本項では、2.について記述する。
概要
2010年10月から12月にかけてTBS系列で放送された刑事ドラマ。
警視庁公安部 公安第五課 未詳事件特別対策係――通称“未詳”(ミショウ)に所属する刑事・当麻紗綾と瀬文焚流のコンビが、”SPEC”(スペック)と呼ばれる特殊能力を用いて引き起こされた不可能犯罪の被疑者たちと対決していく。TVシリーズ後半以降はSPECに関わる陰謀劇が中心となる。
1999年に放送され、翌年に映画化されたドラマ『ケイゾク』の主要スタッフが本作にも携わり、一部設定などを引き継いでいるため、『ケイゾク』の続編として捉えられることもある。
TVシリーズ終了後、2012年4月にスペシャルドラマ『SPEC~翔~』が放送され、続いて劇場版『SPEC~天~』が公開される。
TVシリーズの前日譚にあたる『SPEC~零~』が2013年10月にスペシャルドラマとして放送された後、11月にシリーズ完結篇となる劇場版『SPEC~結~』(クローズ)が前後篇『漸ノ篇』(ゼン-)『爻ノ篇』(コウ-)の二部作で公開された。
2019年からは、SPECホルダーたちの過去を解き明かすスピンオフ作品「SPECサーガ 黎明編」がParavi限定で配信されている。
なお、当作品は続編である『SICK’S』のキャラクター「一一十(ニノマエ・イト)」が登場している。
堤幸彦が演出を手がけており、彼の代表作の一つである『TRICꞰ』のように他の刑事ドラマや裏番組などのパロディ、時事ネタや楽屋ネタと思われる小ネタの数々が、各種設定や小道具・台詞などに散見される。pixivでも中の人ネタを絡めるなど、パロディ要素を含んだイラストが少なくない。
登場人物(一部、ネタバレ注意)
警視庁
警部補。24歳。未詳捜査官。京都大学理学部卒、IQ201という天才的な頭脳の持ち主であり、日本語・英語・スペイン語を使いこなすトリリンガル。一目見ただけで本の内容・PC画面に表示される情報を全て把握する等、常人離れした情報処理能力を持つ。ハッキングや盗聴も得意。
祖母が書道家という事もあり、独特の推理スタイルの下地はそこにあると思われる。その一方で簡単な漢字を間違えることもしばしば。
がさつで口が悪い上に喧嘩っ早い性格で、舌打ちを頻繁にするなど人を小馬鹿にするような言動を取るため、軍人気質(当麻曰く「筋肉バカ」)の瀬文とは衝突し諍いを起こすことしょっちゅう。彼と共に事件を追ううちに一定の信頼関係は築いていき、未詳の一員と認めている。
細身の大食いで味覚音痴(舌バカ)。行きつけにしている「中部日本餃子のCBC」の餃子と、ハチミツ入りコーヒーが好物。とある事件で負傷して以来、左腕を三角巾で吊るしている。女子高生時代はツインテールのメガネっ娘だった。決め台詞は「いただきました」。
警部補。36歳。若くして警視庁特殊部隊(SIT)の隊長を務めていたが、外国人犯罪グループとの銃撃戦で部下の志村(美鈴の兄)を誤射した疑惑により、未詳へ左遷される。正義感が強く高圧的で生真面目な軍人気質。上下関係を徹底して遵守し、先輩・後輩想いでもある。
SIT時代の仲間には特別な情を持っており、後輩である志村が負傷した状況の不可解さに疑問を抱きながらも、自責の念を抱いている。当麻に対しては「餃子女」「ニンニク臭い」「バカ」などと口汚く罵り、叩く蹴るなど容赦のない暴力的なツッコミを入れる。双方とも気が強く短気で、子供のような喧嘩にも及ぶ。
当初は理解の範囲外にある当麻の捜査手法に反感を抱いていたが、次第に彼女の頭脳や信念にも一目置くようになる。英語・中国語に堪能で、中国人の情報屋とコネクションを持っている。
未詳事件特別対策係 係長(後に係長待遇に降格)。70歳。捜査一課弐係(通称「ケイゾク」)係長などを経て定年を迎えた後、嘱託として未詳の係長に就任した。糖尿病を患っている。
不倫相手である正汽雅からは結婚を迫られているが、弁護士の妻(『ケイゾク』では愛人だった醍醐雅)との離婚が成立しておらず、板ばさみ状態となっている。曰く「雅」という名前の女性と恋し続ける狂人であるらしい。
普段はとぼけた面が目立つが、正義感に溢れた言動をとることもある。柿の種がぎっしり詰まった瓶の中には秘密があるらしい。
『翔』より登場。未詳に新係長として配属された。56歳。東京大学文科III類卒業。部下たちには横柄な態度を取るため、当麻と瀬文はあまり信頼を置いていない。髪はカツラで、当麻たちにしばしばあてこすられては動揺した様子をみせている。その正体は……。
