概要
第1期のBOOSTERシリーズ第5弾、BOOSTER5で登場した水属性・水族の通常モンスター。
第2期に入ってから2回再録されたが、それ以降の再録はなく、現在は絶版カードとなっている。
海神の巫女や水面のアレサなどと同じ「完全な人間の女性の姿をした水族モンスター」の1体でもある。
(水族はガエルやペンギンのほか、スライム系の不定形モンスターやグレイドルといった不気味な異形のモンスターも多く属しており、完全な人間の姿をしたものは戦士族や魔法使い族に流れやすい。)
なお、TCGをはじめとする他のゲームなどにも「水の魔導師○○」(または「水の魔道士○○」/○○はキャラクターの固有名詞)という名前のキャラクターが存在するほか、漫画やアニメなどに登場する水の魔法を得意とするキャラクターを、公式または非公式に「水の魔導師」(または「水の魔道士」)という通称で呼ぶこともあるが、こちらの記事では遊戯王OCGの「水の魔導師」について紹介する。
遊戯王ラッシュデュエルにも参戦決定。
カードテキスト
通常モンスター
星4/水属性/水族/攻1400/守1000
水で相手の周りを囲んで、包むように攻撃をする。
このカードの性能について
「奈落の落とし穴」や「死のデッキ破壊ウイルス」の範囲外でかつ、属性リクルーターに対応する通常モンスターとしては、まずまずのステータスであると言える。
ただし、このカードと同じ種族・属性・レベル・攻撃力を持つ通常モンスターには、このカードよりも高い守備力を持つ水の踊り子と弓を引くマーメイドが存在する。
水の踊り子は、カードイラストの女性がまさかの全てモロ出しの全裸というあまりに強烈過ぎるインパクトから当時から多くのデュエリスト達の心を掴み、アニメにも2作に出演経験があり、ゲーム作品ではダンシング・ソルジャーの専用の生け贄に指定されているなど多くの厚遇を受けている。
また弓を引くマーメイドも、元々は原作でペガサスが使用したカードであり、トゥーン化、アニメ出演の他、DM3以降のDMシリーズではゲーム専用のモンスター効果を与えられている。
一方でこのカードは、アニメオリジナルカードも含め魔法・罠カードのイラストへの出演経験なし、漫画などで使用したデュエリストもおらず、アニメにも出演経験なし、ゲームで特有の効果を与えられたこともなければ、レオ・ウィザードのような特定のゲーム作品における目立った活躍も、ヴァリュアブルブックの美女コンテストやマスターガイドでのフィーチャーも一切なしという、全くのナイナイ尽くしとなっている。
また水の踊り子が収録されているVolシリーズと違い、BOOSTERシリーズは一部地域では入手困難だったのも相まって、水の踊り子と比べてもとにかく影の薄いカードだったと言わざるを得ない。
しかし、このカードは上記の2体と違い、自身のカード名が特定の融合モンスターの融合素材に指定されているため、「融合準備」や「E・HEROプリズマー」といった、カード名を参照する融合関係のサポートカードの恩恵を受けることができる。
ただし、その融合モンスターである「マリン・ビースト」は第1期に登場してから現在まで1度も再録されていない非常に入手困難なカードなので、このカードの持ち味を活かすためにはまず「マリン・ビースト」を手に入れなければならないというのが玉に瑕である。
ちなみに融合相手のベヒゴンはウミヘビを名乗るウミウシのような得体の知れない謎の化け物で、融合後の「マリン・ビースト」の方も、その姿は上半身がライオンで下半身が魚というまるっきりマーライオンである。
こういった「三者の容姿がまるで見合わない意味不明な融合相手と融合後のモンスター」という構図は、第1期ではままあることだったが、彼女はそれらの中でも特に悲惨な融合の輪に入ってしまっている。
なお融合相手のベヒゴンとは、こちらの方が攻撃力が50高い以外は種族から何から全て同じステータスで、あちらの完全上位互換という関係にある。
このカードの容姿について
年齢などは当然不明だが、第1期のモンスターカード特有の雰囲気を持つ大人の女性である。
肩に少しかかるくらいの長さの紫色の髪、青い司祭帽・靴・法衣・マントをそれぞれ身に着け、法衣の下には首まで覆われた上下一体の緑の長袖の服を着ており、脚はふとももまで白いタイツで覆われている。
