CV:宮野真守
概要
『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア』に登場する敵キャラクターで、てるてる坊主のような容姿をしている。また、瞳はカメラのしぼりのようになっており、これを絞り込むことで瞳を細めたり、閉じたりすることが出来る。
『HUGっと!プリキュア』のキュアエール以外の歴代プリキュアたち54人の想い出を奪い子供に変えてしまった。
あらゆるものの液晶に潜り込む事が出来、対象はカメラのレンズや画面のみならず、ミライパッドの画面まで対象となる。
想い出を奪ったプリキュアたちの口癖や技をコピーする特殊能力を持っており、予告ではキュアハッピーの口癖「ウルトラハッピー」、『Go!プリンセスプリキュア』の決め台詞「お覚悟はよろしくて?」が確認できる。『HUGっと!プリキュア』第22話後の予告ではなぎさの口癖「ぶっちゃけありえなーい!」も披露した。因みにこの予告にはキュアブラック=なぎさ本人も参加しており、「わたしの口癖真似てるし」と指摘されていた。(※)
この他にも彼自身の能力としてフィンガースナップをすることで爆発を引き起こしたり、手のような部分や口から青い光線を発射することが出来る。ちなみに記憶奪取の能力は前述の青い光線に当たった者を対象とする。
それに加えて、ミデンと瓜二つな容姿を持つ、一回り小さい黒い分身体を無数に生み出す事も出来るが、この分身が倒される程にミデン自身の体力も減少してしまう上に分身一体一体の性能はそれほどでもないので使いどころを選ぶ能力である。
ちなみに宮本監督によると作中で放たれた分身の数は250万体ということ。これは単なる設定ではなく実際にCG映像で使われたオブジェクトの数である。
※また、映画本編でのミデンは「ありえないありえないありえないありえない!!」との連発セリフをコピーしている。これはなぎさの本来の設定に忠実とも言える。(なぎさの口癖は「ありえな~い!」であり、2年にわたるTV本編で「ぶっちゃけ」という言葉はたった1回しか発していない)
余談
名前の由来
名前であるミデンはギリシャ語で『零』(ゼロ)という意味があり、彼の能力で『想い出をなくす』もしくは『想い出を奪い去ってゼロにする』といった事からこのような名前になったと思われる。
中の人について
演じる宮野真守氏はプリキュアシリーズ初参加。
「女の子だって暴れたい」というテーマを体現した初代作を視聴して衝撃を受け、いつかこのシリーズに妖精役で関わってみたいと思い続けていたようだが、自分に近しい声優仲間たちが続々とプリキュアシリーズに起用される中で自分はオファーがずっとこなくてぐぬぬ状態だったらしい(実際、宮野氏は多くのプリキュア声優との主人公とヒロインという関係での共演歴が多い)。今回の抜擢は念願かなったものだということ。
ミデンは恐ろしい敵キャラだが同時に徹底して明るく陽気でユーモアを感じさせる存在でもある。その複雑な属性を見事汲み取って、映画館の子供達に「怖くて面白い」という矛盾した感情をトラウマのように植えつける狂気じみた演技は必聴である。
前述の名前の由来となった「ゼロ」だが、宮野氏はこの単語に縁があるようで、ゼロの名を持つキャラクターを演じている経験を持っており、ゼロがつくタイトルの作品にも出演している。
またニチアサキッズタイム関連の出演歴としては、獣電戦隊キョウリュウジャーの獰猛の戦騎D及び、彼が変身するデスリュウジャーがあり、こちらも劇場版のボスキャラクターにしてヒーローの紛い物ともいえる存在である。さらに言えば彼は最初に誕生したナンバリングが0番の巨大戦力を操っており、本人も敵側の幹部としては最初に誕生した存在であるなど、コイツも「ゼロ」に関するキャラクターだったりする。
類似キャラ
どことなく新劇場版のコイツに似たような姿をしており、顔のみならばコイツにも酷似している。(後者はCVが同じ宮野真守であり、他人をコピーする能力を持っているという共通点がある)
関連タグ
ドクター・トラウム … 本編36・37話にてプリキュアオールスターズの戦いを引き起こした悪役。劇中プリキュアの赤ちゃん化を目論んだのもあり、ミデンの誕生に関係している説もあった。(ちなみに実際は全くの無関係で赤ちゃん化にも失敗している。ただ、メタ的に言えば「本当にプリキュアが赤ちゃんになるとどうなるんだろう」とTVの前の子供たちに思わせる映画の遠回しな宣伝の意図はあったとは思われる)
これより先は映画本編の多大なネタバレを含みます。注意して閲覧ください。
正体と目的
実は彼の正体は『MIDEN F』というカメラに宿った存在。いわゆるところの付喪神のようなものである(ちなみにほまれはカメラのお化けと称した)。
MIDEN Fは時代がデジタルカメラが主流になっていくなかであえてハイエンドのフィルムカメラとして企画されたものだったが、発売とほぼ同時期に製造元の会社が倒産してしまった。その為、市場に出回ったのはごく僅からしく、多くの在庫が日の目を見ることなく処分されたと思われる。ちなみにコアなファンの間では幻の名器として有名らしい。
実際、彼の宿っていたと思われるMIDEN Fにはフィルムが入っておらず、カメラとしての職務を全うする事はなかったのだと思われる。
それからずっと何もないカメラの中で過ごし続けた彼は何かのきっかけで外の世界を知り、そこで人々がデジタルカメラやスマートフォンで”キラキラの思い出”を記録しなおかつSNSでシェアしている現実に直面する。ミデンは同じカメラなのにそれが許されなかった自分に劣等感を苛むようになる。だが、フィルムが入っていないカメラであるミデンはどうあがいてもキラキラの思い出を記録することはえできない。その苦悩がミデンに力を与えたのだろうか。ミデンは他人の思い出そのものを奪う力を得るようになった。恐ろしい力だが「思い出を複製して共有する」というカメラの本来の役割から考えると劣化でしかない「みじめな」ものである。
だがこの力を手に入れたミデンはそれに魅入られ、世界中でもっともキラキラした存在の思い出をコレクションすることにした。つまり、プリキュアの記憶である。
そうして本作の物語が始まったのだ。
そして後半の戦闘で彼に取り込まれ、他の皆が出た後もずっとミデンの中に残り続けたエールは偶然ながら、彼の生まれた場所へと迷い込むことに……。
彼が生まれ、過ごしてきた部屋は暗く延々と冷たい雨が降り続けている部屋であった。
彼は生まれてからずっとこの部屋で過ごしており、悲しみや孤独以外の事を知らなかった。
彼の名前であるミデンの本当の意味は「彼自身が何もない。零である」という意味であった。
また、彼がてるてる坊主のような姿をしているのはいつか(彼の心の)雨(悲しみ)が晴れますようにという願いを体現した姿なのだと思われる。(劇中でもやたらとてるてる坊主という描写にこだわっており、この考察を助長している)
想い出を求めて暴走したミデンははなの必死の説得や「キラキラの想い出をつくろう」という言葉によって救われ、プリキュア達全員に見守られながら静かに消えていったのであった。
そして、彼の宿るMIDEN Fはさあやの手によって新品同様の輝きを取り戻すとはなの元にカメラとしてやってきたのであった。当然、新品のフィルムも入れられて。
これからはきっと本来のカメラとしてはな達と共にずっと求め続けた沢山のキラキラな想い出を自分のフィルムに収めていく事が出来るだろう。