概要
両腕にエネルギーをチャージした後、両腕を十字に組んでエネルギーをスパークさせることで放つ。
早い話が、ジード版スペシウム光線である。
発射の構えも初代ウルトラマンと同様、腰を低く落とした姿勢で放つが、初代ウルトラマンは指の先まで真っ直ぐ伸ばした状態(さらに言えば、指を軽く反らせている)で構えを取っているのに対し、ジードは指先をやや曲げた状態で構えを取っている。恐らくメタ的にはベリアルのかぎ爪状の指をイメージしているのだろう。
詳しいポーズに関しては後述の公式動画も参照のこと。
光線のエフェクトは、スペシウム光線の周りを赤黒い稲妻(闇のエネルギー?)が走るというウルトラマンオーブ・サンダーブレスターのゼットシウム光線に近いものになっている。SEもベースにスペシウム光線と同じものが使われている。
メインの必殺光線にもかかわらず使用回数は後述のように多くなく撃破数も少ない。
より威力が高いと思われる光線のビッグバスタウェイ、その約20倍の威力を持つロイヤルエンド、後述する発展系のレッキングノバが登場もしている。
しかし、そんな基本形態の必殺技でありながら、直撃しても全く効かなかった相手がいない(バリアで防がれたことはある)という戦績を持つに至っており使用時も印象的なシーンが多いため一概に不遇とは言えないだろう。
活躍
『ウルトラファイトオーブ』での先行登場時に初使用し、(既に瀕死の状態であったとはいえ)不死身のレイバトスの肉体を跡形もなく消滅させるほどの凄まじい破壊力を見せた。
初変身を行った第1話では「指示がなくてもやり方は知っているはず」というレムのアドバイスを元に、自身に眠る記憶を頼りに使用し、スカルゴモラを撃破した他、続く第2話ではスカルゴモラの突進を押し止めながらチャージし、倒れ込みながらゼロ距離から照射して相手の身体をぶち抜くという荒業を見せ、見事スカルゴモラを完全に粉砕することに成功した。
第17話では、キメラベロスに羽交い締めにされたなかレッキングバーストを使用し、発射の反動を利用して月面から脱出し、地球へと帰還するという荒業を見せた(これに関しては『なぜわざわざ周囲に何もない月面から被害を齎す危険性がある地球へ行くのか』と突っ込まれることもあるが、ジード自身が時間切れで宇宙空間へ生身で放り出される危険性を考えれば致し方ないと言える)。
その高い威力から、まだ戦闘能力の低いプリミティブが最後の逆転の切り札として使う場面が多い。
ただ、同時にその高すぎる威力故に発射を躊躇したり、新たなフュージョンライズ形態や新武装が登場したことで使用する機会がなくなってしまうという憂き目にも遭っており、最終話以前の第24話中使用回数がたったの4回(未遂が1回)という基本形態の必殺技としてはかなり使用回数が少ない光線技となっている。
もっとも、その分使用した時のインパクトは非常に大きなものとなっているが。
そしてそんな使用回数の少なさが嘘のように最終回では大活躍。
ゼガンのゼガントビームと反応させブラックホールを作り、ベリアルを放逐する・全フュージョンライズ形態の同時攻撃・そして父との最後の対決の際に引導を渡す…と複数回にわたって使用された。
『つなぐぜ!願い!!』でギャラクトロンMK2相手に使用した際も、向こうのジンクスに巻き込まれて…もといMK2のバリアに阻まれ1度目は決定打とならなかったが、2度目はギャラクトロンMK2を組み伏せる形でゼロ距離射撃を行いなんとか倒すことに成功している。
ただ、第1話・2話(というか前半の怪獣カプセル関係)のジードの戦いは「怪獣を倒させてもらっていた」ため、周りの思惑抜きで明確にレッキングバーストが決め技となった呼べるのはTVシリーズでは最終回の最後の最後という、こちらの方面でも必殺技としてはかなり異色の存在である。
また、レイバトス戦の使用と戦績は実際には違った可能性も最終回で示唆されている。
