「700形」の形式を名乗る車両は複数存在するが、ここでは主要なものを取り上げる。
京浜急行電鉄700形
初代700形は京急初のカルダン駆動車として1956年に登場。2扉セミクロスシート車として特急運用をメインに活躍した。1966年に600形に改番され形式消滅。⇒600形の記事を参照
2代目700形は京急初の4ドア車として1967年に登場。4両固定編成21本が製造された。
2005年までに引退し、先頭車22両は高松琴平電気鉄道(ことでん)へ移籍し同社の1200形として現在も現役。
京阪電気鉄道700形
京阪電気鉄道における「700」という形式は「700系」などを含めると3代目にあたる。700形は、石山坂本線をはじめとした大津線系統の直流1500V電化への昇圧に対応させるために1992年に登場。書類上は「新造」の扱いになっているものの、車体は1次車2両編成2本については350形のものを、2次車2両編成3本については260形改造の500形のものを流用したものである。つまり、車体は1960年代のものが現役ということになる。
上毛電気鉄道700型
上毛線で使用していた東武鉄道の中古車の置き換え用として登場した京王電鉄3000系の改造車で、1998年から使用している。2両編成8本。
広島電鉄700形
(右下。2代目700形)
初代700形は1938年から使用していた500形を戦後に改造工事を行ったことで改番したもの。1980年までに引退した。
2代目700形は1982年に登場した全長13.5mの単車体構造の大型ボギー車。1985年までに14両が製造され、以降の増備は800形へ移行した。
西日本鉄道700形
車体は同時期に製造された600形(2代目)と同じであるが、のちに特急形車両として登場した2000形の試作車両として2両ユニット電動車方式、4両固定編成とした。1972年に1編成のみが製造され、2006年に廃車になるまで活躍。
名古屋鉄道700形
旧名古屋鉄道(後の名岐鉄道。現在の名古屋以西のエリアに相当)デセホ700形として1927(昭和2)年に10両が製造された。半鋼製14m車体で、当初は名古屋市電乗り入れのためパンタグラフのほかにトロリーポールも装備していた。1927年11月には地方鉄道初のお召列車としても運行された。さらには高山本線下呂駅までの直通車両としても運用され(高山本線内は蒸気機関車に牽引)、車内は半分を畳敷きに改装した。戦後は小牧線・広見線・各務原線で運用され、ほとんどの区間が昇圧されたのちは瀬戸線に集結されたが、最終的には揖斐線と谷汲線で運用された。1998年に廃車され形式消滅。谷汲線最後の主となった750形は同形式の改良型。なお、瀬戸線転属までに廃車になった車両のうち2両は福井鉄道に、4両は北陸鉄道に譲渡された。