「今週のビックリドンドンメ~カ~♪」
CV:土師孝也
概要
『HUGっと!プリキュア』第23話から登場する敵キャラクター。ネジや歯車があしらわれたシルクハットを被り、貴族のような服を纏った老人。
社内では「相談役」の地位におり、代表取締役社長であるジョージ・クライにため口で接していることから、彼とは対等な立場だと思われる。ただ、ダイガンからは呼び捨てにされたり、ジェロスからは嫌みを含んだ意見を言われる等、他の社員から敬意を払われているわけではないようだ。
クライアス社では技術者的な立場でもあり、オシマイダーの強化版である猛オシマイダーを作ることが可能。
発注バンクは、自身の顔を模した大型装置「今週のビックリドンドンメカ」に「猛」の文字の書かれたチップを注入し、小型のオシマイダーと共にペアダンスを踊る。その後(オシマイダーが召喚済みの場合このタイミングでメカにオシマイダーを投入し)、小型オシマイダーの持つスイッチを押して、猛オシマイダーを生み出すというもの。
生成方法に差異はあれど、どう見ても某タツノコプロ作品のオマージュです。本当にありがとうございました。
更に、その後の「ピコッとね」というセリフもなんかもう狙っているとしか思えない。
あまつさえ、「今日で『HUGっと!プリキュア』最終回!」などという、オマージュ元でもよくあった類の発言までしている。
しかし、一方でクライアス社の社員に共通している「明日への希望よ、消えろ!」という口上を彼だけは発していない。
ハリハム・ハリーとは面識があるようだが、ハリーの方は毛を逆立てて威嚇していたのに対し、トラウムは「小賢しい」と嘲笑していたので、浅からぬ因縁がある様子(ハリーの経歴とトラウムの立ち位置からして、ハリーの改造にトラウムが携わっていた可能性あり)。
また、第36話によると『Yes!プリキュア5』及び『Yes!プリキュア5GoGo!』の登場人物であり、かつてナイトメアの幹部やエターナルの一員だったブンビーを部下にしていた時期がある。
そのブンビーへの扱いは非常に悪かったらしく、彼からは「クライアス社はナイトメア以上のブラック企業」と非難される程に劣悪な環境だった模様(視聴者視点だとナイトメアの方がよっぽど劣悪ではあるが)。
人物
老人といっていい年齢のようだが、内面的には少年のような無邪気さが目立つ。その言動は飄々として軽々しい道化のようであり、かなりえげつない事でも「ちょっとしたイタズラ」程度の軽いノリで罪悪感なくやってのける。
猛オシマイダーが倒された時には「年寄りを労わる気持ちは無いのかねぇ!」と吐き捨てるなど、都合が悪い時だけ自分の年寄り扱いを主張しているが、それ自体がむしろ子供のワガママのように感じられる。
トラウム本人は、そんな自身のセンスや人格について「ファンシー」と表現している。
夏祭りシーズンにあやかって社内にいくつも屋台を設置し、リストルにカルフォルニアロールをノリノリで振る舞うなど、普段は周囲に対してフレンドリー。
その一方では大人の汚い部分も併せ持っており、大局のためならば同僚の切り捨てや殺傷も平然と行う。そのため、23話でダイガンを用済みにしたのを目の当たりにしたキュアエールがキレた事も。
失敗続きのジェロスにいつも通りのおどけた口調で接しながら、瞬時に「ペラペラ喋る暇があるなら、ミライクリスタルをさっさと奪ってこい」と恐ろしく冷たい声と表情に切り替えてプレッシャーをかけるなど、その本質や風格はまさにクライアス社の重鎮。
総じて子供の残酷さと大人の狡猾さを併せ持った精神性であると言え、軽妙なノリとは裏腹に大変な危険人物である。
そんな何かと老獪な印象の彼だが、第27話ではバトルの舞台であった産婦人科前で赤ん坊を刺激させないようにキュアアンジュからの提案を呑んでフラットなバトルを展開したり、その事を訝しむジェロスへ意外な台詞を感慨深げに語ったりする不可思議な一面を持つ。
同話終盤にて「過去の思い出」が詰まった一枚の写真を見つめていた時は普段のノリとは異なる穏やかな顔をしていた(瞳にハイライトも入っていた)。
殆んどの5号キュアの父親は何れも国王で有る事が多いのだが彼のみだけ数多くの5号キュアの父親の中では唯一王族でも無く国王でも無い。
ルールー・アムールとの関係
上述した「一枚の写真」が昔の姿のルールーとトラウムが並んで写っていたものであり、その写真を見ながらトラウムが「これでも親の気持ちはわかるんでね」と呟いていたことから、ドクター・トラウムがルールーの開発者であることが匂わされた。
