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検察庁法改正案に抗議しますの編集履歴

2020-05-20 04:28:43 バージョン

検察庁法改正案に抗議します

けんさつちょうほうかいせいあんにこうぎします

2020年5月にTwitter上に出現したハッシュタグ。

現在進行形の話題なので、情報の入れ替わりがかなり激しくなると思われます。項目に記載されている内容につきましても、筆者自身至らない点もありますので、もしご指摘がありましたら追記・修正よろしくお願いします。


概要

2020年5月9日深夜頃にTwitter上で話題になったハッシュタグ


安倍内閣検察官の定年延長に絡んだ『検察庁法改正案』(あくまで俗称)を国会に提出。それに絡み、「行政(内閣)による司法への介入が行われる」「三権分立が崩壊する」「安倍首相が自身と親しい(とされる)黒川弘務東京高検検事長の定年延長による忖度」といった憶測が広まり、改正案の成立阻止を目的とする動きが拡大、改正案への抗議としてTwitter上で同ハッシュタグが生まれた。更に、一般人のみならずきゃりーぱみゅぱみゅオアシズ大久保佳代子小泉今日子いきものがかりの水野良樹と言った多くの芸能人も拡散運動に参加し、所謂「芸能人の政治参加」についても大きな議論へと発展。同ハッシュタグがトレンド上位に入り、この動きを野党マスコミが取り上げた事も合わさり、もはや炎上に近い騒動となっている。


法案の内容

最初に断っておくが、当該法案の正式名称は『第201回 閣第52号 国家公務員法等の一部を改正する法律案』であり、『検察庁法』のみの改正ではない事に留意してもらいたい。

大まかな内容として、「国家公務員の定年を2030年度までに60歳から65歳へ段階的に引き上げ、引き上げ自体は2022年度から2年ごとに1歳ずつ行う。改正案には検察庁法の改正も含まれ、検事総長を除く検察官は、現行の63歳から65歳へ引き上げる。局長等の管理職は60歳で非管理職に移す「役職定年制」も盛り込み、検察官でも同様の制度を導入する」(参考:読売新聞)と言うもの。


割と勘違いされていることだが、改正案の対象は検察官だけではなく、国家公務員全体が対象である。

話題になっている『検察庁法』の改正も確かに絡んでいるものの、それのみの改正だと誤解されている節も見られる。


現在、民間での定年は65歳となっているが、公務員は未だに60歳定年制のままである(自衛官に至っては最高54歳)。当然ながら元国家公務員は、年金支給が開始される65歳までの間は、貯金切り崩し等の苦しい生活を強いられる事となる為、定年退職後の国家公務員の救済を目的とした、一括の定年延長が閣議決定された(但し、所定の手続きをすれば、年金の早期受給=繰り上げ受給は可能な為、改正する論理としては弱いと思われる)。


尚、5月18日、政府・与党は同改正案について「国民の理解なしに国会審議を進めることは難しい」として、国会での成立を見送った。

但し、今年下半期に行われるであろう、臨時国会で改めて改正案を通そうとしており、予断は許されない状況は未だに続いている。



反論

ここでは、法案に対する問題点への反論を記述。

  • 「内閣が検察官の定年を決めるのは司法への介入であり、三権分立の崩壊につながるのでは?」

→そもそも検察庁の所属は行政(つまり内閣と同じ立ち位置)。さらに三権分立といってもお互いに介入し合っており、行政と司法についても"行政→司法=最高裁判所長官の指名等"、"行政←司法=行政の適法性の審査"と言う繋がりがあり、日本国憲法にも規定されている。検察官も法務省所属なので、国会が承認すると内閣が発令する決まりとなっている(但し、自民党の公式ホームページにて、上記の図式が提示されたが、根幹的な誤りが発見された為、複数人の有識者から「自民党は三権分立を理解していないのでは?」と、疑われてしまった)。


  • 「安倍首相が自身と親しい黒川東京高検検事長の定年を延長し、モリカケ疑惑の揉み消しを計っているのでは?」

→2019年11月の時点で、与野党調整能力の高さから、黒川検事長を次期検事総長に就任する考えがまとまり、任期満了間近だった現検事総長の稲田伸夫氏も、年明けに退任する方向で話が進んでいた。しかし、2019年の年末に保釈中だったお騒がせ元CEOのカルロス・ゴーン氏が楽器ケースに入ってレバノンゴーンしてしまう。この状況では引責辞任による退任と誤解され兼ねなかった為、検察は内閣に仕方なく任期延長を要求。内閣も半年だけ定年を延長するよう調整、また引き継ぎが困難な時は任期延長を依頼出来るよう、事項を法案に盛り込む事も決まった。つまり、「内閣が不祥事抹消の為に検察に介入したのではなく、ゴーン逃亡や新型コロナウイルスと言った、不測の事態が重なった事による、検察側からの内閣への要望」であった。

尚、黒川検事長は安倍首相と親しいと言われているが、実際は2人には面識がない。むしろ黒川検事長は自民党の秋元司議員を、去年発覚したIR問題で立件しており、自民党にとっては都合の悪いとも言える問題にも絡んでいる為、忖度が働いたとは考えにくい。そもそも黒川検事長は施行日の令和4年4月1日には定年の65歳を迎える為、今回の改正案の対象外となる。


  • 「黒川検事長を始めとする安倍政権にとって、都合の良い人間を辞めさせない為の法案では?」

→改正案の検討が開始されたのは福田康夫内閣だった2008年から。尚、民主党政権時代の野田佳彦内閣でも、検討自体は継続しており、安倍政権による人材コントロール説は無理がある。だが、新型コロナウイルスによる多くの問題に対応が迫られている現状で、何故、急に与党がコロナに影響がない法案を成立させようとしたのかは不明である。


