概要
1960年代、NASAで勤務していたジェームズ・ラブロックにより提唱され、作家ウィリアム・ゴールディングにより命名された理論。名称はギリシャ神話の大地の女神「ガイア」に因み、この理論こそが女神ガイアの知名度を大きく押し上げた…というのはちょっと大袈裟かもしれない。
単純に言ってしまえば「この惑星は生物みたいなものであり、生態系と地球は相互に干渉している」という説である。
いわゆる惑星、環境の擬人化のようなもので、非常にわかりやすいことから、創作等にも「惑星の意志」「地球そのものの具現化」といった扱いで登場することが多い。
しかしガイア理論は現時点においては「思想」「解釈」の域を出ておらず、例えば「新型コロナウイルスの影響で商業活動が収まって大気汚染やオゾン層破壊が回復した」という事実があったとしても、それをガイア理論で「地球が人類から身を守る為にコロナウイルスを作った」などと安易な帰納法を行うのは言語道断である。
そもそもオゾン層は「新型コロナウイルス問題以前から緩やかに回復傾向」にあったと見られている。
あくまで環境保全とは持続可能社会の実現であり、経済活動の抹殺ではない。ガイア理論を論じるうえでは、人類の環境破壊を過小評価してはいけないが、過大評価してもいけないのである。人類もまた、地球で生きる生態系の一つなのだから。
また、地震や津波等の天災を「地球の意思」「地球の自浄作用」等と決めつけるのも被災者差別を生みかねない危険を孕んだ考えである事に注意しなくてはならない。
ガイア理論を取り入れた作品
環境問題が不安視されていた90年代~00年代の作品ではガイア理論を取り入れた作品が非常に多く、ラスボスが「ガイア」そのもの、ということもあった。
- 『シムアース』・『46億年物語』:ガイア理論に基づいた地球育成ゲーム。
- 『火の鳥』
- 『ウルトラマンG』:地球からの刺客としてコダラー、シラリーが登場し、最後の敵となった。
- 『ウルトラマンガイア』:主人公であるガイアは大地の意志そのものである。
- 『ウルトラマンZ』:終盤で登場人物の1人が怪獣の大量発生をガイア理論で説明しようとしている。
- 『ウルトラマンSTORY0』:「惑星の声」が度々話のカギを握り、最終回ではゾフィーに味方し最強の敵・ババルウを打ち破った。
- 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』:怪獣の行動した跡が浄化される(いわば地球の恒常性維持?)などの描写がある。
- 『平成ガメラ』
- 『ファイナルファンタジーシリーズ』:度々惑星の意志が話の中枢となる(わかりやすい例は7)
- 『SPEC』
- 『クロノトリガー』
- 『スプリガン』
- 『BLUEGENDER』
- 『ワンパンマン』:最初の敵ワクチンマンが、地球が生み出した存在とされている。
- 『ヒーリングっど♥プリキュア』
- 『惑わない星』:地球は愚か、太陽系全ての惑星が意思を有し、人間のような姿で登場する。
- 『TYPE-MOON作品全般』:世界観が共通する作品において、霊長の抑止力「アラヤ」とは別に地球という星の生存本能が産み出した抑止力「ガイア」が存在する。
関連項目
宇宙船地球号:ガイア理論と共に語られる別の思想