概要
第1世代、ファイアレッド リーフグリーン
カントー地方のシオンタウンにて暮らす、心優しき初老の人物。人間に捨てられたポケモンを保護するボランティアを行う『ポケモンハウス』を営んでおり、命の尊厳や死者への哀悼を重んじるシオンタウンの人々からは尊敬の眼差しを受けている。本編ではポケモンタワーを占拠するロケット団員達にポケモンを虐待しないでほしいと抗議するも虚しく自身もロケット団に捕まってしまう。彼を助けるとカビゴンを起こすのに必要なポケモンのふえをくれる。
『月刊ポケモンの友』という雑誌を愛読しており、雑誌の懸賞が切り取られている事からも、懸賞の応募も趣味としているようだ。
しかし、シオンタウンの人々によると、フジは元々他所から来た人物であるらしく、またポケモンジャーナルからのインタビューを断る等からも、どうやら自身の過去を話す事を望まない傾向にあるようだ。
『ファイアレッド・リーフグリーン』では、オーキド博士やジムリーダー、四天王 と同じく、ボイスチェッカーに情報が登録される事から、かなりの重要人物として設定されている事が分かる。
フジの過去とは…
フジがシオンタウンに訪れる以前に何をしていたかについては、全く明かされていない。しかし、グレンタウンのジムリーダーであるカツラとはかなりの親交があったようで、彼のジムには二人で撮った写真が飾られている。また、伝説のポケモンの研究や化石ポケモン復元の研究を行うポケモン研究所、通称ポケモンラボの創設者、グレンジムの隣にある『ポケモン屋敷』と呼ばれる危険な野性ポケモンの巣窟と化した廃墟の持ち主も、『フジ』という名前の科学者で、同じく科学者であったカツラの友人であったという。
この『'''フジ博士'''』という人物は、特にポケモンの遺伝子に関する研究に没頭していたようである。清らかな心と会いたいという強い気持ちを併せ持つ者の前にのみに現れるとされる幻のポケモン・ミュウと、南アメリカのギアナ高地で出会い親交を交わした事からも、本来のフジ博士は善良な科学者であったのかもしれない。しかし、全てのポケモンのDNAを持ち合わせているというミュウの中にある脅威の可能性を知ってしまった結果、フジ博士は科学者としての探究心を抑えきれなくなり、マッド・サイエンティストとして暴走を加速させていく事になる。
ミュウの研究に没頭したフジ博士は、何を思ったのかミュウの子供として産まれたミュウツーに遺伝子の組み換えによる改造実験を施してしまう。その神をも恐れない暴挙に出た結果、ミュウツーは凶暴な生命体へと変わってしまう事になり、誕生から7ヵ月後、暴走の末にミュウツーは何処かへと姿を消してしまう事になった。
フジ博士の日記
- 7月5日:ここは南アメリカのギアナ。ジャングルの奥地で新種のポケモンを発見
- 7月10日:新発見のポケモンをわたしはミュウと名付けた
- 2月6日:ミュウが子供を産む。産まれたばかりのジュニアをミュウツーと呼ぶことに…
- 9月1日:ポケモン ミュウツーは強すぎる。ダメだ…私の手には負えない!
