前置き&誘導
ここでは映画『ミュウツーの逆襲』及びラジオドラマ『ミュウツーの誕生』に登場するフジ博士について記す。ゲーム版『赤・緑・青・ピカチュウ』『ファイアレッド・リーフグリーン』やアニメ『ポケットモンスターTHE_ORIGIN』にも登場するが、こちらはフジ老人の記事を参照のこと。
概要
ニューアイランド島に秘密研究所を構える冷徹な研究員でポケモンの遺伝子研究の第一人者。事故死した娘のアイを蘇らせるため、人間と異なりコピー(クローニング)しても生存可能なポケモンの生命力の強さについて研究を続けていた(『ミュウツーの逆襲』完全版の追加パートでは、生前のアイの意識パターンをホログラム化しただけであり、クローニングまではしていない)。
そんな折にロケット団から南米の山脈地帯にある盗掘現場にて発見したというミュウの睫毛の化石の再生を依頼され、永遠の生命力があるとされるミュウの遺伝子の解析をすればアイのコピーを生存させられるのではないかと考え承諾する。
『ミュウツーの誕生』では、「アイの成分が残っている限り、幾らでも娘のコピーは作り出せる」「コピーは元があれば幾らでも作り出せる」「ミュウの成分は睫毛の先の化石しか残っていない。(全身の遺体が残る)アイのように簡単に何度も作り出せはしない」等と発言しており、コピーを個体として認識しておらず個々の人格を考慮しないなど、マッドサイエンティストとしての側面も見せている。
最終的にはミュウの化石の再生に成功しミュウツーを生み出すが、元の細胞さえあれば幾らでもコピーを作り出せると考えるフジに怒りを覚えたミュウツーによって研究所ごと吹き飛ばされて生死不明となった。最期に「世界最強のポケモンを作る……それが私達の夢だ」と言い残しているが、それが兵器としてのポケモンの生成を意味するのか、強力な生命力の探求を意味するのかは不明である。
上記の歪んだ価値観が結果的にミュウツーが人間に対して憎しみを抱く原因となった為、ミュウツーを生み出したという根本的な事も含めて、ミュウツーの力だけに執着して散々利用し、挙げ句失望され逃亡された後もしつこく狙い続けたサカキ※と並び、正しく『ミュウツーの逆襲』における事件の元凶と言える。フジ博士がコピーに対してまともな愛情を見せていれば、ミュウツーの性格や考え方もまた違ったものになっていたかもしれない(もっとも「まとも」であるならそもそも愛娘やポケモンのコピーを作ろうなどとは思わないだろうが…)。
※(ミュウツーがコピーポケモンと人間から隠れるように暮らしていた理由の一つはフジ博士やサカキとの経験から、彼等のような人間に目を付けられないようにする為でもあったのではないかと思われる。その証拠にミュウツーは全てが解決した後も基本的には人目を避けており、後に登場した時も人間から虐待を受けた経験を持つポケモン達を守りながら、人間が滅多に訪れない場所でひっそりと暮らしており、その際にサトシ達のようにポケモンと正しい絆を結んでいる者もいればそうでない者もいると発言していた。)
漫画版
本作ではアイの存在がカットされており、心を通わせたミュウが自分の元を去った事が原因でミュウツーを作り出したという設定になっている。
当初こそミュウを超えるポケモンを創造するためであったものの、原作と比べると人間性がかなり軟化しており、ミュウツーからは「親」と慕われている。
遺伝子研究が原因で学会から追放されたところをロケット団に拾われ、ミュウツーと共にロケット団に協力していたが、やがて罪悪感を抱くようになる。
また、コピーに対しては否定的であったのか、ミュウツーの量産化を打診された際にロケット団に反旗を翻して自分ごと研究所を葬るようミュウツーに懇願した。
直後に背任行為の罪で身柄を拘束され、「私を親と呼んでくれてありがとう」と言い残して連行された末、願いを聞き届けたミュウツーの手で研究所もろとも吹き飛ばされて死亡した。
生みの親であったフジ博士の顛末がミュウツーの心に深い傷を残す事となった。
余談
アニメシリーズ版にはフジ老人が登場しないが、フジ老人=フジ博士説が成立するとすれば、上記のようにフジ博士がミュウツーによって既に殺害されているからではないか、という考え方も可能である。
一方、「THE ORIGIN」ではフジ博士(フジ老人)は生きており、研究者を辞めた後に罪滅ぼしなのかシオンタウンの墓守をしていることになっている。尚、同作でフジ老人を演じていたのは、後に「ミュウツーの逆襲EVOLUTION」にてフジ博士を演じる事となる稲葉実氏である。
関連タグ
天馬博士・・・事故で我が子を失い、蘇らせようと暴走した科学者繋がり。