これは 月の欠片( -A piece of blue glass moon- )
二人のヒロインを描く 「月の表側」の物語
新生した“月の欠片(A piece of glass moon)”
───吸血鬼をめぐる、少年の物語。
概要
同人ゲーム「月姫」のコンシューマーリメイク作。
2021年8月26日発売。
対応プラットフォームはPS4 / NintendoSwitch。
対象年齢は「Z(18以上のみ対象)」。全年齢ではないため注意。
ちなみにコンテンツディスクリプターアイコン(対象年齢を決定した根拠となる表現を示すもの)は「犯罪」と「暴力」。「恋愛」や「セクシュアル」は入っていないため、グロ表現がZ指定の理由と考えられる(特に序盤の十七分割など)。
ファン及び公式での略称は「月姫R(リメイク)」。
一つのシナリオボリュームを大幅に増量した代わりに、今作はアルクェイドルートとシエルルートのみを収録。公式によると「プレイ時間は40時間、じっくりボイスを聴きこむと60時間」とのこと。
所謂「遠野家ルート」と呼ばれる秋葉・琥珀・翡翠の3人のルートは「“月の裏側”を描く次回作」に収録される予定。
今作のルートは以下のように新たにサブタイトルが付けられている。
同人版との変更点
シナリオは大幅な加筆がされており、キャラクターデザインも大幅な変更がされた。
キャラクターのセリフはフルボイスで描写されるが、キャストは『真月譚月姫』とも『MELTY BLOOD』とも異なる新規のものとなっている。
同人版では1999年の関東近郊の地方都市を舞台としていたが、リメイクにあたって2010年代の東京へとリライトされている。
これについては制作側のインタビューによると、物語のスケールをオリジナルよりも大きくする意図からとしており、「リメイク版はちゃんと都心でハリウッドやろうよ」と冗談めかして語っていた。
かねてより奈須きのこが語っていたように、死徒二十七祖を初めとした様々な設定もアップデートされている。
サブキャラクターも増えているが、本格的な出番は「裏側」になると思われる控えめな描写の者もしばしば。
登場キャラクター
主人公
ヒロイン
アルクェイド・ブリュンスタッド(CV:長谷川育美) | シエル(CV:本渡楓) |
---|---|
死徒を狩る為に街を訪れた真祖の吸血鬼。 | みんなから頼りにされている学校の先輩。 |
その他キャラクター
遠野秋葉(CV:下地紫野) | 琥珀(CV:桑原由気) | 翡翠(CV:市ノ瀬加那) |
---|---|---|
遠野家当主である志貴の妹。 | 遠野家の使用人。双子の姉。 | 遠野家の使用人。双子の妹。 |
乾有彦(CV:古川慎) | 弓塚さつき(CV:田中美海) | 愛染ノエル(CV:茅野愛衣) |
志貴のクラスメイトであり悪友。 | 志貴に想いを寄せるクラスメイト。 | 謎の新任教師。 |
斎木業人(CV:小林親弘) | 阿良句博士(CV:能登麻美子) | みお(CV:日高里菜) |
遠野家の商談相手。 | 遠野家のお抱え医師 | 謎の少女 |
マーリオゥ(CV:佐倉綾音) | カリウス(CV:森嶋秀太) | アンドウ(CV:浅利遼太) |
聖堂教会から派遣された司祭代行。 | マーリオゥの部下神父 | マーリオゥに従う刑事 |
ヴローヴ(CV:津田健次郎) | ロア(CV:阿座上洋平) | 蒼崎青子(CV:戸松遥) |
日本に流れついた若き死徒 | 総耶市に根付く転生の死徒。 | 幼い志貴を救った魔法使い。 |
スタッフ
シナリオ・監督 | 奈須きのこ |
---|---|
キャラクターデザイン | 武内崇 |
アートディレクター | こやまひろかず |
グラフィック | 蒼月タカオ、下越、縞うどん、砂取音幸 |
演出・スクリプト | BLACK |
スクリプト | 漆之原 |
プログラム | Kiyobee |
音楽 | 深澤秀行、芳賀敬太 |
ロゴデザイン | WINFANWORKS |
主題歌 | ReoNa「生命線」「ジュブナイル」(SACRA MUSIC) |
OPアニメーション | ufotable |
企画・制作 | TYPE-MOON |
注意
『月姫 -A piece of blue glass moon-』では、写真撮影/録画・シェア/配信可能を除く全編にわたってプレイ動画・生放送の公開が禁止されており、上記が守られない投稿に関しては、削除を含む民事請求がされる可能性が高いため注意。
発売までの経緯