捜査一課管理官。40歳。瀬文に未詳への異動を命じた。気障でインテリ然とした性格だが、神経質な一面があり甲高い声で叫ぶことも。警視庁に入って間もなく管理官となったため捜査経験は浅く、超能力が絡んだ難解な事件や面倒事を未詳に押し付ける事もしばしば。
基本的にはいい加減で頼りない事なかれ主義者。しかし新人の頃は野々村の世話になった経験があり、刑事としての熱い信念も持ち合わせている。
捜査一課係長。55歳。主に馬場、猪俣と共に行動するベテラン刑事。「捜査は足を使って」という信条から常にスニーカーを履いている。頼りない馬場に代わって現場を仕切ることが多い。
捜査一課刑事。28歳。怪しげな広島弁を喋り(ただし演じる載寧は広島出身である)、鹿浜に対してタメ口を利くなどなめている節がある。美形だが、馬場や鹿浜同様に情けない所が目立ちがち。
当麻は上記三人をそれぞれの名字から「馬鹿猪」もしくは「ザコキャラ」と呼んでいる。
警視庁の婦人警官。20歳。野々村光太郎の(現在の)不倫相手。毎回未詳に依頼者を連れてくる役回り。その度に野々村に愛の視線を送り骨抜きにしている。小悪魔タイプ。
警視庁公安部 特務選任部長。42歳。SPECに関連する事件の裏で暗躍する人物。警察上層部に影響力を持っているらしく、未詳を囮として関連事件を取り扱っているようである。SPECを持った人間から何度も命を狙われている模様。その正体は謎が多い。
SPECホルダー
当麻と瀬文に近づく全身黒ずくめの謎の少年。年齢不詳。SPECを用いた事件に悉く関わっている。能力の詳細は不明だが、一見して時間停止のような力があると考えられている。他のスペックホルダーとは一線を画す高い能力であると自負しており、自身の名前をもじって「キング(王)」を名乗る。言動は無邪気だが殺意を隠さず、より残酷さが際立つ。当麻とは因縁があるらしい。
東京芸術大学を目指す浪人生。19歳。地居が講師をしている進学塾「藻合塾」で清掃のアルバイトをしている。兄を撃った瀬文への恨みを剥き出しにしており、警察組織を一切信用していない。また、兄と最後に話した際に喧嘩したことから強い悔恨を抱いている。スペックは人や物に触れてヴィジョンを見るサイコメトリー。
警察病院に勤める医師で、志村の主治医。35歳。心臓外科(特に小児科)の世界では世界的に有名で、いくつもの難病を治癒へと導いてきた。細胞を治す力を持つ“神の手を持つ男”にかつて自身を治療してもらったことがあり、その男の居所を探している。ピクルスが嫌いだが、それを先んじて食べる嗜好の持ち主。着ぐるみ好き。
スペシャルドラマ『翔』では変態疑惑に拍車をかけるような言動が目立つ。
未来を見ることが出来る予知能力を持つ占い師。年齢不詳。皮付きレモンを豪快にかじり「ラミパス ラミパス ルルルルル・・・」と唱える独特のスタイルだが、占いの精度は非常に高く、政治家や財界から珍重されている。予知の仕方により、透視や人探しなど幅広い応用力を持つ。なお、予知の際にかじるものに決まりはないらしく、ジャガイモやサツマイモで代用することも。
著名人の死を占い大金を巻き上げようとして恐喝容疑で逮捕された後、津田の監視下に置かれる。本名は鈴木俊明。
新宿で街頭占いをする売れっ子占い師で、通称「サトリ」。19歳。夜の12時には必ず閉店して姿を消すことに由来して「新宿のシンデレラ」と呼ばれている。ロリィタファッションに身を包み、運が悪いと見た相手に魔除けグッズを売りつける商売人。
彼女の登場回に瀬文が持っていた栄養ドリンク「元気者」は、真野のシングル『元気者で行こう!』に由来する(同曲のPVで演出を担当したのは堤幸彦)。また、冷泉を強奪した逃走車両のナンバーは〈品川800 へ 8626〉(「ハロプロ」の語呂合わせ)。
ブブゼラリーマンズ - 演:鬼頭真也・三宅十空・砂川禎一(夜ふかしの会)
ニノマエの組織が差し向けた能力者たち。辛の回・最終話・『翔』・『天』に登場。外見は眼鏡にスーツ、アタッシェケースを持ったサラリーマン風の男たちで、忽然と現われると同時にブブゼラを吹き、大音量の中で物体や人(自分自身を含む)を移動させるSPECを持つ。
その他
大学院生。24歳。進学塾「藻合塾」の特別コースで講師のアルバイトをしている。当麻の大学時代の恋人で、彼女から別れを告げられながらも未練を抱いており、復縁を幾度か迫るものの全て断られている。刑事として危険な場で働く当麻の身を案じている。AKB48ではまゆゆ推し。当麻からは「左利き」と呼ばれる。