それ以降は長らくこの疑惑について本編で触れられることはなかったが、第37話にて明かされたトラウムの「時間を止めてでも取り戻したい過去」は、ルールーが完成・起動した時期であることが判明。このことでトラウムはずっとルールーのことを気にしていたことが明確になる。
そして第39話ラストにて彼自らルールーの父親を名乗り出た。
第40話にて明かされたところによると、単純に命令を聞くだけの機械人形ではない人間らしさを持つアンドロイドを夢見てルールーを作ったとのこと。
しかしそのコンセプト故に、誕生したばかりのルールーは人間の子供のように未熟で、一般常識的なマナーすらゼロから教育しないといけなかった。
トラウムはまさにルールーの親代わりとして彼女に様々なことを教育していったのだが、もともと育児とかには似合わない学者肌ということもあってだろうか、トラウムはルールーの「不完全さ」に次第に嫌悪を抱くようになる。
最終的にトラウムはルールーにまっすぐ向き合えなくなり、ルールーから自身に関する記憶を抹消し、彼女から距離を取るようになる。
しかしその後にルールーがはなたちとの触れ合いで「心」を学び、人間性を獲得したことに関しては開発者として嫉妬を隠しきれず、自らがプリキュアを討伐するために前線に出ることになった。
トラウムは「ルールーと距離をとるため」に記憶を消した以上は、ルールーがプリキュアとなり敵対関係となってからも、彼女に対して特別な感情は見せないようにしていた。
そのため、トラウムがルールーの開発者であるという事は第27話で示唆されていながらも、2人の間に因縁を感じさせる演出はずっと抑制的なものとなっていた。
ルールーが記憶を抹消された時期は明確ではない。本編中では第18話を境に「マスター」なる人物に関する台詞が無くなっているが、第17話で記憶抹消を敢行したのはリストルであり、そもそも彼女自身がクライアス社に反旗を翻したという事情を考えると単なる偶然かもしれない。
そもそもルールーは第1話時点でクライアス社のバイトとして業務をこなせるくらいに独り立ちしてるので、トラウムが手に負えないと感じていたとは考えにくい。なので、記憶が消されたのは第1話よりも前で、その後にクライアス社の道具として教育されなおされたと考える方が妥当であろう。
第39〜40話での言動から、ルールーはトラウムが自分の製作者であることは認識していなかったが、自分が製造者によって記憶を消されて放置されたことは事実として知っているようだ。そして心を得てからはこの過去について「親に捨てられた」ような複雑な感情を持つようになった。しかし、ルールーは自身がアンドロイドとして「失敗作」だと劣等感を持っていたので、捨てられたことは諦観の形で受け入れてはいた。
ちなみに「RUR-9500を開発したのはドクター・トラウム」という事実自体はハリハム・ハリーもほぼ推測可能だったくらいなので、クライアス社の関係者にとっては公開的な情報であったようだ(もっとも、ハリーはトラウム本人が父親と名乗り出るまでそのことを忘れていたらしいが)
なのでルールーは記憶を消された後に、自分の製作者はトラウムだとどこかで知った可能性も捨てきれない。
そうなると、ルールーは過去の思い出を消された後でも、開発者がトラウムであると言う事実についてはずっと理解はしていたのかも知れない。その場合、ルールーはトラウムに対して意識的に他人として振る舞い続けていたことになる。なんとも寂しい話でもある。
だが第37話でトラウムが浄化されたことで、彼の中にも気持ちの整理がついたらしくもう一度ルールーと向き合いたいという思いが高まることになる。
ルールーは「トラウムが自分を捨てた」ことには文句を言うつもりはなかったが、今更になって父親面をしてきたことについては怒りに近い感情を見せていた。(その顛末については後述「本編での動向」の第40話を参照)
基本的に敢えて真面目な話をする時と三人称では「ルールー」と呼び捨てで、そうでない時はちゃん付けをする。後者の場合、大抵はルールー本人から冷たくあしらわれている。
「あの子」
トラウムとルールーの関係について本編中で明確に説明されているのは上記の通りだが、第40話ではそれ以外にも意味深な描写がある。
過去の回想シーンでルールーがトラウムの「理想」の言動をとってくれないことに対し、彼が「どうしてこうなんだ、あの子なら…」と愚痴る場面で、紺のリボンをつけた薄い金髪の幼い少女の笑顔がトラウムの脳裏にフラッシュバックしている。
この少女は既に登場したキャラクターの誰とも違う容姿だが、それ以上の情報は一切明かされなかった。ただその直後にルールーの顔のアップが写って、見た目からして「あの子」とルールーが異なっていることが強調される演出になっている。
