概要
体長数㎜の小型の昆虫。羽を持たないことから原始的な生物と思われがちだが、実は完全変態を行う高等な虫である。吸血性であり、種類ごとに様々な動物の血を吸う。その習性ゆえに動物の持つ病原菌を媒介することがあり、中世ヨーロッパではネズミを中間宿主としてペスト(黒死病)を大流行させ、何万もの死者を出した。
昆虫の中で最も跳躍力に優れており、体長の60倍もの高さまでジャンプすることが出来る。バッタも単純距離では勝てるが、身長比では蚤の相手ではない。
しかし、相手に飛びつくことしか考えていないため、着地は不得手で、飛びつくことに失敗した場合、必ず地面に転がることになる。もちろん、強靭な外殻と体の軽さで、ダメージを負うことは無い。このことはトリビアの泉でも紹介された。
人の文化との関わり
瓶に閉じ込めておくと、跳躍しても瓶の蓋に何度もぶつかってしまうことにより、「自分の跳べる高さはここまで」と思い込み、外へ出した後も瓶の高さまでしか跳べなくなる。
しかし、別のノミと一緒に置いておくと、自分より高く跳ぶ同類の姿を見て、やがて元の高さまで跳べるようになる。
この話は「無意識に自分で限界を決めてしまう」ことへの戒めとして、しばしば引き合いに出される。
また、この習性と人間の息に含まれる二酸化炭素による反射行動を利用した「ノミのサーカス」という出し物がパリで17世紀ごろにはおこなわれていたとされ、ルイ14世も見物したと伝わる。現在ではDDT散布で演者がいなくなったためにすたれている。
操ることができる小型の虫ということで、創作においては『ダーティペア』や、フランス映画『ロスト・チルドレン』などで毒を持たされ生体兵器として使われた。