「わたしなら5分で終わる! 5分で!!」
CV:町田政則
概要
キュアエール達プリキュアの敵対組織クライアス社の社員の一人。
公式サイトによると、所属は「あざばぶ支社」で役職は「部長」。
体格がよく、眼鏡を掛け、口ひげを生やしており、貫録がそれなりにある容貌。しかしなぜか顎鬚と後ろ髪を三つ編みにして赤いリボンで止めている。
支社社員の中では一番高い役職についているものの、本社に戻れないことに対しては人一倍気にしている。
名前の由来は団塊の世代。
オシマイダー召喚に伴うプロセスは、ネガティブウェーブを放ちトゲパワワを集めて増幅させた後、モンキーダンス(キングゲイナーのOPで出てくるアレ)を踊り、最後にスポットライトを浴びながらサタデー・ナイト・フィーバー風の決めポーズを取りオシマイダーを発注する。
モンキーダンスは1960年代、サタデー・ナイト・フィーバーは1970年代の流行りものであり、ダイガンのモチーフである団塊の世代が若かった頃の時代と合致する。
人物
下の者には常に強気かつ威圧するような態度で接し、冒頭の口癖となった台詞や、本社に戻れない件を吐いた際必ずイライラしていることから、大変気が短い模様。
なお、初登場の際にはプレジデント・クライの秘書にあたるリストルに対しても高圧的な態度で接していた。
口だけで何もしないというよりも「部下の能力を信頼していないから、自分が現場に出たくてたまらないが、管理職がそれをするのは憚られるから部下に当たり散らしている」というタイプ。
しかし、いざ現場に出てみるとオシマイダーの発注の仕方を忘れかけていたり、「ネガテブウェーヴ」などと間抜けな発音をしていたり、発注したオシマイダーがあまりにも弱々しい容姿と叫び声をしていたりと、若手社員ほどの活躍はできていない。つまりは「自分の老化を認めようとせずに若者を見下す厄介な中高年」の典型でもある。
各話の動向
クライアス社での待機時代(第1話~第22話)
第1話にて初登場し「あれ(ミライクリスタル・ホワイト)が見つからなければ我々は本社に帰れんのだぞッ!!」と怒声を発する。
第10話では失敗を弁解するパップルに対し「どうやら、わたしが出張らねばならないようだな。」との発言をし、彼女の「左遷部屋」行きをちらつかせていた。だが、この時チャラリートと同列扱いされた事に腹を立てたパップルが必死で止めた為、結局彼が活動することは無かった。
第18話では離反したルールーを連れ戻す任務を負わされたパップルに対し、作中初めて冒頭の「わたしなら5分で終わる」の台詞を吐く。
さらに、第20話では中高年サラリーマンの如く傘をゴルフクラブのように振り回していた。ダイガンは遠い未来の人間なのだが、はるか未来でも人類にこのオッサン文化は根付いているのだろうか……
初の出撃、そして……(第23話)
第22話でパップルが敗北したことで彼女は会社を去り、本格的に人員不足となったあざばぶ支社。
第23話にてダイガンはこれまでに会社を去っていった若手社員の軟弱ぶりを嘆きながら「このダイガンが出撃すれば必ず5分で終わる!」といつものように自信満々に宣言。すると「その言葉に嘘はないな?」とプレジデント・クライのホログラムが反応し、とうとう本格的に出撃することになる。
念願の現場復帰に張り切るダイガンだったが、オシマイダーの発注の仕方を忘れかけていたりと不安な様子を見せる。この時にオシマイダー発注バンクで印象的なダンスを見せていたが…。
そしてプリキュアの目の前で「わたしの名前はダイガン! 今までの雑魚社員とは一味違うぞ!」と威勢よく名乗りを上げた後、いつも通り「わたしが登場したからには5分で…」と言いかけた瞬間…。
ドクター・トラウムに突如背後からビームを撃たれて黒焦げに。5分どころかプリキュアと戦うことなく退場した。
しかも「いやぁ、宣言通りとは恐れ入る。本当に5分で終わったねぇ。いや、5秒だったかな?」などと皮肉たっぷりな台詞つきである。
そしてトラウムが言うにはダイガンは会社の経営に関わる上層部からすると、階級に見合った実力を持っていないことや、部下に対する高慢な態度を疎まれていたらしい。そして社長の肝煎りの計画が第二フェイズに入るこのタイミングで、古い膿を一掃するためにダイガンを「処分」したのである。
