「姉さんは元気そうに見えるけどこのまま放っておいたらあとわずかしか生きられないんだ!何と言われようと俺は姉さんを助ける!俺がやるしかないんだ!」
人間態/CV:辻本祐樹
スーツアクター:大林勝
データ
- 登場話:Episode.37「ハードボイルド・ライセンス」
- 身長:208cm
- 体重:88kg
- 出身地:マイク星
- 罪状:7つの惑星において人体実験を重ね数十人を殺害した罪
- ジャッジメント:デリート許可
概要
全ての住民が歌好きだというマイク星出身のアリエナイザー。
普段は人間に変身し、姉のテレサとアパートで平凡に暮らしていた。
幼い頃宇宙船の事故で両親と死別し、テレサと二人きりで暮らし猛勉強の末若くして医者となったが、自分をずっと支えてくれたテレサが宇宙放射線の強い鉱山惑星ガイガミュラでの重労働の結果、不治の病に侵されあとわずかしか生きられなくなった事を知る。
特効薬を作ろうとした彼は、その手掛かりとなる青い花を人間の体に咲かせる人体実験を繰り返し、その結果7つの惑星で特定の栄養素を抜き取り数十人を殺害したアリエナイザーとなった。
本来の姿では体から触手を伸ばし、相手に青い花を咲かせる植物を植え付ける。この植物の花は前述の特効薬を開発する手掛かりとなっており、彼はこの花を持ち帰り特効薬の開発・製造に充てているのだが、この植物には成長の際に特定の栄養素を宿主から吸収する特徴があり、この結果(少なくとも彼の犯行が露見した7つの惑星で)宿主が死に至るという惨劇を引き起こしていた。
しかしそれ以外に目立った能力は持ち合わせていないようで、デカレンジャーとの遭遇時にも戦おうとする意思を一切見せず逃走に徹している。
ちなみにマイク星人は水分があれば頭の触手から種子を出して花を咲かせる能力を持つ為、『花咲か爺さん』のおとぎ話はマイク星にはないらしい。
劇中での活躍
それまでの実験の結果、地球の若い女性が最適な物質を持っている事が解り、青い花を次々と咲かせて栄養素を抜き取って殺害。
だがあるときその様子を警官2名に見られてしまい、重傷を負わせて逃走。地下駐車場に逃げ込むも、スワットモードとなったデカレンジャーに熱感知システムで追尾され、ディーリボルバーによる銃撃を受ける。
手傷を負いながらどうにか追跡を逃れたものの、被害者の遺体や遺留品から犯行が露見し、姉の恋人であるデカブルー/ホージーに追及され、やむなく彼に全てを打ち明けると、呆然とする彼の前から逃亡する。
逃亡先で襲おうとした地球人の姉弟を過去の自分の姿に重ねた際には手が出せず、姉弟の悲鳴とともにその場を去る。
そしてその日の雷雨の晩、別の女性を襲おうとするも、先の姉弟の一件から付近を捜索していたホージーに発見され、「7つの惑星において人体実験を重ね数十人を殺害した罪」でデリート判決を受けた。
最後まで姉テレサのことを思う言葉を口にしつつ、逃げた先で出会いがしらの女子高生に触手を伸ばし青い花を植え付けようとしたが、後ろからホージーに射殺される形でデリートされた。
その後、回復した姉テレサは弟の罪を懺悔するため、出家した。
余談
東映刑事ドラマの代表作の一つを彷彿とさせる彼ら姉弟の悲劇性を強調するためか、前述の通り巨大戦には雪崩れ込まず(もっとも、スーパーデカレンジャーロボを構成するデカマシンは前話で大破しており、スワンが修復中だった可能性があるため、ある意味デカレンジャーの皆さんは運が良かったと言える)、恒例の「ジャッジメント」の描写も普段のマンガチックとさえ言えるものではなく「横断歩道の信号が青から赤に切り替わる」という比喩表現的な描写になっていた。
「異例の若さで医者になった」との本人の言葉、およびそれとは真逆の印象を受ける質素な生活ぶりを見る限り、周囲から相当に将来を有望視されながらも姉のため全てを捨て去って宇宙を旅してきたことは想像に難くなく、その根底にあるのは「家族愛」という紛れもない善意である。
また、通常、スペシャルポリスによるデリートはアリエナイザーを一片の細胞すら残さずに消滅させることがEpisode.28にて語られているのだが、今回ホージーによって射殺されたクロードは死体が残っていた。恐らく彼の事情を知ったホージーがクロードへの最期の慈悲として、テレサが彼の最期を看取るチャンスを与えようとしたのだろう。そのため、あえて死体を(最終的に処分or自然消滅するにしても少なくとも一時的に)残す形でデリートを行ったのかもしれない。
しかし、犯罪の動機が家族のためとはいえ、何の罪科も無く生命を奪われた数十人の地球人やエイリアン、そしてその周囲の人々から見ればそれこそ他のアリエナイザーと変わらぬ災厄であるばかりか、家族を失う恐怖を誰よりも知りながらそのために名も知らぬ他人の家族を奪ったであろう事も、また事実である。
おまけにクロードのデリート後、テレサの病は地球での治療で完治したというあんまりなオチまで付いてしまった(テレサの失踪・出家はその後)。
テツは「クロードの治療がそれなりに功を奏したのでは」と分析する一方、スワンは「地球に来てからの彼女に『生きたい』という想いを強くさせる何かがあった」と推測している。
いずれにせよ、間違った方法でテレサの命を救おうとした結果、取り返しのつかない悲劇を引き起こし、テレサとホージーに消える事のない心の傷を残してしまったと言える。
エピソード内容は怪奇大作戦第5話『死神の子守唄』、ラストシーンは第25話『京都買います』に類似している。
名前の由来は『救急戦隊ゴーゴーファイブ』で巽モンドを演じたマイク眞木氏のご子息真木蔵人氏から。モチーフはマイク氏のヒット曲『バラが咲いた』からイバラ。
デザイン画での名称は「アイーダ星人クロド」。
ドロイドや怪重機などを利用していなかったため、今回の件に関してはアブレラは関与しなかった模様。これはクロードの犯行が富や名声といった私利私欲によるものではなく、故にアブレラが彼と接触しなかった、または接触しても興味を示さなかったことが理由と思われる。
彼と全く真逆の私利私欲にまみれた動機で事件を起こしたサウザン星人ギネーカの一味に対し、アブレラが裏では嫌悪しつつも他のアリエナイザーとは別格の扱いで取引をしていた事実は、このことを逆説的に証明していると言えよう。
関連タグ
哀しき悪役:ある意味では該当する。
関連キャラクター
プレシア・テスタロッサ、笛木奏、天狐白叡、神崎士郎、夜桜凶一郎…いずれもクロード同様に最愛の女性家族(前三者は娘、後二者は妹)の死の運命を回避するためにそれ以外の全てを蹂躙する事を厭わなくなった者達。ただし、夜桜凶一郎のみクロードや他四者とは違って「不治の病」ではなく「敵対組織の襲撃」と言う比較的対処しやすい運命であるため、クロードや他四者とは違って(今のところ)手遅れにならずに済んでいる。