概要
地球に突如襲来した外宇宙からの勢力。
土偶を思わせる戦艦・「バンドック」を旗艦とし、キラー・ザ・ブッチャーが司令官となって、「メカブースト」を主戦力にした破壊や殺戮活動を行っている。
かつて、神ファミリーの先祖達の母星である「ビアル星」を滅ぼしており、神ファミリーにとっては自分達の身を犠牲にしてでも、倒さなければならない存在となっている。
数多くのロボットアニメに登場した異星人勢力の中でも、極めて残虐非道な集団であり、文字通り人間に爆弾を埋め込んだ「人間爆弾」による爆破活動は、「ザンボット3」を最も象徴する要素の1つとして有名。準レギュラーに近いキャラクターの数人も、様々な形でこれの犠牲となっている。
名称の由来は恐らく「海賊(かいぞく)」と思われるが、やっている事は最早宇宙海賊では済まされない、「殺戮集団」に等しいものである。
戦力
バンドック
ガイゾックの母艦及び本拠地となっている、巨大な移動要塞。
遮光器土偶の頭部が、4脚付きの台座に乗ったような独特なフォルムが最大の特徴。
基本的にはキラー・ザ・ブッチャーが指揮を執っているが、内部には真の黒幕・「コンピュータードール第8号」の本体も隠れ潜んでおり、この本体はバンドックの動力源ともなっている。
主砲「バンドック砲」を始めに、数々の強力な武装による高い戦闘能力、重装甲と要塞全面を覆う強力なバリアに守られた、鉄壁の防御力を有している。
更に、活動可能範囲は陸海空を問わない万能自在さを誇り、ザンボット3やキング・ビアルですら、手出し出来ない海溝の奥深くさえも、苦も無く潜む事も可能であり、ガイゾックの神出鬼没振りは、この要塞の圧倒的な汎用性に因る所が大きい。
内部にはメカブーストの製造工場や格納庫の他、研究施設、ブッチャーが趣味で自身専用に設置した娯楽施設等もあり、設備も充実している。
土偶型の頭部は独立した機動ユニットにもなっており、緊急時には分離して戦闘の続行が可能。
メカブースト
ガイゾックが主戦力としている戦闘用ロボット。
その多くは生物や兵器をモチーフとしたものであり、基本的に人類の通常兵器では全く歯が立たず、実質ザンボット3以外には、対抗不可能な高い戦闘能力を誇る。
毎回異なる容姿や性質を持った、個性的なメカブーストが登場し、ザンボット3と死闘を繰り広げるのが、話のトリを飾る基本的なお約束となっている。
バンドック内部の製造工場で造り出されるが、一部例外もある。
赤騎士ヘルダイン、青騎士デスカイン
バンドックの奥深くに封印されている、2体の騎士型メカブーストで、バイクに似た台車の上に鎧騎士の上半身が乗ったような外見をしている。
メカブーストの中でも、最強の戦闘能力を誇るガイゾック側の切り札の一つであり、普段はその強大さ故に使われる事はない。
コンピュータドール第8号により、封印を解く命令が下された際には、享楽主義者のブッチャーも驚愕して真の意味で事の重大さを悟り、遊び心を捨て本腰を入れている。
2体での連携戦術を得意とするが、単体でも十二分に強い。
正体
物語の後半に入るまで、ガイゾックの最高指導者はブッチャーだと誰もが思っていたが、地球人の香月慎吾がバンドックからの脱出を試みていた際に、初めて真の支配者の存在が語られる事になった。
残虐非道と下劣さを併せ持ったブッチャーでさえも、震え上がるしかないその真の支配者の正体は、ガイゾック星人が造り上げた生体端末「コンピュータードール」であった。
コンピュータードールは悪い思考をした生命体の住む星を滅ぼす事を使命としてプログラムされていた為に、ビアル星や地球と言った惑星に攻撃を仕掛けており、とどのつまりガイゾックにとっての殺戮活動の真意は(極めて身勝手な尺度による)「宇宙の秩序に混乱を巻き起こしうるバグの消去」のようなものであった。
但し、人間爆弾等の非道な作戦は、あくまでもブッチャーが遊び感覚で独断に行ったものに過ぎず、あまりにも無軌道かつ非効率なやり方で作戦を遂行する彼には、コンピュータードールも次第に痺れを切らしていたようである。
