〝夢の果て〟
るふぃのかたったことば
概要
『ONE PIECE』の主人公、モンキー・D・ルフィ。「大海賊時代」という海賊や冒険者が隆盛を極めた時代に生まれ、「ひとつなぎの大秘宝」を見つけて"海賊王"になることを夢見ている。それは度々ルフィが宣言しており、彼と関わりを持つ人物ならば誰もが知っている。しかし、ルフィには海賊王になった先に見ているものがある。それこそが、ルフィの〝夢の果て〟である。
初出
このワードが作中で初めて語られたのは、マリンフォード頂上戦争で死亡する間際のルフィの義兄ポートガス・D・エースの台詞。赤犬の攻撃からルフィを庇ったことで胴体を焼き貫かれたエースはルフィの"夢の果て"を見れないことが唯一の心残りだと語り、「お前なら必ずやれる…!!!」とつぶやきながら息を引き取っている。この詳細については、ルフィ、エースそしてもう一人の義兄であるサボと過ごした幼少期にまで遡る。
幼少期
幼少期、ルフィ、エース、サボはそれぞれ自らの夢を高らかに宣言した。
サボ
「広い世界を見て おれはそれを伝える本を書きたい!!」
エース
「世界中の奴らがおれの存在を認めなくても どれ程嫌われても!!!」
「”大海賊”になって見返してやんのさ!!!」
「おれの名を世界に知らしめてやるんだ!!!」
ルフィ
「ししし…!! そうか よーし」
「おれはなァ!!!」
エース・サボ
「は?」
ルフィ
「なっはっはっはっはっはっ」
エース
「…お前は… 何を言い出すかと思えば…」
サボ
「あははは 面白ェな ルフィは!!」
「おれ お前の未来が楽しみだ」
この時にルフィが語った内容は描写されておらず現在も分かっていない。2人とも困惑の表情を浮かべている。ここでルフィが語った内容が〝夢の果て〟としてファンによって考察されるようになった。
別の人物の言葉
物語開始から数十年前、後に"海賊王"と呼ばれるゴール・D・ロジャーが最後の島「ラフテル」へ行き、前人未到の偉大なる航路(グランドライン)制覇を夢としていたが、その夢の続きを当時ライバル関係にあった白ひげ海賊団船長のエドワード・ニューゲートおよび2番隊隊長の光月おでんに語っている。
ロジャー
「そうさ!! そしたら おれはよ…!!」
ニューゲート・おでん
「は??」
ロジャー
「ははは」
ニューゲート
「グラララララララ!!」
「何言ってやがるロジャー!! ガキでもあるめェし!!!」
おでん
「………!!」
おれは固まっていた |
今日2度目のド肝を抜かれた 何なんだコイツは!! |
この様子は、前述のルフィ、エース、サボと全く同じ構図になっている。
(よく見ると、「ロジャーとルフィ」、「ニューゲートとエース」、「おでんとサボ」のそれぞれで、額の絆創膏の位置が完全に一致している。)
反応
ルフィの〝夢の果て〟を直接あるいは間接的に聞いた人物の反応を以下にまとめる。
シャンクスの場合
後述するが、ルフィは麦わらの一味に自らの〝夢の果て〟を語るが、その前にエースとサボの他に赤髪のシャンクスにも語っていた。この言葉を聞いたシャンクスは涙を流しており、後にシャボンディ諸島で隠遁生活を送っていたシルバーズ・レイリーによれば、トレードマークの麦わら帽子と左腕を失った理由と合わせて、ルフィのことを嬉しそうに語っていたという。
「レイリーさん おれァ本当に驚いたよ!!!」
「〝東の海(イーストブルー)〟に…!!!」
「ロジャー船長と同じ事を言うガキがいたんだ………!!」
「船長の 〝あの言葉〟を…!!!」
ヤマトの場合
こちらはルフィ本人ではなく、ワノ国に漂着したエースから伝え聞いている。紆余曲折を経て2人は和解して酒を酌み交わしたのだが、会話の中でエースに弟がいること、そしてその弟が〝夢の果て〟を言ったことを知った。エースには笑うなと言われたが、「おでん漫遊記」を愛読し、おでんに憧れていたヤマトは「海賊王が言った言葉」として知っていたため笑うことなく涙を流し、その弟のことを褒め称えた。
なお、幼い頃、呆れていたエースはこの時点でルフィは「本気でやれる」と考えている。
麦わらの一味の場合
ワノ国を出港した麦わらの一味が世界経済新聞で「サボがアラバスタ国王ネフェルタリ・コブラを暗殺」のニュースを知ると、ルフィは「絶対ウソだ!」、「ビビの父ちゃんを殺したりするか!!!」と真っ向から否定。
アラバスタまたはマリージョアに行こうとわめくが、仲間たちに説得された後、落ち着きを取り戻したルフィは、サボが犯人ではないことを決して疑わず、幼き頃に義兄たちと交わした誓いを一味の全員に明かす。その台詞が冒頭のものであり、やはりその描写はカットされている。ルフィの〝夢の果て〟を聞いた一味の第一声は以下の通り。
「!?」
「は?」
「ん? 今… 何と?」
「えェ??」
「ヨホホ♪ 面白すぎます それ!!」
「おい いやいやお前…!!」
「わはは いいなそれ 最高だ!!」
「だははは おいチョッパー 頭診てやれ!!」
「………」
「わあ~~…!!」
内容は読者には明らかにされていないが、ウソップの「そんな事できるわけねェだろ」という否定に対して、ルフィにとっては「『海賊王』になったらできるかもしれねェ」ことらしく、仲間たちは以下のような感想を述べている。
ジンベエ 「(大笑いしながら)この船に乗ってしまったからにゃあ他人事じゃないのう!!」
チョッパー「その夢いいな~」
ナミ「あんたらしいけど…」
フランキー「そりゃ『海賊王』にくらいならねェとムリだな!!」
その他
上記の人物の他に、ワノ国出航後、(樽に閉じ込められ外の音がよく聞こえていないようだが、)サニー号に乗っていたカリブーも知っている可能性が高い。
考察
『海賊王になる』という『夢』ではなく、更にエースの『夢の果て』という言葉から、恐らくその先、海賊王になって何をしたいのかを語ったものと思われる。
ちなみに、シャンクスと出会う前のエピソードでは、ルフィは元々は海賊に良い印象を持っておらず、更にルフィと意図的に対比的に描かれているティーチの『人の夢は終わらない』という発言と、夢の『果て』という終わりを示唆する表現が対比的に見えることと合わせて様々な考察が行われている。
そうした考察の中に、ルフィの『夢の果て』とは、(大海賊時代を『夢』として)海賊王となり大海賊時代という時代そのものを終わらせることではないか?という物がある。
ティーチに限らずルフィと対立する敵役は何かしらルフィと対称的に描かれる(自由を信条にするルフィと支配を得意とするドフラミンゴ、自由に生きようとするが故に人を惹きつけるルフィと自由に生きるが故に人から恐れられるシャーロット・リンリンなど)傾向にあるが、新時代を作ろうとした劇場版の敵役は『作ろうとした新時代のビジョン』『新時代を作る手段』といった部分で対比を描かれており、『新時代を望むか否か』ではない、つまりルフィも今の時代の終焉(新時代の訪れ)そのものを否定していないこと、海賊は基本的に悪という常識を持ち、ヒーローに憧れる感性を持っており(現実で就くとしたら消防士という人を助ける職業が設定されていることも)、海賊が蔓延る大海賊時代を肯定的に捉えていなくとも不思議でないことなどが、そうした考察の根拠である。