帽子のてっぺんにはひらひらした白い飾りが付いており、ドラゴンクエストの女僧侶が身に付けているものに似た前後に張り合わされた青い法衣の胸部には、赤いエジプト十字(アンク)の文様が描かれている。
また、手にしている長い杖には先端近くにクリスタルのような形をした赤い装飾があり、先端には緑色の球体と、それ包み込むつぼみのような形状の装飾が見られる。
「水の」魔導師というだけあって青色がメインの衣装になっており、帽子と法衣のライン・模様や、マントと袖の留め金などの各部位のポイントとして赤色を多く用いているなかなかの原色レディ。
海外版では、宗教上の都合により胸部の赤いエジプト十字の文様が修正されて(消されて)しまっており、重要な赤色のワンポイントが失われて非常に違和感のあるイラストになっている。
ゲーム作品における扱い
GBのDMシリーズ及び真DMにおいて
DM2からDM1で登場していたモンスター達に追加される形で登場、ゲーム内での番号はNo.430。
召喚魔族は順当に水魔族に設定されており、真DMでは第1守護星が「海王星」(水魔族に相当)、第2守護星が「水星」(黒魔族に相当)となっている。
守護星が「海王星」の時はカードテキストにも書かれているように相手を包み込むように水の渦を起こして攻撃し、「水星」の時は杖の先端から一直線に伸びる激しい水流を相手に浴びせて攻撃する。
DM3以降のDMシリーズや真DM2では、OCGにはない特有のモンスター効果を与えられるものも多かったが、このカードは全ての作品で通常モンスターに徹している。
ゲーム作品ではOCGにおける「装備魔法」は「強化魔法」という名称になっており、各カードが強化できるモンスターもOCGとは大きく異なっている。
このカードが対応する強化魔法は、全てのモンスターに対応している「巨大化」と「シャイン・キャッスル」(真DMのみ)を除くと以下の通りである。
水関係 | ポセイドンの力 |
---|---|
魔法使い関係 | 秘術の書 |
女性モンスター関係 | エルフの光、銀の弓矢、電撃鞭、サイバー・ボンテージ、悪魔のくちづけ |
かつてこのカードは一部のデュエリスト達からは男だと勘違いされていた(イラストをよく見るとそれなりに胸の膨らみがあるのがわかるのだが・・・)時期があったが、「サイバー・ボンテージ」などの女性系強化魔法に対応するということで、無事にその疑いは晴らされる運びとなった。
女性モンスターだからといって女性系の強化魔法に全て対応するとは限らないが、このカードは5枚の女性系強化魔法全てに対応しているため、強化手段はなかなか多い。
また、女性モンスターであるために「紅葉の女王」「ヴァルキリー」「キャット・レディ」「砂の魔女」などの融合素材としても使うことができる。
OCGでは、同じ「マリン・ビースト」の融合素材であり、属性リクルーターと相打ちになってしまうことを除けばこちらが完全上位互換となるベヒゴンだが、ゲーム作品でもこちらが「女性」故に融合パターンの数で大きく勝り、「猛獣の歯」に対応していないことを除けば、対応する強化魔法の数でも遥かに勝っている。
このように、常にこちら側が優位であったベヒゴンとの関係性だが、後に登場するDM4というゲームが作り出した世界において、それは大きく変化することになってしまう。
DM4において
攻撃力1400のこのカードにとってまさに暗黒期の到来である。
こちらの詳細は1350次元のページを参照。
ちなみにDM8ではビックバイパーにNo.430を奪われてリストラの憂き目に遭ってしまっている。
真DM2において
魔道紳士ーJがデッキリーダーの初期デッキに入っており、ゲーム内での番号はNo.576に移動している。
使用してくる相手デュエリストがいないため、初期デッキ以外での入手ルートは転生しかないが、カスタムデュエルでデッキマスターKに使用させて墓地に落とせば、スロットで増やすことができる。
強化魔法の仕様変更により、従来のDMシリーズや真DMでは対応していた「秘術の書」「銀の弓矢」「エルフの光」で強化できなくなり、新たに「エレメントの泉」で強化することができるようになっている。