そしてトラウムは「私は何を願っていたんだ。これでは失敗だ」と誰にともなく呟いて回想シーンは閉じられる。
ちなみにこの後に描かれたルールーとトラウムの会話シーンで、ルールーが「わたしが失敗作だから、わたしと距離をとろうとしたのか」と尋ねたとき、トラウムは「失敗したのは、まっすぐ君と向き合えなかった自分だ」と語っている。
なので上記の回想シーンでトラウムが呟いた「失敗」もそういう意味合いと捉えられる。
トラウムはルールーに「あの子」の幻影を追うことの愚かさに気づいたからこそ、ルールーとどう向き合えばいいかわからなくなって距離を取るようになり、そして第40話でようやく「あの子」と関係ない「ルールー・アムール」という一人の存在へ向き合う決意をしたのである。
なお、第37話ではトラウムが「時間を止めてでも取り戻したい過去」の幻影を見るシーンがあるが、上述したようにそれは、ルールーが完成・起動した時期である。そこに「あの子」はいなかった。
トラウム自身が自分の心を見せられて自覚したからこそ、ルールーに向き合おうとしたのかも知れない。
「あの子」のカットは視聴者に対してのみ描写されており、ルールーもその存在は知らない(知っていたとしてもその記憶は現在消されている)。
第40話のトラウムには「あの子」の素性につながるかのような言動がいくつもあるが、それでも直接的な解答につながる描写は一切行わない演出が徹底されている。
この話はトラウムがルールーは誰の代わりでもなく自分の娘だということに向き合う話であり、「あの子」が何者かというのは輝く未来を目指すルールー達プリキュアの物語には必要ではないからである。
ただ、この第40話だけに限らずそれまでのトラウムの言動を振りかえれば「あの子」の素性は「幼くして死んでしまった、トラウムの実娘」ということが推測できる。
答え合わせというわけではないが、放映から数日後に発売された『アニメージュ』増刊号では、シリーズ構成の坪田文が「あの子」がトラウムの実娘であることを遠回しに発言している。
脅威のパワードスーツ
プリキュアオールスターズが特別出演する第36話・第37話はトラウムとの決戦エピソードでもあり、彼の最終兵器である専用パワードスーツが登場する。
パワードスーツ第1形態
第36話・第37話に登場。アスパワワを無尽蔵に吸収してトゲパワワに変換する事で時間を巻き戻せる機能を搭載したパワードスーツを装着した姿。その姿は分厚いパワードスーツの中にトラウムが入った非常にシンプルなデザインとなっている。
前述のように時間を戻す機能を駆使してプリキュア達を翻弄させ、魔法界やいちご山を初めとする歴代プリキュアの世界の時間を止める能力を保有する。また、腕からビームを放ったり、高速で飛行することもできる。
パワードスーツ第2形態
第37話で登場。前述のパワードスーツを装着したままトゲパワワを大量に吸収してパワーアップを果たした姿。球体型のパワードスーツに無数の黒い触手が生えた不気味なデザインへと変貌している。
機体の触手を駆使してプリキュアのアスパワワを吸い尽くす機能が搭載されている他、触手から大きいエネルギーボールを放つことができる。
第1形態ではまほプリ、プリアラ、キュアドリームのタッグに終始圧され気味だった戦闘力だが、この形態になると一転して自身が有利になる程にパワーアップしている。しかし、キュアブラックを初めとする初代のプリキュアが参戦した際には圧倒されていた。
暴走形態
第37話で登場。前述のパワードスーツ第2形態の機能を酷使してもプリキュアたちに勝つことができなかったトラウムが、自身のトゲパワワも増大させて更なるパワーアップをした姿。
しかしその代償として、怒りと憎悪の感情を抑えきれなくなり、いつものトラウムの飄々とした雰囲気は失われてしまった。
パワードスーツと一体化してしまったため、シルクハットはそのままに球体状の体に巨大な腕がついた非常にシンプルな姿をしている。
また、ザケンナー、ウザイナー、コワイナー、ナケワメーケ、ソレワターセ、デザートデビル、ハイパーアカンベェ、サイアーク、ゼツボーグといった歴代プリキュアシリーズに登場する怪物たちを復活させる能力の他、凄まじい闇の力で相手を圧倒する程のパワーを誇る。
しかし、キュアブラックとキュアエールによる打撃、キュアブルームによる持ち上げ、キュアドリームとキュアミラクルによるキック、キュアピーチとキュアフローラによる技攻撃、キュアブロッサムとキュアハッピーによる落とし攻撃、キュアメロディとキュアホイップによる拘束技、キュアハートによる足攻撃、キュアラブリーによるパンチングパンチといった歴代の主人公格プリキュアによる連続攻撃には圧倒されていた。