いつも偉そうにしていた居丈高なダイガンだが、彼もまた会社に飼われていた家畜に過ぎなかったという意味では、本作の敵キャラの典型とも言える。
キュアアンジュがアスパワワを抽出して彼をすぐに救おうとするも、深手を負ったダイガンは「ありがとう…とても楽になった」と感謝の言葉を残して消えた。その時「わたしももう一度…」と言いながら消えていったので、人生をやり直したいという節があったのだろうか。
クライアス社の社員としては初の、戦闘外での身内による粛清、それも「退職」とは言い難い、ほぼ「リストラ」扱いの強制退場となった。前述のオシマイダー発注バンクも、社員時代は最初で最後となった。チャラリートやパップルは「捨て駒」として使われて捨てられたが、使い道すらないからと判断され処刑されたダイガンに比べればかなりマシだったと言えるだろう。
こうしてあざばぶ支社の社員は離反者1人、退職者2人、粛清1人を出して全員いなくなってしまった。
ちなみに第23話からOPのアニメーションが変更され、クライアス社社員のパートも変更されたがこの時点でダイガンが居た場所にはドクター・トラウムがすでに居座っていた。
つまり、退場がOPの時点で確定していたという事である。
彼の消滅にプリキュア全員がショックを受けていたので、少なくともチャラリートやパップルを浄化したのとはワケが全く違うことは確かである。
因みに、第23話のエンドカードではインタビューを受けるパップルの背後にダイガンの写真らしきものが飾られていた。これが何を意味するかは謎だったが…。
芸能事務所・MAAに就職(第24話~第37話)
前話で悲惨な末路を迎えたと思われた彼であったが、無事に生き延びていた。
かつての部下であるチャラリート・パップルと合流し芸能事務所を立ち上げていた(『給料減らす』というパップルの台詞から彼女が上司らしく、クレジットの並び順は二人の下である)。チャラリートやパップル同様、彼もまた瞳にハイライトが増えている。
あの時にアンジュが与えてくれたアスパワワのおかげで、なんとかダイガンは完全消滅だけは免れていたようだ。このことにさあや本人は大変に感激しており、もしかすると今後の彼女の自己肯定につながることになるかも知れない。
(なお、前話エンドカードは遺影と思われる演出だったが、実際はパップルの事務所の社員ということを表していた)
相変わらず「5分」が口癖なのは変わらないが、常に苛立っていた部長時代とは一転してかなり穏やかな態度になっており、さあやをキュアアンジュだと理解し、互いに名乗り合って改めて礼を述べる。ナイトプールに遅れて合流した後、暫しプリキュアや仕事仲間たちとナイトプールを楽しんだ。
25話では「5分で国民的アイドルになれる」と最早意味不明な煽り文句でえみるとルールーをスカウトするが断られ、夏祭りの屋台で稼ぐことに。
ダイガンは射的の店だがパップルたちも含めこういう店にありがちな細工などをしていない辺り、全員根が誠実で真面目な人柄なのがうかがえる。
第28話ではMAAのタレント犬ハルのオーディション参加を見届けにやってくる。
はなたちとも会話を交わすが、隣にいたパップルのジュリ扇をもろに喰らい気絶する醜態を晒した。
その後オーディション中に猛オシマイダーが会場で暴れ出したため自分たちも逃げるが、この時あろうことか関係者全員転んでしまった社長を置いて全力ダッシュする。当然パップルから恨まれることになり、後で何らかの罰が与えられただろうことは想像に難くない。
前職復帰への誘惑(第38話)
第38話はまさかのダイガン主役回。
ハロウィンの人手目当てにチュロスの屋台を出店するが、パップルとチャラリートは人通りをスカウトに出て行ったため、たった一人でチュロスにデコレーションを施す作業をやらされる。
ちまちまと飾りを作る作業が不器用ゆえにうまくゆかず、苛立っていたところになんとリストルが突然現れた。「ハロウィンとは永遠の別れを遂げた人とも再会できる特別な日らしいですから」と悪びれもなく語るリストル。
