己のアレンジ寿司の鍵として活用した。
勝敗の結果は、斎藤の料理を「己自信と闘っていた」と言わしめる程のクオリティながら、斎藤の料理である小玉寿司に対して隠し包丁を"普通の寿司"と同様に入れてしまったこと(ネタが溶けるのが早すぎて味の余韻に浸ることが出来ない)が仇となり敗北してしまうが、斎藤からは「己を責めることはない」と称賛交じりに労わられる程の健闘だった。
事前に入念な調査と実験と言う工程が必要な美作にとって、目の前で再現しようとぶっつけ本番で経験が物を言う領域で挑んだのはある意味で相性が悪過ぎたと言える。
だが奴の本気はここからだった。
敗北後は十傑をトレースした経験を元に残存反逆メンバーの練習相手になる事を申し出る。過労で老人の如く憔悴しきるまで付き合った甲斐もあり、タクミは『叡山の妨害料理をさらに裏をかいて前座扱いする程のストーカー調理』、創真は『遠月入学からの料理経験全てをつぎ込んだ渾身のバター料理』で勝利をもぎ取っており、まさに審査員らから『反逆軍最高戦力の一人』と評されるにふさわしいアシストぶりであった。
かつて父親に唾棄され、他者の足元を掬うためだけに振るわれてきた彼の『己を持たない料理』は、創真との食戟やその後の交流を経て、『無我の境地』と言っても過言ではない献身性へと昇華していたのである。
ストーカーどころか守護霊です本当にありがとうございました。
実は、連帯食戟後に十傑への招待が来ていたようだが『俺はまだその域にない』と頑なに断り、『トレースだけに頼らない自分の皿をつくりあげることが出来た暁には叡山から席次を奪う』と本人の前で宣戦布告をしている。
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