なお、未使用回を除けば結果的に坂本監督担当回でしか使用していないことになる。
一応、それ以外ではヒットソングヒストリーで本人が、ウルトラマンルーブのニュージェネレーションバリアではプリミティブの幻影が使用している。
『ウルトラギャラクシーファイトニュージェネレーションヒーローズ』では自分たちを助けにきたウルトラマンギンガを援護するためダークルギエルにウルトラマンエックスのザナディウム光線と共に放ち吹き飛ばして撤退の時間を稼いだ(このとき二人とも光の力を奪われた上の連戦で消耗していたためか直撃しても負傷させたり撃破するまでには至らなかった)。
また、ジードのダークネスであるジードダークネスも同様の技レッキングダークネスバーストを持つ。
ダークネスは闇の力で光のエネルギーを増幅してオリジナル以上の力を得ているためかジードはジードバリアでレッキングダークネスバーストを防ぐことができなかったが、ジードダークネスはレッキングバーストをバリアで防いでいる。
『ウルトラマンタイガ』では第一話の冒頭シーンでウルトラマントレギアに対してエックスのザナディウム光線と同時攻撃を仕掛けるが避けられてしまっている。なにげにTV本編で坂本監督回以外でレッキングバーストを使用したのは今回が初となる。
『ウルトラマンZ』では、ジードの基本形態がギャラクシーライジングとなっているため、ジード本人は使用していない。
なんと、事もあろうにジードを取り込んだグリーザが使用し、市街地を壊滅においやった。
そして、『運命の衝突』でも再び使用。今回はレギオノイドとダークロプス軍団をまとめて数十体撃破し、大幅に撃破数を更新した。
派生必殺光線
レッキングノバ
ウルトラマンジードの究極形態・ウルティメイトファイナルが使用する強化版。
エネルギーチャージや発射までの動作は概ね同じ(クロスした腕を上に掲げる前にカラータイマーの位置に持ってくるのが唯一の追加動作)だが、チャージの際は全身のゴールドストリームが金色に輝き、エネルギーも金色が加わって神々しい演出となっている他、動作も指を伸ばし、腰を落とさないなど落ち着いたものとなっている。
この際、ギガファイナライザーは地面に突き立てておく。
セレクト!絆のクリスタルでウルトラマントレギアへの決め手として使用された。
『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』でも使用。エックス・ベータスパークアーマーのベータスパークアロー、オーブトリニティのトリニティウムシュートと同時に発射した。その際、ジード第1話のレッキングバーストを彷彿させる演出がとられている。
(なおYou Tube本動画の発射時、字幕を付けてみると「レッキングノヴァ」になっている。誤植なのかは不明)
レッキングフェニックス
ウルトラマンジードのウルトラフュージョン形態、ギャラクシーライジングの必殺技。レッキングバーストからオリジウム光線、ザナディウム光線、ギンガクロスシュートと先輩達の必殺技を遡る形でエネルギーを凝縮して放つ必殺光線。その名の通り光線を撃つ際には不死鳥のようなオーラが一瞬現れるほか、光線自体もレッキングバーストに炎のエフェクトが加わった物となる。
威力は当然のことながら非常に高く、不完全な復活だったとはいえあのギルバリスと光線の撃ち合いで真っ向から打ち負かした上にボディを破壊するという凄まじい破壊力を見せた。
ギャラクシーバースト
ウルトラゼットライザーにギンガ、エックス、オーブのメダルを再度読み込ませることで発動する光の刃。レッキングバーストに先輩らの意匠を組み合わせてカッター状にしたものと言えば分かりやすいだろうか。流石にレッキングフェニックス程ではないが、こちらも必殺技としては申し分ない威力を持つ。
この技は後に当該のメダルを渡されたウルトラマンゼット・ガンマフューチャーも使用している。
アトロスバースト