その後、フジ博士がどうなってしまったかについては判明しておらず、また彼と心を通わせたミュウがどうなったかも分かっていない。フジ博士が自ら最果ての孤島に逃がしたのか、あるいは欲望に負けてしまったフジ博士に絶望して、ミュウツーと同じく何処かへ去ったのか、あるいは我が子であるミュウツーの暴走を止めようとして……。
ポケモン屋敷に残されていた日記からも、フジ博士は最終的に自らがしてしまった事を深く後悔していた事が容易に想像できる。また、最果ての孤島でもフジ博士と思われる人物が残したと思われる立て札が存在しており、その内容の空白部分を埋めて見ても、やはり過去の行いに後悔しているかの様な内容となっている。
最果ての孤島の立て札
‥‥がつ 6か
ここに たちいる にんげ(ん) が
ふたたび (あ)らわれると すれば
こころ やさし(きひと)で あらんことを
(いまこ)こに その ねがいを しるし
この (ち)を あとにする
(フ)ジ
※日付部分の空白について、英語版における該当箇所は"…ber"と表示されるため、9~12月のいずれかであることがわかる。
立て札の文章はミュウツー暴走の後に書かれたと思われるが、9月だと暴走のわずか5日後となってしまい早すぎる。そのため10~12月の間であると推測できる。
なお、最果ての孤島には野生のミュウが存在するものの、このミュウがフジ博士と関わりのあったミュウそのものであるかは不明。別固体なのか、あるいはミュウツーと同様に、フジ博士と関わったミュウが生んだ子供の可能性も否定できない…。
原作内にて、フジ老人とフジ博士が同一人物であるのかどうかについては明確に語られてはいないが、カツラとの親交等から考えても、二人が同一人物であると疑わざるを得ないのも確かである。もしも、同一人物であったとするならば、フジは元グレンタウン出身の科学者であり、現在のシオンタウンでのフジの活動は、自らが犯してしまった過去の取り返しのつかない罪を少しでも生きて償おうとする想いからなのかもしれない。
ロケット団との関係
原作のストーリー上では描かれていないが、ミュウツーを生み出してしまったフジ老人の件に関して、以前よりロケット団が関わっていたのではないかという噂がファンの間で出回っていた。
その理由は「ポケモンの保護を訴えているに過ぎないフジ老人を、何故ロケット団員達が長時間も拘束していたか?」で、フジ老人を捕らえている団員の一人が語っていた「大人の話し合い」に、何か真相が隠されているのではないかとされていた。
そして、第1世代のリメイク版(第8世代)であるLPLEでは、ポケモンタワーの頂上イベントにてロケット団のムサシとコジロウから、再び自分達に協力するよう迫られている点からも、かつてのフジ老人がロケット団に所属する科学者であった事が明かされている。
更に公式ガイドブックでは、フジ老人とフジ博士が同一人物であったことが明確にされ、グレンタウンの攻略ページにおいて、「シオンタウンで会ったフジろうじんは、実は偉大なはかせだったのだ」という記述もある。
前述の「大人の話し合い」の真相も、フジ老人を再びロケット団に協力させる為の要請(脅迫)であったのだと思われる。
ウルトラサン・ウルトラムーンでは、レインボーロケット団の首魁となっていたサカキの所有する最強のポケモンがミュウツーになっており、ミュウツーの誕生にはロケット団が大きく関わっていたと推察させる展開となっている。
第2世代、ハートゴールド、ソウルシルバー
変わらずシオンタウンに在住している。
しかし、誰が決定したのか、死んだポケモン達を弔う為の施設であったポケモンタワーが、カントーラジオ局にされてしまっているという、罰当たりもいい所な酷い事態になっており、町の南部には新たにポケモン達の霊園である『魂の家』を建造してそこの管理人になっている。
どう考えても、ラジオ局への改築に関して、住民からの反対運動が起こったに違いないと思われ、フジ老人もまた、その性格から考えても、さぞかし反対したに違いない……。
ちなみに『ハートゴールド・ソウルシルバー』では、魂の家にフジ老人しか入れない部屋があるとされているが、プレイヤーはどうやっても入れない設定になっている。
一体、その部屋には何が隠されているのだろうか…?
ポケットモンスターTHE ORIGIN
CV:稲葉実
原作通り、ポケモンハウスの管理を行う人物として登場しており、ロケット団に捕らわれた所をレッドに救出される。
ミュウツーの開発を行った『フジ博士』と同一人物である事が明確に明かされており、またポケモンの新たな可能性『メガシンカ』の事を知っている等、科学者としての側面も見せている。
なお、今作でフジ老人を演じた稲葉実は、後に『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』にてフジ博士を演じている。
アニポケ
アニポケ版においてはフジ老人は登場しないが、映画『ミュウツーの逆襲』の冒頭でフジ博士がミュウツーによって殺害されている可能性が高い事から、「フジ老人とフジ博士の同一人物説」が正しいとするならば既に老人となる前に死亡している可能性がある。
ただ、フジ博士が死亡した様子は明確には描写されていないことから、研究所の破壊に巻き込まれてはいるものの、何らかの方法で生き延び、責任追及から逃れるため死亡したと偽装した可能性や、身元不明のまま保護されてシオンタウンに流れ着いた可能性も指摘されている。
アニポケ版におけるフジ博士については当該記事参照。
ポケットモンスタースペシャル
レッドがシオンタウンに立ち寄ったときに登場。
ロケット団によって街の雰囲気が悪くなる中レッドに親切な対応をした。
ミュウツー関連がカツラの方に集中している本作におけるフジ老人はただの一般人で狙われるような要素は存在していない。しかし、数十年前まで博士であり、さいはてのことうの看板等も存在していることから、本作でもなんらかの立場であったことは間違いない様子。