最終形態
同じく第37話で登場。トラウムの暴走形態からさらにパワーアップした形態で、彼の最終形態とも言える姿である。トラウムとしての自我は最早残っておらず、プリキュアたちに対する憎悪しか残されてはいない。
その姿はフュージョン、ボトム、ブラックボールといった歴代映画オールスターシリーズの初期に登場する邪悪な化身たちを彷彿とさせる闇のエネルギーの集合体ともいうべき姿をしている。
今までの形態とは比較にならない程の強化を果たしており、前述の暴走形態を圧していたプリキュアオールスターズをも圧倒するパワーを得ている。
そんな強大な戦闘力でも、キュアペコリン、キュアモフルン、霧生満と霧生薫、キュアフラワー、ロイヤルキャンディ、キュアテンダー、キュアサンセットとキュアウェーブ、リオ、キュアエコーといったプリキュア又はそれに似た力を持つ者や、ウエスター、サウラー、調辺音吉、レジーナ、七瀬ゆい、魔法学校の校長、ビブリーといった今までプリキュアに関わってきた者とかつてプリキュアと戦って改心した元敵達の応援によって新たな力を得たプリキュアには全く敵わなかった。
ここまでを見ればわかるように、彼は全プリキュア及びその協力者たちが力を合わせてようやく勝利することが出来たという何気にとんでもない相手であった。
(ハグプリ世界のメンバーだけで戦うことになるであろうジョージ・クライやリストルら残りの構成員とのパワーバランスを考えるとおかしなことになってしまうが、こういうスペシャル回でこの手の戦闘力比較議論をするのも野暮というものだろう。翌週は流石にストーリーの都合上、ただの猛オシマイダ-相手にはその必殺技発動に条件が伴う為、既存技で対応している。尚、最終決戦に至ってはこのコラボ回と同等レベルの事をやっている。)
本編での動向
あざばぶ支社に出向(第23話~第35話)
ダイガンを不意打ちで葬り去るという衝撃的な初登場を果たし、キュアエールに「仲間じゃなかったの!?」と言われた時には「お嬢さん、30過ぎた大人にはそんなもの存在しないんだよ」などと言い返し、画面の前の大きいお友達に現実を突きつけ心を抉った。その上ダイガンを「会社のお荷物」とこき下ろした。
また、キュアアンジュの力を以ってしても浄化できずに消滅してしまったダイガンを見送った後、「まさか宿敵であるプリキュアに癒されて退場とはまったくうらやましい……じゃなかった。なんともけしからん奴だ!」とTVの前の大きいお友達が言うようなセリフを吐いていた(この辺りは彼のマッド=狂気じみた一面を表すためであるとは思うが)
第27話で産婦人科を襲った時は、赤ん坊が寝ているんだから静かにしようとキュアアンジュがその場にいる全員に指摘したため、プリキュア達だけでなくトラウムも大きな音をなるべく出さなないようにこそこそと戦う奇妙な戦闘が繰り広げられた。おかげで猛オシマイダーの特製なドリルを回転させることができず、プリキュア達に追い詰められて浄化されてしまう。だが、この時の浄化技がツインラブギターによるものだったために当然ながら爆音が発生しており「ずるいなぁ、自分たちだけ」と愚痴を言いながら撤退した(バンクシーンだから仕方ないとはいえ、プリキュア達もこれには流石にごめんなさいと平謝りせざるを得なかった)。
今回のトラウムの行動は単なるギャグ演出と思われていたが、会社に戻ってきたトラウムにジェロスが「ベイビーを気遣って戦うなんてね」と皮肉を述べると、トラウムは「これでも親の気持ちが少しはわかるんだ」と返す。そして一枚の写真を懐かしむように見つめるが、そこにはトラウムとルールーが並んで写っている姿が……。
第30話ではプリキュア一同が世界一周旅行に出かけていると知り「海外出張」と色めき立つ仕事仲間を差し置いてさっさと出撃するちゃっかりした一面を見せた。
最終的に熱海に到着したため海外出張っぽさは薄れたが、ともあれ温泉や卓球を意外とノリノリで楽しむ(この時視聴者向けに、動物形態のハリー共々まさかの入浴シーンが挿入された)。
えみるとルールーの簡易ライブに紛れる形でプリキュアと接触し猛オシマイダーを発注、夏休みの終わりを惜しんでいたことを知っていたため「夏休みが楽しいならさ、永遠な夏休みなんてどう? 時間を止めれば楽しい時間は永遠に続くよ?」と強烈な皮肉を浴びせる。
キュアマシェリからは「続くのです、ずっと! キュアスタにはたくさんな想い出があるのです!」と反論されるが、トラウムの言い分は「おまえさんたちがいなくなれば、思い出も何も消えちゃうでしょ」とかなり物騒なもの。
しかし見方を変えれば、トラウムは大切な人物を過去に失ったともとれる言い方だが……?