ベリアルの超強化形態、アトロシアスの必殺技の一つで、発動モーション自体はレッキングバーストと同じであるが威力はレッキングバーストのそれと比べ数十倍もの破壊力を持つ。ただでさえゼロツインシュートをも上回る攻撃力を誇るデスシウム光線を更に強化した恐るべき破壊光線であり、劇中ではあっさりとしか使用していないがゼガンを秒殺するなどその威力の一端を垣間見ることができる。(しかもこの時のアトロシアスは諸事情で本来の力よりも大幅に弱体化している状態である)
劇中では割と唐突に使用していた上に発動時のアングルの問題でモーションが分かり辛くなっていたが、ゲームのフュージョンファイトでは本編よりはっきりと発動モーションを確認できる。アトロシアスの戦闘スタイルはもっぱらギガバトルナイザーを使用する形だったので、あまりパッとしない活躍となったのは致し方ないだろう。
レッキングバスター
厳密には「派生技」のカテゴリーに当てはまるかは微妙であるが、ウルトラマンタイタスがジードレットを使用することで発動する必殺技である。発動時には元のレッキングバーストと同様、赤黒い闇の力が追加される。この技で倒されたのは皮肉にもかつてジードのレッキングバーストで引導を渡されたギャラクトロンMK2である。ニュージェネクライマックスにてジードレットをリク本人に返還してしまったため、現在は使用不可だと思われる。
余談
この名前を最初に発したのはレム。さらに、レムはこの光線のことを「光子エネルギーの放出」と表現していた。
ちなみに、「レッキング(wrecking)」は「ぶち壊す」という意味の英単語。悪の戦士の血を引くジードらしいネーミングと言える。当然ながらレッドキングは関係ない。
エネルギーをチャージする際には、光が漏れ出るほどに目が強く発光するという演出がとられ、加えて首を鳴らすように回しながら雄叫びを上げる動作や、チャージしている赤黒いエネルギーの禍々しさ、エネルギーの余波を受けて周囲の瓦礫や岩盤が浮遊する演出等も相まって、おおよそ正義のヒーローの必殺技とは思えないような異様な光景を作り出している。
さらに言うとチャージ中は、ジードの周りを舐め回すように回転している。
一方で、同時に直前スペシャルのEDや第一話ではこのチャージ部分で主題歌のサビの部分が流れるという、ヒーロー演出として王道の盛り上がりを見せる場面でもあり、独特の魅力を発揮していた。
劇場版のオーディオコメンタリーではMK2戦での赤目状態でのチャージシーンで盛り上がりを見せていた。
非常に印象的なシーンであったためか、pixivでもこのチャージ中の動作を描いたイラストが多い。
ちなみにスペシウム光線には、公式で「光の国のウルトラ戦士の光線技の原点」(映画『新世紀ウルトラマン伝説』ではそれを越えてすべての宇宙のウルトラ戦士の光線技の原点となっている)という設定が加えられており、光の国の戦士たちはまずスペシウム光線を習得し、そこから自分なりのアレンジを加えるなどして各々の光線技を生み出し、発展させていくとされている(逆に、初代マンやジャック等のようにスペシウム光線を必殺の域まで極めた戦士もいる)。
レッキングバーストの構えがスペシウム光線と殆ど同じなのは、初代ウルトラマンの力を使っているということの他にも、この設定を意識した部分もあったのかもしれない。
ちなみに父親であるベリアルのデスシウム光線は右手の向きこそ特殊であるものの十字型であり、さらに、かつてのショーや撮影会などでのアーリースタイルのベリアルの光線は十字型かつ指をやや曲げた状態で構えを取っているものが存在していた。
また、そのベリアルが生み出したダークロプスゼロのダークロプスゼロショットも、指を完全には伸ばしきっていない状態でL字の構えを取る。
この指を伸ばしきらない発射スタイルは、後に登場するジードとベリアル(アトロシアス)の力を使用して変身したウルトラゼット・デルタライズクローのゼスティウム光線にも受け継がれている。