CV:五十嵐麗
概要
フェイト・テスタロッサの「母親」。どこか狂気的な気配を漂わせる女性。40歳。
ジュエルシードの全確保を狙い、フェイトに収集を命じる。フェイトからは「母さん」と呼ばれている。
その命令を果たして愛を受けようとするフェイトを拘束して鞭打ちで虐げ続けており、そこには失敗や不出来以上の、根本的にフェイトを嫌っているような素振りさえ見える。そのため、フェイトの使い魔であるアルフからは「鬼ババァ」と呼ばれるほどに憎まれている。
しかし、魔導師としても研究者としても優秀で、次元を超えた砲撃魔法を発動させることが出来る。
だが、不治の病を患っており(作中でもたびたび吐血している)、フェイトの遅々とした行動や時空管理局の介入に苛立っている。
その正体は、かつて大魔導師として名を馳せた魔導工学研究者。
ある日、新型の大型魔力駆動炉の開発プロジェクトの「設計主任」として抜擢されたが……その実態は完全な「お飾りの役職」であり、プロジェクト自体は「主任補佐」が実権を握っていた上に、開発実績すらも「主任補佐」のものとして扱われるというものだった。プレシアは駆動炉の実機に触れることも禁じられており、書類上の指示しか行えなかった。しかも、それらの指示は書類上は受理されていたが、実際には完全に無視されていた。
「主任補佐」とその関係者による安全性度外視の開発と、駆動炉の稼働実験の強行。その結果、駆動炉は暴走事故を起こし、この事故によりプレシアの愛娘・アリシアが死亡。プロジェクトを推進していた会社は、プレシアに事故の責任を全て押し付けた。
当然プレシアは会社を告訴したが、結果は事実上の敗訴。アリシアとリニスを喪っただけでなく、違法研究者という汚名まで着せられてしまう。
その後、「プロジェクトF.A.T.E」に参加したプレシアは人造生命の開発と記憶転写の技術を学び、アリシアのクローン、フェイトを生み出す。最初こそ彼女を娘として愛したが……利き手が違うなどの差異から次第に違和感を抱き始め、そしてフェイトが金色の魔力光を発現させたことで決定的な亀裂が入る。
その色がアリシアの死んだ事故の際、暴走した駆動炉が放った光と奇しくも同じ色だったために、プレシアの精神は変調をきたし始め、フェイトを自分から何もかもを奪い去ろうとする「得体の知れない悪鬼」として憎むようになってしまった。
そして、彼女は死者蘇生の秘術を求めて忘れられし都「アルハザード」を目指すことを決意。
そのための手段としてフェイトにジュエルシードの確保を命じるが、高町なのはや管理局の介入によりジュエルシードは全て集まらなかった。
しかし、プレシアは海鳴市や次元そのものに甚大な被害を与えることも顧みず、「時の庭園」を暴走させてアルハザードへの航行を強行する。
だが、最終決戦で航行はなのは達によって阻止される。親子としての和解を望むフェイトを最期まで拒絶し、アリシアの亡骸と共に虚数空間へと消えて逝った……。
時空管理局に提出された事件報告書によると、プレシアは未確認ではあるが事実上死亡とされている。
アリシアから引き継がれたフェイトの記憶から、本来は家庭的で、家族と一緒に過ごせる時間の少なさに悩み罪悪感を持つなど、心優しい母親であったことが窺える。実際、A's終盤においてフェイトが闇の書に取り込まれた際に見た夢の世界ではアリシアを失わなかったことから、アリシアはもちろんフェイトに対しても優しく接するなど、夢の中とはいえ彼女の本来の人柄が描かれていた。
劇場版『The MOVIE 1st』では、理不尽な事故でアリシアを失い、いかにして狂気に墜ちていき病を患うようになったかの過程が丹念に描かれた。
かつてアリシアが誕生日プレゼントに妹が欲しいと頼んだため、妹をつくる約束をしている。
また、事故当時には「アレクトロ社」という会社に所属しており、魔導士ランクが「条件付きSS」クラスという設定が追加された。
小説版においては、23歳で結婚し、28歳でアリシアを出産。アリシアが2歳の頃に夫と離婚し、5歳頃の時(つまりプレシアが33歳前後の時)に事故が起きたようである。
小説版では事故からジュエルシードを巡る事件を起こすまでの期間は明言されていないが、原作通りに26年だとすると、小説版での彼女の年齢は60歳近くということになる。とはいえ、小説版は原作と少し話の流れが異なるパラレルのストーリーであるため、時系列も少し違っているかもしれない。それでも、40歳という年齢だと事故が起きた当時に彼女は14歳だったことになってしまうため、やはり60歳近い方が計算は合う。
INNOCENT
スピンオフ作品であるソーシャルゲーム及びそのコミカライズ作品「魔法少女リリカルなのはINNOCENT」にも登場。
本作ではアリシアが存命、そしてアリシアのみならずフェイトの本当の親という設定になっている。
本作自体が明るいストーリーであるため、原作のような狂気は見せず、二人を分け隔てなく愛する母親となっている(むしろその溺愛ぶりに若干の狂気を感じられるほど)。