概要
ヨーロッパのイタリア・ローマ市内にある、世界最小の国家(ここより小さな例は、いずれも国際的な承認を得られていない「自称国家」である)。日本では略して「バチカン(ヴァチカン)」と呼ばれる事が多い。人口は800人前後。
イタリア語ではStato della Città del Vaticano、英語ではVatican City Stateと表記する。
ローマ教皇が居住するキリスト教カトリック教会の総本山で、都市国家、宗教国家であり、街そのものが世界遺産に登録されている。
国土は日本の皇居より小さく、中国北京の天安門広場とほぼ同じ広さ。
歴史
もともとここが「ウァティカヌスの丘」と呼ばれた地名から由来している。
ここで聖ペトロが殉死したため、聖地でありキリスト教の中心地となった。
4世紀前半に教会(サン・ピエトロ大聖堂)が立てられ、ここに移り住んだ司教が教皇となって、全ての教会へ影響力を及ぼすようになり、カトリックの本拠地となった。
教皇領を拡大させたが、19世紀にイタリアに多くの領地を接収され、1929年のラテラノ条約により教皇庁の権利が放棄されるかわりに、バチカンの独立と教会の特別な地位を保証させた。
政治・行政
ローマ教皇を頂点とするローマ教皇庁が統治しており、教皇庁のトップ国務長官のもと行政庁長官が実務に当たっている。
公用語はラテン語であるが公文書や儀式時に使うぐらいで、一般にはイタリア語やフランス語、ドイツ語を喋る。他に英語やスペイン語やポルトガル語も使われている。加えて最近は中東への配慮からアラビア語も使われるようになった。通貨はユーロ。
軍事力はほぼなく、スイス人傭兵やイタリア警察がいるだけ。その傭兵の斬新な制服は、彼のミケランジェロによるデザインとも言われる。
外交では多くの国と国交を結び国連に加盟しているが、宗教を認めない共産主義国家とは断絶しており、中華人民共和国やベトナムとは結ばず、台湾の中華民国と結んでいる。
20世紀では反共国家として満州国にも教皇使節を派遣していた。ソ連とは国交を結ばず、ロシアに体制変更後、21世紀になってやっと外交関係を結んだ。
カトリック信者である市民の多くは城壁内で生活し、その他の3,000人の職員は市国外から通勤している。
別名・表記揺れ
関連タグ
バチカン宮殿 システィナ礼拝堂 サン・ピエトロ大聖堂 サン・ピエトロ広場 バチカン美術館