但し、これらの反論も詳しい真相はどうなのかわからない(裏で黒川検事長と安倍首相が、本当に親しい可能性もある)為に、一概に与党が悪くないとは言えない為、それぞれの考えの基に判断した方が良いだろう。


反応

同ハッシュタグ付きのツイートは、短期間で500万ツイートを超え大きな話題となった。しかしツイッター民による調査の結果、所謂「即席垢・捨て垢」と呼ばれる突貫工事で作られたアカウントによるハッシュタグの連投が相次いで報告された為、「反対派によるトレンド工作だったのでは?」という疑惑がかけられている(一部参照。尚、全ての投稿がスパムではない事にも留意すべし。但し、後に公正な第三者機関の調査にて、『即席・捨て・bot等による拡散は全体の15%弱で、残るは発信者の発信内容を読んだ上で、フォロワーが拡散した』と報告された)。

また、マスコミや立憲民主党等の左派野党が、便乗するような形で話題に挙げ追求し始めた為、かつての『特定秘密保護法案』や『安保関連法案』の騒動と同じく、「反安倍政権派による盛大なプロパガンダとして、冷めた目で見ているユーザーも存在する。


尚、公務員の労働組合組織である「全日本自治団体労働組合」(略称:自治労)は、改正案の成立に前向きな姿勢を示しており、大々的に広報も行っていた程。それ以外の国家公務員系労組も改正案に好意的な反応を示しており、改正案成立の見送りには落胆・憤慨していた。

立民を始めとする主要野党は、改正案の成立阻止に成功し勢いを得たものの、支持層である公務員系労組からは、落胆の意見が挙がったことから「野党は今回の政争で、公務員系労組を敵に回してしまったのではないか」とも噂されている(逆に自公からすれば、改正案成立の見送り自体大したダメージにはならないが、上記の事実に加え、下記の矛盾だらけの答弁に正当性を持たせる為に、この改正案に拘泥している)。


マズいと感じたのか、自治労からの圧力が来たのかはわからないが、法案成立見送り後に枝野幸男ら野党サイドは「他の公務員と検察は分離して採決しろ」と方向転換する。

しかし、黒川氏個人のみならず下手をすれば、検察官全体に対する職業差別と取られ兼ねないこの動きは、更なる波紋を呼びそうである。


但し、過去にロッキード事件等に関わった、検察庁OB達からも抗議が殺到している以上、この改正案が通る事は、検察庁の公正・公平性を損なう案件なのも事実であろう。

しかし、2010年に発生した尖閣諸島中国漁船衝突事件において、当時の民主党政権サイドからの圧力という、より直接的な政治の司法への介入があったときに彼らは大々的な抗議を行なっていなかったため、「当時は民主党政権に対して何の抗議もしなかったのに、当法案に対して抗議をするのはダブルスタンダードではないか」と言う批判もある。


芸能界での反応

歌手・タレントのきゃりーぱみゅぱみゅは、一般ユーザーが作成した相関図とハッシュタグをセットでツイートし話題を集めたが、基となった相関図は政治バイアスが強かった上、図の誤りを作成者が認め画像を削除(参照)。きゃりーも後日ツイートを削除し、謝罪ツイートを投稿した。


また、指原莉乃は5月17日放送のワイドナショーに出演した際に「Twitterでハッシュタグを呟け」との呼び掛けがあった事を暴露。指原自身は「ハッシュタグのおかげでそういうことに関心を持てたが、自分は確固たる信念もないし、勉強もしてないからそういう呟きはしていない」と言う旨の発言をした上で「芸能人が政治に触れるのはいいが、拡散されていた相関図が正しいとは限らない」と発言。発信力の高い芸能人が政治についてきちんと勉強していない状態で、一方の偏った意見を鵜呑みにして安易に政治を語る事に対して警鐘を鳴らしている。


余談

元来、同制度が議論になったのは「制度の適用対象に検察官が含まれるのかと言う解釈」についてである。

国家公務員の勤務延長制度が制定された当時、国会において同制度が検察官には適用されないとの解釈が答弁されていたにも関わらず、これを解釈変更して適用された。


それに対し

  • 解釈変更を行うにあたる立法事実が存在したのか(何故、急遽このような解釈変更を行うにあたったのか)
  • 解釈変更を行う正当なプロセスは行われたのか(後付けで行ったのではないか)
  • 何故、政府参考人が矛盾となる答弁をしたのか(解釈変更はしていないとの答弁。後に言い間違えたと修正)
  • 解釈変更をするに際して、『法務省行政文書取扱規則上の文書ではない』と判断して、口頭決裁に留めたのか

と言った疑問点が噴出した事が、上述のミスリード等につながった可能性は否定できない。


また、自民党内部からも反対の声は出ている。


誤解に基づいたデマを拡散する事は、論外なのは言うまでもないが、その誤解や疑惑を解消していくのも、政治家の役目ではなかろうか。

また、情報を受け取る側も、自分で改めて一次ソースを確認する等、正しい情報の受信と発信に努める事が大切だと言える。


同改正案の必要性に、現首相は「昨今の多様な諸問題に対し、確かな実績を持った人物だから職を継続して貰いたい(要約)」としているが、旧国会議員の若狭勝弁護士曰く「検察の業務は全体同一性なものであり、仮に『現在の総長が急逝したとしても、残された人員で滞りなく業務継続が出来る』のが正しい検察庁の姿(要約)」と答えている。


関連タグ

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