「中部日本餃子のCBC」の親父&餃子ロボ親父 - 演:多田木亮佑
当麻行きつけの中華料理店店主で、名古屋弁訛りが強い。年齢不詳。当麻の食いっぷりには感心しており、大量の注文にもすぐに応える。
「中部日本~」から始まる名前といい「CBC」のロゴといい、どう見てもアレな件については突っ込んではいけない。
従業員の外国人女性に「保険に入りゃー」と執拗に勧められていた。ある日店主は謎の大怪我をしてしまい、餃子ロボに改造される。
当麻紗綾の弟。7年前(2003年)、両親と共に飛行機事故に巻き込まれ死去。享年6歳。右耳の後ろに星型の痣がある。猫が好きで、よく野良猫に餌をやっていた心優しい少年。
当麻紗綾の母親。天・陽太と共に飛行機事故に巻き込まれ死去。享年40歳。一からは、天と同様に流夏も何らかのSPECを持っていたため殺害されたと語られている。実は元日テレのアナウンサー、もう何でもアリである。
御前会議(ゴゼンカイギ)- 演:戸田恵子、山寺宏一、平田広明ほか
『翔』より登場。世襲制のメンバーによる日本の秘密会議。卑弥呼の時代から日本の行く末を決定し、フリーメイソン、バチカン、マハラジャや華僑などと共に世界の歴史を設計してきたとされている。
余談
劇中の餃子は堤幸彦の母親のレシピに基いて作られており、餡の風味付けに合わせ味噌を使い、ウスターソースとマスタードで頂くというもの。
未詳への通り道
コンクリート打ちっ放しの未詳へと続く通過点には、「科学捜査研究所」や「捜査一課9係」など某局の刑事ドラマを彷彿させる部署が多数存在し、中には部屋名の下に「相棒募集中」「矢部分室」などと書かれたプレートを掲げた部屋もある。
この一帯は「テレ朝通り」と呼ばれており、テレビ朝日でドラマを手がけているプロデューサー・桑田潔の名前が「火元責任者」として掲げていたりと、かなりやりたい放題のシーンとなっている。
自由の女神&きれいな球体が見える場所
野々村が雅を呼び出した場所。都内で実際に自由の女神があるのは、お台場海浜公園。つまり球体が某局を指しているのは暗黙の了解である。
指名手配のポスター
貼られている指名手配のポスターは、裏番組にあたる金曜ロードショー枠にちなんだものになっている。例えば金ローで『ハリー・ポッター』が放送されると、ポスターは「針井歩太 視聴率窃盗罪」となっていた。
ED
DVDの告知を行う場面で、瀬文の後ろで当麻が「ゲッツ!」と呟くのだが、回を重ねるごとにセリフが「月9」(ゲツク)へと変わっていき、最後は瀬文に「嬉しいのか?」と尋ねられて当麻が別作品の台本を見せるシーンがあった。実際に当麻もとい戸田は次クールの月9ドラマに出演している。
また、ドラマ版最終回のEDでは当麻が「映画化とかぜってーしねえから」と吐き捨て、「癸・翔・天」とシリーズが続く中で映画版のEDでは「『結』やると思ったら大間違いだぞ!」となぜかケンカ腰(隣では瀬文が「欠」と書かれた紙を持っている)だったりと、何とも分かりやすいフラグを建てている。
ちなみに次の映画は「欠(ケツ)」ではなく『結 -クローズ-』である。
外部リンク
『SPEC ~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』- 公式サイト
見終わった後に“絶望”!?神木隆之介が明かす「SPEC」劇場版完結編 - MOVIE WALKER PRESS(2013.10.30)
『劇場版 SPEC~結(クローズ)~』戸田恵梨香&加瀬亮 単独インタビュー - シネマトゥデイ(2013.10.31)
戸田恵梨香&加瀬亮が語る、「SPEC」シリーズの魅力 - Lmaga.jp(2013.11.1)
劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇 :インタビュー - 映画.com(2013.11.19)
『SPEC』当麻と瀬文の“奇妙な”愛情 - CinemaCafe.net(2013.11.26)
完結する『SPEC』3年間を振り返る - クラインクイン!!(2013.11.28)
『劇場版SPEC~結~』インタビュー連載 - ORICON NEWSVol.1 / Vol.2 / Vol.3 / Vol.4
SPECサーガ黎明編『Knockin'on 冷泉's SPEC Door』 - TBSテレビ
関連動画
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