このリメイク版の存在が公表されたのは、2020年大晦日放送の「Fate Project 大晦日TVスペシャル2020」である。元となる同人ゲーム月姫が出たのが2000年の冬コミであるため、一見すると月姫がちょうど20周年を迎えるにあたり、その記念作としてリメイク企画が発表されたというよくあるパターンのように思える。
しかし、実のところ『月姫』のリメイクの企画はもっとはるか昔から存在していた。
制作元のTYPE-MOONは元は同人サークルであったが、『Fate/stay night』を商業ルートで発売するため、2003年に有限会社ノーツとして企業化した。
同人サークルとしてのTYPE-MOONの活動は月姫シリーズのそれまでの作品をまとめた『月箱』を最後に終了。
その後、Fateシリーズから新しく入ってきたTYPE-MOONのファンが原点たる『月姫』に触れたくても入手できないという状況を鑑みて、2008年発売の「TYPE-MOONエース」にて、リメイク版『月姫』の商業ルートでの発売が発表された。
この時点では『Fate/hollow ataraxia』に続く次回作の一つとするとしていたものの、どういうわけか一向に動きがなく、いわゆる出る出る詐欺のゲームの代表例の一つとしてあげられるくらいであった。
リメイクの発売までにここまでの時間がかかった理由はファミ通のインタビュー記事を見る限り、他の作品に人的リソースをとられ続けたのが原因のようだ。
元々TYPE-MOON側としては企業化した時点から「商業ルートで月姫を流通させるためのリメイク企画」は立ち上がっていたのだが、Fateシリーズなどの制作のためになかなか動けない状態が続く。
状況が落ち着いた2008年にリメイク企画をユーザー向けに発表したが、今度は『魔法使いの夜』の開発で手一杯だったらしく、同作が発売された後の2012年に月姫リメイクの制作が本格的に開始する。
その中でメインシナリオの8割は書き上げられていたのだが、2013年に『Fate/Grand Order』(以下、FGO)の企画が立ち上がる。
最初はFGOと月姫リメイクは同時開発されていたようで、4gamerの記事によると、2013年時点での構想では「アニメ版『Unlimited Blade Works』のクライマックスが放送される時期にFGO第一部のクライマックスが配信され、それらと月姫リメイクを含めた3つのコンテンツがシンクロして物語が同時展開する」という構想だったとしている。
しかし巨大プロジェクトであったFGOのシナリオ制作や監修は困難を極め、当面はFGOにリソースを集中するため月姫リメイクの企画は凍結。そしてFGOの配信が延期されたこともあり、上述のシンクロ構想もお蔵入りとなった。
そしてこの時期あたりから、Fateシリーズでは月姫と矛盾する設定が数多く現れ、二つの作品は別世界であることが強調されるようになった。
それでも2014年にはシエルルートまでのシナリオが一旦の完成を迎える。
その後、2016年10月に「TYPE-MOONエース」に月姫リメイクの続報が掲載されたが、その時点ではメインキャラクターの新規ビジュアルと新規キャラクターが1人だけ紹介されたのみだった。
2017年にFGOの第二部までの構想が完成したことで、月姫リメイクの開発が再始動される。
ところが今度は、先行する『魔法使いの夜』に見劣りしないグラフィック演出を実装するべきという気持ちが強くなり、結果的に当初想定していたよりもグラフィックの制作に時間が掛かるようになった事で、結局3年以上の月日でFGOが縮小した後、ようやくリメイク版が完成したのである。
ただしこれは上述したように、オリジナルにあった5ルートのうち2つのルートをリメイクしたものであり、残りを描く続編の展開時期についてはいまだ未公表である。
関連動画
〈解禁映像〉
〈第2弾PV〉
〈第3弾PV〉
外部リンク
月姫 -A piece of blue glass moon- 公式サイト
月姫 -A piece of blue glass moon- Twitter公式アカウント
ファミ通 『月姫』リメイク版発売記念インタビュー。奈須きのこ氏&武内崇氏が“新しい『月姫』”を語る
関連項目
月姫 -The other side of red garden-:物語の「裏側」、遠野家にスポットを当てたストーリー
メイドインアビス:NintendoSwitchでゲーム版がリリース予定だが、こちらもZ指定という繋がり。