概要
デビルマンに登場する「デーモン」とは、要するに悪魔のことである。
恐竜時代から地球を支配していた彼らは、常に戦い続ける非常に暴力的な種族であり、共食いを行うことも珍しくはない。
神にはその醜い姿、凶暴な性格から「失敗作」と見なされ、小宇宙ごと無に帰そうと決められたことで衝突。神に対し、ただ一人デーモンに味方した天使サタンと共に戦い、勝利を収めた。疲弊したデーモン族は次なる神の攻撃に備え、200万年の眠りに入った。目覚めた時…すなわち、氷河期が終わった時には人類が我が物顔で歩き回っていたことを知ると地球を奪い返すために攻撃を開始した。
一体何匹残っていたのかは不明ではあるが、当時30億と言われた人間よりは少なかったようである。(それでも策略として世界中で無差別合体を行える程には無数に存在する)
人間が武器を発明したように合体能力を生み出し、生物・無生物(死体含む)を問わず片っ端から合体することで強大なパワーを得た(OVAの描写を見るに車を乗っ取ると車をより生物じみた姿に変貌させるようだ。)
では人間に対して合体能力を行使できるかというと、可能だが安易にはしない。何故なら、理性が存在する人間と無作為に合体すれば互いに拒絶反応を起こし、合体した瞬間に宿主諸共死ぬからである。そのため、人間と合体するには人間側の理性が失われていることが必要である。
人間が理性を完全に喪失した状態で合体すると、精神力が弱い人間が宿主であった場合、デーモンに人格を食い尽くされて、完全にデーモンに乗っ取られてしまう。しかし、(他にも難しい条件があるが)人間側の精神力が強靭であった場合は、逆に意識を抑え込まれてしまい、悪魔人間(デビルマン)となる。それでも、デーモン側の意識は消滅するわけではない為、人間の性格に影響を及ぼし(好戦的になる等)、条件次第によっては乗っ取り返すこともある(漫画版の飛鳥教授やAMONデビルマン黙示録の暴走不動明など)。
他のデーモンと合体した場合は、どちらかの精神だけが勝ち残り、負けた方は勝った方に肉体を奪われて人格は消滅してしまう。
劇中では瀕死の重傷を負ったシレーヌがカイムに対し「もしあなたと合体したとして、万が一私の精神が勝ったら、あなたもすぐに死ぬ」と発言している。
ちなみに合体を繰り返す前は人間にかなり近い姿をしていたデーモンもいたようで、実はアモンはヤギやコウモリと合体するまでは人型デーモンであったという設定が存在する他、サモトラケのニケは翼を生やしている点以外は人間の女性そのものの外見をしている。
また、テレポート能力を持ち合わせており、これと合体能力を併用することも可能。
なお耐久力は人間よりかははるかに頑丈だが、人間の武器で倒すことが不可能という訳ではない(デーモンの質量や強さにもよる)。
例えば「サイボーグ009VSデビルマン」では009のレイガンでリリスを倒せている他、「デビルマンG」においてはデビルマンフラムメドックに覚醒したミキの日本刀の一撃で数多くのデーモンを屠っていたり(日本刀とは合体していない)、「crybaby」ではサイコウェーブを遮断する刺突武器によってサイコジェニーが、「マジンガーZ対デビルマン」ではマジンガーZの武装で妖獣ブゴが倒されている。
ただし、これらはあくまでクロスオーバー作品や原作を大幅にアレンジした作品での描写なのであって、原作のアニメ化作品であるOVAでの描写を見るに、基本的にダメージはあっても完全に倒すまでには至らないというパターンが多い(これはデーモンの中には強い再生能力を持つものがいたり、体に入った異物をも取り込んで進化できるというデーモン族共通の特性があるからだろう)。
デーモンの中にも人間を捕食する個体(ジンメンやイーダー)がいるように、逆に人間がデーモンを食べる事も一応は可能らしく、CBキャラでは美樹が出刃包丁一本でジンメンを仕留め、首以外の部位を解体して食べていた。美樹曰く、ジンメンは亀肉のようで美味しいらしい。(尤もこれはギャグ作品における描写なので本家ベースの作品では一方的に人間が捕食される側である。)
OVAにて了は「デーモンの心に愛はない」と語っているが、カイムがシレーヌのために身体を差し出したり、アモンがサモトラケのニケと恋人の関係にあったり、デビルマンに覚醒した明に対してデーモンの一人が「血迷ったかアモン!?」というあたり、仲間意識や愛というものはある様子。倫理観や生み出した武器が違うだけで人間とそう変わらない種族なのかもしれない(実際に理性を失った人間の凶暴性も悪魔そのものに例えられている)。人類の創造主もいわゆるデーモンを生み出した創造主と=なのだとすれば似るのも必然というものである。
外伝作品『デビルマンG』においては、愛情を司る脳のD領域が「デーモンと神々の戦いの物語」に犯されて人間が変異したデビルマンのなり損ないという設定で登場する。つまり、自分を地球の先住民だと思い込んでいる一般人である。
こちらではどこぞの宇宙生物のように「鳥人族」(ハルピュイア)、「邪顔族」(ゴーゴン)、「獣魔族」(ベスティア)、「水妖族」(アクエリアン)、「地精族」(ノーム)、「節足族」(インセクター)、「巨竜族」(ダイノゾア)、「樹怪族」(アルルーナ)、「爬虫族」(レプティリアン)、「炎鬼族」(イグニス)の十支族にカテゴライズされていて、人間の体を乗っ取った個体が上級デーモン、その配下が下級デーモンとされる。ちなみに大魔神サタンは単に上級デーモンとして扱われている(飛鳥了のポジションには火叢アスカが就いている為、別人扱いとなっている)。
TVアニメ版・デビルマンにおいては、裏切り者を始末するべく差し向けられるデーモンは「妖獣」と呼ばれている。
TVアニメ版デビルマンの番外編である、豪ちゃん自身による漫画「デビルマン対ゲッターロボ」では、氷河期到来以前は恐竜帝国としのぎを削っていた過去があったらしい。