「剛腕で鳴らしたダイガンが今やパップルの部下としてこき使われて情けないですね」「こんなつまらない作業に明日を夢見て希望を抱く。愚かだとは思いませんか?」と煽り立て、ダイガンが何が言いたいんだと怒りを表したその時、「特別室長の椅子を用意するから復帰しませんか」という悪魔の囁きともに名刺を渡す。
「5分で決めろとは言いません。今の待遇に満足できなくなった時はぜひご連絡を」
その時は今更何をと一蹴したが、名刺を捨てることはできずポケットにしまい込んだ。そこからはわずかではあるがトゲパワワが漏れ出してきており……
翌日、昨日と同じようにまた一人でチュロスにちまちま飾りをつけるが、やはり不器用ゆえにうまくゆかず、もうやってられるかとふてくされる。その時たまたま目の前で通行人の女性が靴ずれで立ち止まった。それはどこにでもあるような日常の光景だが、ダイガンはその女性が痛みと不快感のせいでものすごく微量のトゲパワワを発しているのを感知する。そしてダイガンはやろうと思えばそこから怪物を作り出しこの地を恐怖に陥れることも可能。普通の人にはこんなことはできない。チュロスに飾りを載せる人なら代わりはいくらでもいる。
自分だからこそできるやりがいのある仕事を欲しているダイガンは、例の名刺を取り出す。そこから漏れ出るトゲパワワに魅入られるかのように「クライアス社もようやくわたしの価値がわかったようだな」と不敵に微笑み猛オシマイダーを発注してしまう。
だがやはりトラウムの襲撃から自分の命を救ってくれたプリキュア達には姿を見られたくなかったようで、召喚した猛オシマイダーの頭部に隠れつつ指揮をとっていた。
ちなみにこの時の戦闘はハロウィンのお祭り会場で一般人を巻き込む結構危険なものであり、プリキュア達はパニックに陥る市民達を落ち着かせるためあえて避難誘導はせず「これはサプライズのプリキュアショーですので安心してください」と言い切って市民達をその場に留めさせた。会場の子供も大人もリアルな演出に大興奮(本物だし)。
先陣を切った恩人のアンジュことさあやの怒りに罪悪感を感じたのか、ダイガンの戦意はまるで感じられず「心苦しい」と弱気な台詞を吐く始末。バトルは終始プリキュアの優勢で、チアフルアタックで猛オシマイダーは浄化された。
そしてプリキュア達が去って行った後、子供達が「あ〜、5分で終わっちゃった…」と名残惜しそうに言ってオチをつけた。
幸い、この密かな裏切りに気付いたのはパップル1人だけで、ジュリ扇で殴られたものの、ちょっと小言を言われただけで許された。
なお、例のチュロスは意外なことに子供達に大人気で「ちまちま乗せていたお菓子の花」が可愛いと気に入られたようだとバップルから聞いたダイガンは、つまらないように見える仕事でも別の誰かにとっては意味を持つというビジネスの需給の原則を改めて思い出し、ささやかな喜びを見出した。
だが照れもあるのか笑顔を見せたのは一瞬だけで、「次は5分で乗せてみせる!」と苦虫を噛んだような表情を見せるのだった。
彼がトゲパワワの誘惑に負けることは、もうないであろう。
第二の人生への出発(第39話〜)
39話でかつての地位やプライドへのこだわりを捨てたダイガンは、心の安寧と自由を手にいれることができたようで、明るい姿が散見されるようになった。
第44話ではどういうわけか映画の撮影現場に紛れていたようで、はなたちと同じく映画の世界に村人姿で迷い込んでしまう。
怪獣に襲われたさあやを救うため立ち向かうも、奮闘虚しく5分どころか3秒で撃沈した。
その後マキ先生の手当てを受ける際の会話がきっかけでさあやは医者になる決意を固めるのだった。
第47話にてクライアス社の本格的侵攻に立ち向かうべくMAA全員で助太刀する。
「君たちプリキュアが私たちに夢をくれた。私が出れば、5分で終わる!」
毎度のごとく5分宣言をするが、今回は仲間の力あってこそとはいえ本当に5分以内で猛オシマイダーの群れを片付けた。しかも生身による格闘だけで。
地位や名誉にこだわらなければ彼は相当な実力を発揮できるということなのだろう。ドクター・トラウムの粛清を受けずにプリキュアと戦っていれば本当は恐ろしい存在になっていたのかも知れない。