ブッチャーの詰めの甘さによる度重なる失敗が原因で、バンドックが大きな攻撃を受ける事態となった結果、激怒したコンピュータードールはブッチャーに懲罰を行った後、赤騎士ヘルダインと青騎士デスカインの封印を解くと同時に、ブッチャー自身に出撃を命令するも結局ブッチャーは死亡。遂に自らバンドックで攻撃を仕掛けるも、ザンブルとザンベースの特攻を受け、更には内部に神勝平のザンボエースが突入した結果、コンピュータードールも機能停止寸前にまで陥る。
最後は、自らの元へ辿り着いた勝平に自らが生み、出された目的を明かし、彼らが命を犠牲にしてまで身勝手な地球の人間を守る必要があったのかと言う、問答をしあった後に爆発した。
自分達の行為を無意味だったと認めたくなかった勝平は、最後まで地球の人間を信じようとする返答をしていたが、結局はコンピュータードールの言葉を、完全に否定するまでには至らなかった。
ガイゾックの謎
余談であるが、ガイゾックに関しては幾つかの謎を残したまま、「ザンボット3」の物語は終幕を迎えている。おおまかは以下の通りである。
- コンピュータードールが「第8号」であった事から、同型が存在する可能性はあるか(少なくとも7基)?
- コンピュータードールを造り出したガイゾック星及び、ガイゾック星人が現在も存続しているか?
- コンピュータードールは正常に機能していたと言えるか?
- 何の権利があってこのような殺戮行動を行うのか?
- ガイゾック星人の「善悪の基準」は果たして、地球やビアルと同じものだったのか?
- そもそも、コンピュータードールを生み出したガイゾック星人達の文明は何だったのか? 宇宙の秩序とは何時・何処で定められたものなのか? 混乱を巻き起こしているのはむしろガイゾックの方ではないのか?
これらの謎について考えると、神ファミリーの殆どが犠牲になって撃退したガイゾックは、未だに太陽系外宇宙のどこかで存続しながら、他の文明と戦いを繰り広げている可能性も否定できない。
ビアル星の記録にも、ガイゾック星に関する詳細が無かった為、結局の所ガイゾックとは何だったのかについては、未だに明かされないままである。
スパロボでは
この『無敵超人ザンボット3』は非常に悲劇的な話であり、スパロボにおいても救済策の筆頭として挙げられる。
原作ではガイゾックは終始、神ファミリーを断罪するのみであったが、スパロボにおいては他作品のキャラから「その正義感は単なるエゴに過ぎない」と批判を喰らう事もある(実際、『悪を滅ぼす』と言いつつ、他作品の異星人侵略者には手を出さないどころか、時には協力まですると言うダブスタっぷりなので……。恐らく地球を滅ぼした後、同様に滅ぼす算段なのだろう)。特に『ザンボット3』の後番組主人公からは「ヒトの血肉も良心も捨て去った機械のバケモノ共と同類」とまで断じられている。
尚、『第3次スーパーロボット大戦Z』においては、コンピュータドールが7体も登場する。揃いも揃って人間同士の争いに明け暮れる地球人を非難するも、勝平からは「人間の悪い所だけ見て勝手な事を言ってるだけ」としっぺ返しを食らう。
戦闘においては戦艦バンドックのパイロット扱いである事が多いが、メイン画の本体と直接戦う事もある。
関連タグ
ギルバリス(ウルトラマンジード):宇宙に平和を齎す事を目的としているが、その実は生態系すらも否定する秩序の破壊者そのものだった存在。同じくプログラムであった。
デューオ(ロックマン8):宇宙に平和を齎す為に遣わされたプログラム。融通が効かないという点では同類である。
ガルファ(GEAR戦士電童)、デビルガンダム(機動武闘伝Gガンダム):こちらは環境問題を解決するために作られたが以下略。
デスガリアン…『ゲームとしてあらゆる生物を虐殺』と言う、ガイゾック以上に凶悪な集団。