概要
両腕にエネルギーをチャージした後、両腕を十字に組んでエネルギーをスパークさせることで放つ。
早い話が、ジード版スペシウム光線である。
発射の構えも初代ウルトラマンと同様、腰を低く落とした姿勢で放つが、初代ウルトラマンは指の先まで真っ直ぐ伸ばした状態(さらに言えば、指を軽く反らせている)で構えを取っているのに対し、ジードは指を完全には伸ばしきっていない状態で構えを取っている。
詳しいポーズに関しては後述の公式動画も参照のこと。
光線のエフェクトは、スペシウム光線の周りを赤黒い稲妻(闇のエネルギー?)が走るというウルトラマンオーブ・サンダーブレスターのゼットシウム光線に近いものになっている。SEもベースにスペシウム光線と同じものが使われている。
『ウルトラファイトオーブ』での先行登場時に初使用し、(既に瀕死の状態であったとはいえ)不死身のレイバトスの肉体を跡形もなく消滅させるほどの凄まじい破壊力を見せた。
初変身を行った第1話では「指示がなくてもやり方は知っているはず」というレムのアドバイスを元に、自身に眠る記憶を頼りに使用し、スカルゴモラを撃破した他、続く第2話ではスカルゴモラの突進を押し止めながらチャージし、倒れ込みながらゼロ距離から照射して相手の身体をぶち抜くという荒業を見せ、見事スカルゴモラを完全に粉砕することに成功した。
第17話では、キメラベロスに羽交い締めにされたなかレッキングバーストを使用し、発射の反動を利用して月面から脱出し、地球へと帰還するという荒業を見せた。
その高い威力から、まだ戦闘能力の低いプリミティブが最後の逆転の切り札として使う場面が多い。
ただ、同時にその高すぎる威力故に発射を躊躇したり、新たなフュージョンライズ形態や新武装が登場したことで使用する機会がなくなってしまうという憂き目にも遭っており、最終話までの第24話中使用回数がたったの4回(未遂が1回)という基本形態の必殺技としてはかなり使用回数が少ない光線技となっている。
もっとも、その分使用した時のインパクトは非常に大きなものとなっているが。
そしてそんな使用回数の少なさが嘘のように最終回では大活躍。
ゼガンのゼガントビームと反応させブラックホールを作り、ベリアルを放逐する・全フュージョンライズ形態の同時攻撃・そして父との最後の対決の際に引導を渡す…と複数回にわたって使用された。
『つなぐぜ!願い!!』でギャラクトロンMK2相手に使用した際も、1度目は決定打とならなかったが、2度目はギャラクトロンMK2を組み伏せる形でゼロ距離射撃を行いなんとか倒すことに成功している。
こうして基本形態の必殺技でありながら、直撃しても全く効かなかった相手がいないという戦績を持つに至っている。
ただ、第1話・2話(というか前半の怪獣カプセル関係)のジードの戦いは「怪獣を倒させてもらっていた」ため、周りの思惑抜きで明確にレッキングバーストが決め技となった呼べるのは最終回の最後の最後以降という、こちらの方面でも必殺技としてはかなり異色の存在である。
また、レイバトス戦の使用と戦績は実際には違った可能性も最終回で示唆されている。
なお、未使用回を除けば結果的に坂本監督担当回でしか使用していないことになる。
余談
この名前を最初に発したのはレム。さらに、レムはこの光線のことを「光子エネルギーの放出」と表現していた。
ちなみに、「レッキング(wrecking)」は「ぶち壊す」という意味の英単語。悪の戦士の血を引くジードらしいネーミングと言える。当然ながらレッドキングは関係ない。
エネルギーをチャージする際には、光が漏れ出るほどに目が強く発光するという演出がとられ、加えて首を鳴らすように回しながら雄叫びを上げる動作や、チャージしている赤黒いエネルギーの禍々しさ、エネルギーの余波を受けて周囲の瓦礫や岩盤が浮遊する演出等も相まって、おおよそ正義のヒーローの必殺技とは思えないような異様な光景を作り出している。
一方で、同時に直前スペシャルのEDや第一話ではこのチャージ部分で主題歌のサビの部分が流れるという、ヒーロー演出として王道の盛り上がりを見せる場面でもあり、独特の魅力を発揮していた。
非常に印象的なシーンであったためか、pixivでもこのチャージ中の動作を描いたイラストが多い。
ちなみにスペシウム光線には、公式で「光の国のウルトラ戦士の光線技の原点」(映画『新世紀ウルトラマン伝説』ではそれを越えてすべての宇宙のウルトラ戦士の光線技の原点となっている)という設定が加えられており、光の国の戦士たちはまずスペシウム光線を習得し、そこから自分なりのアレンジを加えるなどして各々の光線技を生み出し、発展させていくとされている(逆に、初代マンやジャック等のようにスペシウム光線を必殺の域まで極めた戦士もいる)。
レッキングバーストの構えがスペシウム光線と殆ど同じなのは、初代ウルトラマンの力を使っているということの他にも、この設定を意識した部分もあったのかもしれない。
ちなみに父親であるベリアルのデスシウム光線は右手の向きこそ特殊である者ものの十字型であり、さらに、かつてのショーや撮影会などでのアーリースタイルのベリアルの光線は十字型かつ指を完全には伸ばしきっていない状態で構えを取っているものが存在していた。