そして戦闘中にそのトラウムもプリキュア達の加勢にやってきて、肩を並べて戦うことに。トラウムから「最後になるかもしれないから、これだけは言っておこう。ダイガン、本当に申し訳なかった」と謝罪の言葉を貰う。
ダイガンは「ああ、あれは流石にこたえたよ」と苦笑するが、その直後に攻撃してきたビシンの衝撃波を自分の身を犠牲に防ごうとしたトラウムの間に割って入り、「だが、今同じ心を抱いているあなたを、私は受け入れる!」と、他のMAAのメンバーと協力して攻撃を受け止める。
そしてダイガンを始めとするMAAのメンバーは、過去の苦しみにとどまらずに未来へ歩んでいくことを高らかに宣言。
「最後になるかも」と覚悟していたトラウムは、彼らのあり方に希望をもらうことになった。
11年後
ドクターとして活躍。 同じくドクターとなったさあやと共にある女性の出産を手助けした。
注意
『超獣機神ダンクーガ』の主役ロボ・ダンクーガの武装にも「ダイガン」という名称の火器が存在するが、関係は一切ない。
余談
一部視聴者の間では以前から「5分で終わる!」とは、”自身が5分で退場”という意味ではないのかとネタにされていた。初出撃で退場というのは、前代未聞でありながら、予想されていた結末とも言えるだろう。
中の人について
担当声優の町田政則は、プリキュアシリーズでは『ハピネスチャージプリキュア!』にゲスト出演して以来の出演となる。
放映後に刊行された『HUGっと!プリキュアオフィシャルコンプリートブック』に掲載されたシリーズ構成の坪田文のインタビュー記事によると、クライアス社の社員の中でダイガンだけは倒してしまおうと思っていたが、彼がやられた23話のアフレコで現場での演技を聞いて考え直し、MAAのメンバーとして再登場させることにしたのだと言う。
「あんな声で「ありがとう……」って言われたら、悪い人じゃないんだなって思っちゃいますよね」
特殊な活躍
プリキュアにとっての敵同士による衝突によって退場した例は前作のノワールに続くが、敵同士の衝突によって乱心し自滅を招いたオルーバも含めれば、3作品連続の展開となった。
特に前作と前々作は作中の全ての元凶クラスのキャラであるが、本作も部長という一応高い地位の人物であった。
そして、プリキュアシリーズとしては史上初の「一戦交えることなく退場してしまった敵幹部」となってしまった。なおかつ第38話では「一度改心したにもかかわらず、悪魔の囁きに負けて再度プリキュアと戦う」という、これまた珍しいパターンを披露している。
プリキュアとの交戦回数では、シリーズではエターナルのイソーギンとヤドカーン、キラキラルをうばう存在のディアブル、終わりなき混沌のラブーの4回のみならず、ダークフォールの霧生満と霧生薫、幻影帝国のダーク誠司の2回を下回り、ドツクゾーンのキリヤ、幻影帝国のキュアテンダーに並ぶ(首領格やナンバー2格を除く)。
ちなみに、同じく交戦回数が1回だけでほぼゲスト扱いに等しいマイナーランドのゴーレム、バッドエンド王国のバッドエンドプリキュア、ジコチューのジコチュー細胞、幻影帝国のマダムモメール、キラキラルをうばう存在の悪い妖精たちも敵対時に一戦交えている。
実はクライアス社のルールーや、ジンジンとタクミも交戦回数はたったの4回だったが、ルールーの場合はプリキュアになったので扱いが少々特殊だろう。
因みにチャラリートもパップルもプリキュアに抱擁されてから浄化されており、ダイガンがプリキュアに抱擁されるのは色々とマズいから味方に粛清される末路になった、という邪推をしている視聴者もいるとか。
とはいえ、無事新たな人生を送る事が出来たため、彼もプリキュアに救われたのは間違いない。
関連イラスト
▼クライアス社勤務時
▼まえむきあしたエージェンシー所属時
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プリキュア内
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