概要
行事としての『お盆』
旧暦7月15日を中心とした数日間に、先祖の霊を迎え、もてなし、送るまでの諸行事をいう。
日本全国で行われており、その数日間を、夏季休業期間に当てている企業は多い。
旧暦を用いていた時代においては、基本的に7月15日前後、13日から16日までの間に行われていた。
新暦導入後は、『改暦の布告』にて新暦においても7月15日に行うことが原則と定められたが、
- 新暦に合わせると季節が合わなくなり、用意できなくなるものがある
- 当時、日本の大多数の地域にとって新暦7月中頃は農繁期であり、呑気にお盆などやっている場合ではなかった
と言った事情があり、いくら政府の布告だからと言ってそうおいそれと時期を移すわけにもいかなかった。
その結果、
と、言った具合に大きく分けて三通りの時期に分かれた。上記の通り大多数を占める農村部の多くで2.が採用され、1.は農繁期があまり関係ない一部の都市に留まった。当時は3.の地域もそれなりに存在したが次第に減っていき、現在では沖縄県にほぼ限られている。
また、少数ではあるがこれらと全く関係のない8月1日にお盆をする地域もある。これは養蚕を行っていた地域の一部にに見られるが、事情としては2.に近い。この頃が養蚕の農閑期なのだ。
現在では人の往来が激しくなり、転出先でも地元の習慣に合わせる住民が増えたことや、盆休みで帰省する家族に合わせるケースも多くなったこと、また各社の盆休みを揃えて連携を取りやすくし、お盆用品に注力する時期も揃えるといった経済、あるいは商業的な理由もあり、全国的に一律で8月15日をお盆とするのが一般的だが、それはそれとして旧来通りの時期に行う家庭も多く見られる。
先祖の魂が戻って来る日として、7月13日の夕刻にきゅうりで精霊馬を作り、家の門の前で迎え火を焚く。15日にお寺で墓参りと法事をすませ、夜には盆踊りを行う。そして盆の終わる15日か16日には家の門前で送り火をたき、祖先の霊を見送る…というのがよくあるパターンだが、宗派や地域によってはこの限りではない。浄土真宗ではそもそも、浄土へ行ったらふらふら戻って来るものではないとするため、上記のほぼすべてが該当しない。
ちなみにかつては、冬にも死んだ人の魂が戻って来るのを祀っていたという。鎌倉時代には関東で行われていたが京都では廃れており(「徒然草」による)、今ではその名残もほぼ見られない。
夏コミに日程が重なりやすく、参加者にとっては(休みが取れて)有難かったり(交通が混雑して)悩みの種だったりする。
盂蘭盆会の頁も参照の事。