第31話では、限定された対象の時間を停止させる装置の試作品を完成させる。これは蓋がついたゴブレット状の容器の中に輝くエネルギーのようなものが詰められているもので、このゴブレットの蓋を開けたときにほとばしるエネルギーの奔流に触れてしまった対象は、生物であれ非生物であれ自身に流れる時間が止められて静止してしまう。同話では解雇宣告を受けたジンジン・タクミが名誉挽回のためにこれを勝手に持ち出しのびのび町の車や町民の時間を無差別に停止させたが、試作品であったがゆえにすぐに制御不能になりジンジンとタクミの2人を取り込む形でオシマイダーに変えてしまった。この装置が制御可能な形で完成されると恐ろしいことになりそうではあるが……
第32話では、ハリハム・ハリーの心が知りたいと願うビシンのために「特定対象を閉じ込め、その人物の深層心理をバーチャル空間として再現する装置」を貸し与える。トラウムに言わせれば「昔作ったオモチャのようなもの」であるらしい。
だが誤ってハリーだけでなくほまれもこの装置に取り込んでしまったため、濃厚なハリほま回が展開することになった(詳細はリンク先参照)。
第35話では、精神的に疲弊し出撃できる状態じゃなかったジェロスを見かねて出撃することに。その際、あたかも視聴者に語りかけるように「という訳で、今週もわたしビックリドンドン出撃! 今日で『HUGっと!プリキュア』最終回! 来週から『バグった トラウム』スタート!」とメタ発言満載のセリフで出撃宣言をする。
今回、プリキュア変身者たちは偶然にも第27話と同じ産婦人科に集まっていたため、あの時の反省を生かしてきちんと防音対策をした猛オシマイダーを発注。しかし今回はプリキュアが猛オシマイダーの存在を早期に察知して対応したので、実際の戦場は病棟から距離が離れたところになってしまい「せっかくの配慮が意味なかったじゃないか」と愚痴を述べる。しかし、折しも産婦人科では川上あやが「母親が自分を見捨ててしまうのではないか」という葛藤と戦いながら母親の帝王切開手術が終わるのを待っていた。間接的ではあるが、トゲパワワを撒き散らすことで不安を抱えながら手術に臨むあやの母、そして折れそうな心を奮い立たせながら生命の誕生に立ち会うあやの邪魔をしたトラウムに対しさあやは激怒。一切の手加減をせずにフルパワーで猛オシマイダーに先制攻撃し、仲間達も最初は呆気にとられたがアンジュの思いを受け取って合体浄化技を猛オシマイダーに浴びせかける。プリキュアの突然の猛攻はトラウムも意外だったようで、赤ん坊が集まるこの場所は自分にとっては全力が出せない鬼門だと感じつつ「いっそ、プリキュア達も赤ん坊だったらもっと簡単に…」と悪態を吐く。だがその直後に「いいこと思いついちゃった!」といたずらっ子めいた笑みを浮かべて撤退していった。
プリキュアオールスターズ VS ドクター・トラウム(第36話・第37話)
第36話では、第31話で試作段階だった「限定された範囲の時間を止める技術」をついに実用レベルに仕立て上げる。
それを組み込んだパワードスーツを作り上げたトラウムは歴代のプリキュアが救った町々へ赴きそこの時間を停止させる実験計画を立ち上げた。
トラウムの発明した技術は対象のアスパワワをトゲパワワに反転させることで対象の時間を停止させる技術である。それは普通の状態では第31話のようにビーム的な攻撃を当てた人間一人一人の時間を停止させるようなものであるが、もしも広範囲に規格外のアスパワワが溢れているような場所があれば、理論上はその広範囲の時間を停止させられる。そして、歴代のプリキュア達が愛と勇気で守り抜いたそれぞれの故郷の町々にアスパワワが溢れていないわけがない。トラウムの発明の効力を試すには格好の実験場所だった。
トラウムは『魔法つかいプリキュア!』の魔法界の時間を止めた後に、『キラキラ☆プリキュアアラモード』のいちご山の時間を止めるが、そこに『プリアラ』のプリキュア達が立ちふさがる。
だが、彼のパワードスーツのビームを受けるとプリキュア達は中学生や高校生に戻されてしまう(※トラウムが侵攻したいちご坂の時間軸はプリアラ最終回より後、すなわちこの時点での彼女たちは大学生以上である)。
一方、はぐたんは彼女達の危機を察知してプリアラメンバーをトラウムごと召喚。さらにそこに魔法界の時間を止めた元凶を追って『魔法つかいプリキュア!』のメンバーが現れる。