また、女性モンスターを強化する「悪魔のくちづけ」「電撃鞭」「サイバー・ボンテージ」には対応しているが、女性モンスターを融合素材に要求するモンスターの1体であるヴァルキリーの融合素材に使えなくなってしまったため、幾分かその有用性は下がっている。
同じく「女性」を要求する「紅葉の女王」や「キャット・レディ」の融合素材には今まで通り使用可能で、薄幸の美少女などは普通にヴァルキリーの融合素材になるので、その基準は不明である。
攻撃力1400なので、ウイルス地形に進入できるモンスターとしては結構強い部類になるが、これは当然水の踊り子にも同様のことが言える上に、女性モンスターに限定しても、ウイルス地形に進入可能でより高い攻撃力を持つエンシェント・エルフが存在している。
3Dモデリングのクオリティに関しては、前作である真DMから格段に上がっており、ポーズなどの関係で公式のカードイラストでは十分に見られなかった彼女の美脚を存分に堪能できる。
この作品での攻撃方法は、真DMにおける守護星が「水星」の時のものに近く、振り上げた杖に魔力を集めた後、激しい水流で相手を攻撃する。
勝ちモーションでは、浮遊状態からその場で後ろ側に一回転宙返りするという、魔導師らしからぬアクロバティックなモーションが見られる。
デッキリーダーにした時のセリフは以下の通り。
戦闘開始 | 私に溺れてみる? |
---|---|
戦闘待機 | ふんふん~♪水もしたたるイイ女~♪ |
敵DL接近 | 水際に敵が来たわよ! |
残LP少 | いよいよ背水の陣ね… |
残デッキ少 | いよいよ水も枯れてきたわね… |
残ターン少 | いよいよ残りターンが少なくなってきたわね… |
勝利 | 今度からは水の力をナメないことね! |
敗北 | あーあ、やっぱり勝負は水物ねぇ… |
Dドロー | 水圧は上がっているわ!今こそ怒濤の水流よ! |
簡潔に言うならば「水に関する様々な言葉を使うイケイケのおねえさん」といったキャラ付けになっている。
真DM2におけるモンスターのセリフには、変わったキャラ設定(変な語尾など)のものや、内容が全力でネタに走った無茶苦茶なものが多いが、このカードはそれらの中では比較的普通な方である。
デッキリーダーとしての性能だが、まず水族が取得できるデッキリーダー能力は「味方同族強化」・「敵特定種族弱化」(機械&炎)・「支援範囲拡大」・「地形変更」(海)の4つである。
このうち「地形変更」はレベル1の水族しか覚えられないため、このカードが取得可能なデッキリーダー能力は、全てのモンスターが中尉または中佐で取得する「ディスティニー・ドロー」を除くと、わずか3つしかない。
しかもこのカードが最初に取得するデッキリーダー能力である「味方同族強化」を覚えるためには「大佐」にまで階級を上げなければならず、水族なので隠された能力である「財宝探索」「スロットライン増加」も覚えられないので、よほどこのカードに愛着があるが、全モンスター元帥化でも目指していない限り、敢えてこのカードをデッキリーダーに据え、階級上げに時間を費やす人はいないだろう。
「味方同族強化」は、支援範囲内の自身と同じ種族のモンスターを自身のレベル×100ポイント強化する(上限は500ポイント)という仕様になっており、レベル4のこのカードだと400ポイントしか強化(弱化)できないので、「地形変更」を使わないなら水族のデッキリーダーはレベル5以上が適任であると言える。
とはいえ「味方同族強化」「支援範囲拡大」を併せ持っている時点で、水族はデッキリーダーとしての最低限の素質は持っている種族なので、強化&弱化値がより低く「地形変更」も覚えないレベル2~3の水族に比べれば、愛着だけでこのカードをデッキリーダーに据えることはさほど苦にはならないだろう。
取得できるデッキリーダー能力の取得時期は以下の通り。
「水族・レベル4スタイル」で、このカード以外の水族・レベル4のモンスターも取得時期は全く同じである。
・・・となると、このカードと同じ種族&レベルで、最初から少尉になっている初期デッキが存在し、容姿などから人気も高い海神の巫女の方がデュエリスト達に好まれることは言うまでもない。
関連イラスト
関連タグ
・水の踊り子・・・実は出身も同期(第1期)の、超メジャー級のドスケベモンスター。