概要
小説『機動戦士ガンダムUC』11巻のエピソード「不死鳥狩り」を初出とする存在。
以下には、機動戦士ガンダムNTの重大なネタバレがあります。
存在の『仮説』
宇宙世紀0097年において、ミシェル・ルオが立てた、既存のミノフスキー物理工学とは異なる『仮説』。
この『仮説』によれば、全体は、宇宙世紀の人間が認識の及ばない高次元にあり、魂が集うフィールドとして存在している。
そして、ニュータイプは生きたまま、魂から発する未知のエネルギーを操って現実に働きかける者であり、サイコミュは時に魂のエネルギーを集め物理的なエネルギーに変換してモビルスーツに作用させる装置として定義している。
加えてミシェルは、サイコフレームとは「全体と繋がって時を操る力を引き出す媒体」であると見なし、かつて己が積み上げてきた“罪”を精算する為に、フェネクスの捕縛に強く拘ったのである。
過去の像(イメージ)の知覚
宇宙世紀0079年の一年戦争末期にはララァ・スンがメガ粒子に焼かれる瞬間、彼女とアムロ・レイとが、あたかも『密会』での秘め事のように“刻”を観念として垣間視ている。なお、このとき付近にはエルメスに搭載された最初期型のサイコミュが付近存在してはいたが、サイコフレーム程に高度な“システム”は存在していなかった。
また、宇宙世紀0096年に生じたラプラス事変の最終決戦において、ネオ・ジオングのサイコシャードという“システム”を介して、フル・フロンタルはバナージ・リンクスに一年戦争時代の“像(イメージ)”を垣間視せている。
この世ならざる知識の引き出し
宇宙世紀0097年機動戦士ガンダムNT時点において、ハルユニットはフル・フロンタルが“この世ならざる知識”で造り上げたとの噂が『袖付き』内で流れていた。(表向きには、単純にブラックボックスとして扱われ、工学的な「整備」もなされている。)
もしこれが真実であるならば、全体の中には、死者の生前の記憶だけでなくあらゆる知識が蓄積されたアカシック・レコード的な側面を持っているという、側面も有るのかもしれない。
サイコフレームへの集積とサイコ・フィールドの発現
宇宙世紀0093年に起きた「アクシズ・ショック」では、コックピット周辺にサイコフレームを採用したνガンダム、数えきれない程の人間の意思が集積し、宇宙世紀史上、他に類を見ない天文学的なエネルギーを生じさせた。
また、ムーバブルフレーム全体にサイコフレームを採用した、フル・サイコフレーム機の場合は、一人の人間の“魂”全体とでも言うべき容量の意思をしゅうせき、留めておく事が可能なようであり、バナージ・リンクスを取り込んだ“ユニコーンガンダム【光の結晶体】や、リタ・ベルナルを取り込んだユニコーンガンダム3号機フェネクスという、『真のニュータイプの形のひとつ』を生み出している。この“形態”となったフル・サイコフレーム機は、コロニーレーザーの照射を一分に渡って防ぎきり、あるいは光速に近い速度での機動を実現している(しかしながら、「アクシズ・ショック」で発したエネルギー量と比較すれば、極めて微々たるレベルであった。)
加えて、フェネクスに宿ったリタの意思は、幼馴染であったヨナ・バシュタにハルユニットの破壊を『呼び掛けている』。
小説『不死鳥狩り』において
『不死鳥狩り』での説明によれば、宇宙世紀の人間はこの世に産まれ、寿命を全うし、死ぬ(肉体を捨てる)と全体へと還る。全体はこの循環運動を繰り返しているとしている。
ただし、全体の中へ還っても、人間としての自我は個々で残っている。ただし姿・形は接触する生者のイメージに依存するようで、ヨナ・バシュタが幼馴染のリタ・ベルナルと世界の界面(現世とあの世との境界)で再会した際にはヨナの持っている記憶が反映されて、リタは幼少期の姿をしていた。
フル・サイコフレームの機体に魂を移す
サイコフレームが人の意思を集積する金属だからか、全身がサイコフレームで出来たいわゆるフル・サイコフレーム機体を全体は依代とする事が出来る。『不死鳥狩り』ではユニコーンガンダム3号機フェネクスにリタ・ベルナルの魂が乗り移っている。
このフェネクスは半年間、間無補給で活動をけいぞくしている。更にはバズーカよりも速い速度で記載の機動すら見せた。
全体の一部となって出てきた人物
リタ・ベルナル
U.C.0095、地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクスとの合同評価試験に強化人間として参加したリタは、搭乗機体ユニコーンガンダム3号機フェネクスのリミッターを外された事で試験中に死亡。全体の一部になった。フェネクスの全身がサイコフレームで出来ていた為、彼女の魂はフェネクスに憑依、機体が彼女の肉体となった。
イアゴ・ハーカナ
U.C.0096、袖付きのヤクト・ドーガをコアとした不完全なネオ・ジオングとの戦闘で機体を操られ、止む無く味方のヨナ・バシュタに自分を討つよう命令したイアゴは死亡。全体の一部となった。
行動目的
全体の一部となったリタ・ベルナルの魂がユニコーンガンダム3号機フェネクスを肉体として、フル・フロンタルの手にネオ・ジオングが渡り、準備の出来ていない人類に刻を見せてしまう前に破壊しようとしていた。
既知
『不死鳥狩り』でヨナはフェネクスの近くにいた影響で、誰のものかも分からぬ他者の魂の既知が自分の既知と同化して、本来ならば知りえない対象の情報を獲得し、短期間でパイロットしての技術も向上した。
また、ヨナが既知にアクセスし可視化された“刻”を通して、リタの過去の映像を視たとしている。これらの事からニュータイプは、既知へアクセスすることで過去の映像を視ているという解釈が成された。