プリキュアスーパースターズの3チームが久々に(映画未登場のえみるとルールーは初めて)集結したことでプリキュア達は協力してトラウムに立ち向かうが、朝日奈みらいと十六夜リコもトラウムの攻撃を受けるとやはり中学生の姿に戻されてしまった(※この時点で登場した2人もまほプリ最終回より後、つまりみらいは大学生でリコは魔法学校の教師である)
実はトラウムが発明した技術は、ただ時間を止めるだけでなく「特定の対象の時間を巻き戻す」ことも可能だったのである。
この巻き戻しの力でプリキュア達を赤ん坊にまで戻して無力化してしまおうと意気込むトラウムだったが、制御を誤って自らのパワードスーツを組み立てる前の時間にまで戻してしまい、スーツはバラバラに。これはまずいと一時撤退する。
プリキュア達は勝利したと喜んだが、ハリハム・ハリーは「オウンゴールみたいなもの」と心配顔。その心配に違わず、今度は今までにプリキュアが倒してきたオシマイダーたちを時間を戻すことで蘇らせた。そして組み立て直したパワードスーツを着込んで再び出撃。
プリキュアスーパースターズはそれぞれはなチームとほまれチームに分かれてキュアピーチとキュアドリームと合流し、総勢16人でトラウムのパワードスーツ率いる再生オシマイダー軍団と果敢に戦う。だが、トラウムが「ストップ・ザ・ショータイム!」の掛け声をかけると再生オシマイダーから時間停止エネルギーが広範囲に霧散され、プリキュア達が戦っていた、プリキュア5が住んでいる町の時間を停止させてしまう。
その場にいたはぐたんの不思議な力のおかげでプリキュア達だけは時間停止を免れ動けているが、実は他のプリキュア達がいる街にも再生オシマイダーが派遣されており、いま同時に時間停止エネルギーを発していたのである。これにより海原市(『ふたりはプリキュアSplash☆Star』)、ぴかりが丘(『ハピネスチャージプリキュア!』)、ノーブル学園(『Go!プリンセスプリキュア』)の時間も現地のプリキュアごと停止。画面では描かれていないがおそらく他のプリキュアの町も同じように時間を止められているのだろう。
そしてトラウムは不敵な笑みを浮かべて言い放つ。
「残りのプリキュアは君達だけ」
絶体絶命のエール達だったが、まだ戦えるプリキュアはどこかにいるはずと信じて諦めることはなかった。
第37話では冒頭ではなチームと戦い、キュアドリームのプリキュアシューティングスターで一度はやられるがリバースザタイムにより復活し、シフォンのテレポーテーションによりほまれチームと合流し、プリキュアチアフルアタックにより時を操るビームの出る手を破壊した。だがこれで諦めるトラウムではない。マシーンはトゲパワワでパワーアップ。時間逆行などといった小細工なしで純粋な力でプリキュアを追い詰めていくも、キュアブラック、キュアホワイト、シャイニールミナスが乱入。エールが信じたようにトラウムの魔の手を跳ね返せたプリキュアはいたのだ。
そして初代組の圧倒的な力によって形成は逆転し、今度はトラウムがプリキュア側に追い詰められる。
しかしトラウムはもはやここまでと覚悟を決めたか、限界を超えてさらにトゲパワワを集めだして自らを暴走状態となる。トラウムはマシンと同化し自我も失うが、破壊本能に従い暴れまわるその力はこれまでの比ではなかった。結果的にプリキュアたちは暴走トラウムは作ったトゲパワワの巨大ドームに飲み込まれ、自分たちの心身の時間が止められてしまう。
しかし妖精たちの応援、そして負けたくないと自らを応援するプリキュア達の心が共鳴し、彼女たちのアスパワワは再び輝きを取り戻し、闇のドームを消し去る。
トラウムはそれでひるむことなく、今度はオシマイダー等の怪物を大量に呼び起こした。百を超えるかという怪物の群れの前に16人のプリキュアはどう立ち向かうのか……というとき、空から無数のプリキュア達が降ってくる、
皆の応援が生んだ奇跡はエールたちを立ち上がらせただけでなく、時間を止められた他の町のプリキュアたちの心にも共鳴し立ち上がらせ、ここに駆け付けさせたのだ。
こうして総勢55名のプリキュアと怪物の軍団との壮絶な合戦が始まる。
怪物の軍団はプリキュアたちの活躍で壊滅するが、それでも暴走トラウムは怒りと憎しみをたぎらせ倒れることはなかった。むしろその憎悪と怒りは無限に膨らんでいき、その負のエネルギーは地球を飲み込もうかというくらいに広がっていった。
単純な力でトラウムを倒すことはできないと悟ったプリキュア達は、すべての思いと願いをアスパワワの使い手たるハグプリチームに結集させる。そして生み出された新アイテムプリキュアミライブレスからのキメ技プリキュアオールフォー・ユーにより、トラウムはついに浄化されるに至った。
