概要
東京駅 - 大垣駅間で主に青春18きっぷの有効期間中(大型連休、お盆シーズンなど)に運転されていた不定期夜行列車(快速列車)。全車両指定席。
1968年10月のダイヤ改正でそれまで東京駅 - 大阪駅間に1往復運行されていた夜行普通列車(客車列車)を153系(のち165系)急行形電車に置き換え、現在の運転区間に変更したのが直接の前身となる。この頃は愛称を持たず、下りの行き先から「大垣夜行」と通称された。一時期は美濃赤坂支線の美濃赤坂まで運行していた。
1996年3月のダイヤ改正でJR東海の373系特急形電車に置き換えられ、快速列車となると同時に普通車が全車両指定席(区間により自由席になる)化されて「ムーンライトながら」の愛称が付与された。
メイン画像は、この時代に掲出されていたヘッドマークである。
2009年3月のダイヤ改正で、平日利用客の減少を理由に定期運用を終了。繁忙期のみの臨時列車に格下げされる。
同時に車両をJR東日本の183系・189系電車10両編成に変更。
2013年冬季からは、185系電車10両編成で運行されていた。
寝台急行「銀河」亡き後、最終の新幹線より遅く出発し、名古屋・岐阜・浜松などの主要駅に停車する貴重な列車であることや、青春18きっぷと指定席券のみで利用可能なリーズナブルさに支えられ、臨時列車となった後も絶大な人気を誇った。
特に上りは東京着が朝5時台とかなり早く1日のスケジュールを有効に使うことが出来るダイヤであり、その長所から東海・関西方面からのコミックマーケット参加者にはとても重宝されていた。
尚、本列車は令和突入時点で運行されていた唯一の快速ムーンライトである。
(かつて存在した東北、甲信越、四国、九州方面のムーンライトは全廃済み)
風前の灯火、そして運転終了へ
そんな本列車も、近年は大幅に運転本数が減少。冬季だけを見ても、2010年度は38日間運転されたのに対し、2019年度はわずか11日間と大幅に減少している。
加えて指定席券のネット転売や、相席を嫌い1人で2席分(A・B席、もしくはC・D席)の指定席券を購入する行為が多発し、指定券完売で満席のはずが実際は多くの空席を抱えたまま運行している事が多くなった。
更に、新型コロナウイルスも相まって2020年夏季は運転せずに終わり冬季も運転しない事を決定。
そして2021年1月にJR東海のニュースリリースで使用車両の老朽化と行動様式の変化により列車の使命が薄れてきたことを理由に運転を終了する事が発表された。これにより快速ムーンライトと名古屋地区に停車する夜行列車は姿を消す事ととなった。
大垣ダッシュ
下りは終点の大垣で米原行きの列車に接続できるため、ハイシーズンには大垣駅で到着した「ムーンライトながら」から乗客が大勢降り、即座に席取りのため停まっている普通列車に向かって猛ダッシュするという奇妙な光景がみられる。
鉄道ファンの間でこの光景は一種の名物になっており、「大垣ダッシュ」と呼ばれていた。