癒されたトラウムが思い出したのは、ルールーが完成した時間。あの頃に戻りたいと口にするが、そこにルールー・アムールが現れる。「時は戻りません、ですが明日は来ます」と語りかけるルールーに今までのことを謝罪し、ルールーからの
「いつかまたお会いましょう」
という言葉に、涙交じりの笑顔を浮かべて浄化された。
ルールーの父親としての再登場(第39話~)
そんな彼であったが第39話ラストに登場。
やたらハイテンションになって「ルールーちゃん、お父さんだよ!」とルールーにハグしようとするが、次の瞬間思いきり殴られタンコブを作ってぶっ倒れた。そしてはなから、ルールーの父親という言葉に疑問を持たれてこの回は終わった。
第40話にてハリーと共に未来世界の真実とキュアトゥモローの情報をプロジェクター+人形を使った芝居で提供し、とりあえず現在は敵意がないこととプリキュアが未来を救うことを信じているとアピールする。
しかしルールーは「自分は開発者に捨てられた」ことをずっと心の中でわだかまりを持ち続けていたうえ、今更父親を名乗りだしたトラウムの矛盾が理解できないのもあって、疑念と混乱のあまりその場から飛び出してしまう。
その後へんてこな自作らしき乗り物で捜索し呆れられつつ、はなたちに背中を押され1対1で話し合うことに。
最初こそ上手く話せなかったが、意を決したトラウムは昔のことを話し始める。
ルールーを起動した直後は力の制御がほとんど効かなかった(曰く『やんちゃ』)こと、挨拶を教え込もうにも理解されなかったこと、絶望のあまり向き合えなくなったこと、その後知らないところで心を芽生えさせてくれたプリキュアたちに嫉妬したこと。
その違いは、ルールーを一人の少女として受け入れていたかどうかだということ。
(なお挨拶を教えるくだりで、上述の「いつかまたお会いしましょう」はトラウムが教えた言葉であることが明らかになった)
話が終わったころ遅れてかけつけたえみるがお返しとばかりにルールーとギター演奏を披露し感動に浸っていると、ジェロスの猛オシマイダーが暴れ始めた。
猛オシマイダーの攻撃でキュアエールたちはおろかアンドロイドのキュアアムールまで身体が麻痺してしまい絶体絶命かと思われたが……
なんとトラウムが先ほどの乗り物からアームを出してプリキュアを庇いだした。
裏切り者と切り捨てるジェロスに「娘を守って何がおかしい!」と啖呵を切り、それに答えるようにしてキュアアムールたちも立ち上がる。
結局、トラウムの全部を受け入れることは難しいが愛情に偽りはないことはひとまず認めたルールー。
今度食事をする約束を取り付けられると感激し、前回同様の崩れっぷりで「お父さんと呼んでいいんだよ?」とのたまい始める。
流石にそれは却下されるが、かつてえみるがそうだったようにしつこく食い下がる父だった……。
第45話ではサンタさんのお手伝いをするプリキュア一同にメカトナカイをあげ、更に自分もグリーンサンタの格好で参加表明。
彼らしからぬ殊勝な態度に驚くハリーだが「たった1人の笑顔のために頑張っているだけ」と自嘲する。しかし偶然聞いたルールーは思うところがあり、えみるの後押しもあってなかなか素直になれない気持ちを伝えるため奮闘することに。
翌日はなから教わった家族の形……暖かい食卓を表現した『ママの復活カレー』を差し出され更に「メリークリスマス、お父さん」と遂に父と呼んでもらい大感激でハグするトラウム。
これで収まれば素晴らしい美談なのだが、自身を模した人形だの「もう一度お父さんと呼んで」とふざけた態度での懇願だので彼らしいオチをつけるのだった。
しかしながらルールーの方からハグのお返しをされ「愛してるよ、ルールー」とこちらもまた飾らぬ本音を伝えられたので間違いなく1歩前進だろう。
第46話ではいつの間にか野乃家でおせちを食べる一行に紛れていた。
ルールーにあきれられるも「ジャパニーズおせちは久しぶり」と嬉しそうに知識を披露し、野乃家の皆さんと打ち解ける。
途中酔っぱらったのか寝てしまい翌朝になっても野乃家に留まっていた。朝の時点で家人は皆留守にしていたのだが、物凄い信頼されっぷりである。
しかしジョージ・クライが侵攻してきたことを寝ながらでも察するあたりは流石元重役といったところか。
続く第47話では巨大ロボに搭乗し、まだ子供でありながら愛や未来をあきらめたビシンと対峙。
誰も自分を顧みないまま違う道を進んでしまう寂しさのあまりわめく彼に愛が幻想だと言われるも、「そうだ。だからこそ、信じなければ愛は見えない」と彼なりの持論をぶつける。
そのコックピットには銀髪の幼女とルールー、形は違えど大切な娘とそれぞれツージョットで写った写真が貼られていた。
またダイガンにも第23話の件を改めて謝罪し赦されている。
第48話にて民衆がプリキュアになるシーンではトラウムも変身、黒い巨大ロボットという異彩を放つお姿を披露した。みんなでトゥモローの集合カットでも非常に見つけやすい。
第49話で未来に帰るため、かえるを模した汽車型メカ『未来へ帰るくん』を製作。
ビシンとリストルに「変なことされるのでは」と疑いのまなざしをかけられ、その後アクシデントとはいえふみとのトゲパワワと反応し猛オシマイダー化したことで結果トラブルを招いてしまう。
時は流れ2030年。世界ははなたちの頑張りによりクライアス社が設立されない世界線を歩んでいた。
しかしこちらのトラウムもその天才科学者ぶりは変わらず、人間らしさを持つアンドロイドを作るという夢もまた共通していた。
そしてその研究の成果を、スポンサーである愛崎財閥のご令嬢にお披露目する。
「紹介しましょう。心と体を成長させるアンドロイド、ルールーです」
余談
名前の由来
名前の由来はドイツ語で夢を意味する「Traum」から(『アニメージュ』増刊号より)。第45話でも「私の名前『トラウム』は『夢』という意味なのだから…」と発言している。
語感的には「トラウマ」を連想しやすいが、由来が明かされた同誌にて「トラウマと解釈してもいいと思う」と佐藤順一SDは発言している。
容姿について
シリーズ構成の坪田文による初期提案では「サーカス団の団長」をイメージしたオーダーが出されていたとのことで、召喚バンクにはその名残が感じられる。
最終的には現在の貴族風のイケオジ路線に落ち着いたとのこと。
ちなみにイメージソースは高田純次らしい。
中の人について
演じる土師孝也氏はプリキュアシリーズは初出演。
坪田文によれば、元々はトラウムをルールーの開発者にする予定はなかったのだが、オーディションの時の土師氏の演技を聞いて「ルールーのお父さんにしたい」と直感して設定を付け加えたのだという。
彼(等)の技術力について
彼を含めたクライアス社のメンバーは魔法つかいプリキュアから見てナシマホウ界出身になる為、魔法界を訪れたとなるとあの未来世界では異世界に行く技術が確立されている事になる。
さらに、いくら再生オシマイダーがアスパワワをトゲパワワに変換し時間を停止する能力があると言っても、それが発動するまで歴代プリキュア、さらに言えばハピネスチャージプリキュア!で登場した世界のプリキュアチームの攻撃もいなし続けて時間稼ぎをする必要があるわけで、それを軽々と成し遂げたドクター・トラウムの科学力は恐るべきレベルに到達していると言える。
コラボ回が結果論として、ハグプリだけではクライアス社相手に詰んでたと言われる所以にもなった。
時間停止を受けた町
時間停止を受けた町の中には、プリキュアに救われたもののプリキュアが認知されず人々が感謝している様子は薄い作品もあるが、アスパワワ自体はプリキュアとの関わりは関係なく発生する存在な為何ら矛盾はしない。
関連イラスト
関連タグ
プリキュア関連
- サーロイン、人間体のブラッディ、サラマンダー男爵、リーヴァ、ナマケルダ、シャット、オドレン、ヤモー、トラウーマ:シルクハットを被っている敵キャラ繋がり。
- カワリーノ、ジョーカー:ポジションや性格的にはこちらが近い。キャラクターデザインも同じ川村敏江。
- サバーク博士:敵組織において2番目の席次であり、研究者。敵組織の少女構成員の生みの親、紫キュアの実父等共通点がある。
- メフィスト:敵組織の表向きのトップであり、立場が下の者を残した状態で退場した人物。本編中の扱いが元々被害者と加害者と言う違いはあるが、とあるプリキュアの父親的存在でギャグ要素を含んだ点も共通。
- アイワーン:次回作『スター☆トゥインクルプリキュア』における敵組織ノットレイダーの技術者ポジション。こちらは見た目が若い上に異形な人物と言う違いはある。
- ナルシストルー:『デリシャスパーティ♡プリキュア』における敵組織ブンドル団の技術者ポジション。ロボットの団員スピリットルーと戦闘員ポジションのミニスピリットルーを作り出している。
歴代プリキュアシリーズの父親
トランプ国王(※)← ドクター・トラウム → 国王(ひろプリ)
(※)マリー・アンジュの父親であるのだが元々円亜久里(キュアエース)は元々レジーナとの一心同体での同一人物であり、それがマリー・アンジュであったがプシュケーが分裂をした際に分かれてしまった。