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AK47の編集履歴

2022-10-10 00:22:47 バージョン

AK47

えーけーよんなな

1949年、ソ連軍に制式採用されたアサルトライフル。Автомат Калашникова образца 1947 года(1947年式カラシニコフ自動小銃)

開発経緯

 1944年、ドイツ陸軍に採用されたアサルトライフルStG44」は世界に大きなインパクトを与えた。

 第二次世界大戦中にソ連軍の戦車兵だったミハイル・カラシニコフは、ドイツ軍のMP40MG34などの"軽量な自動火器"の強力な牽制射撃に味方が逃げ惑う様にショックを受け、1942年に負傷して入院したのをきっかけに祖国のための新たな自動火器の設計を始めた。カラシニコフ自身は専門教育を受けていなかったため、図面を引いたのは後にとなるエカテリーナ・ヴィクトロヴナ・モイセーヴァであった。

 当時、SKSカービン用の弱装弾(M43)を用いる自動小銃のトライアルがあり、紆余曲折を経た1946年、カラシニコフの設計案(AK-46)が審査に合格。1948年に先行量産が決定し、1949年にAK-47としてソ連軍に制式採用された。

 カラシニコフはAK50周年記念のインタビューの際、「ドイツのStG44や、その他自動銃とはまったく関係ない」とコメントしており、実際、鹵獲した銃器を直接テストできる立場にはなかった。(*1)また、閉鎖・撃発機構についてはアメリカM1カービンを参考にしたと明言している。


:*1 ソ連ではStG43を研究し、近い構造の弾倉を用いた突撃銃のトライアルがあったことは事実である。しかし、実物を見ても内部構造として近いのはカラシニコフの言の通りM1カービン/ガーランドであり、StG44を参考に設計したというのは全くの誤りである。また構成についても、前述のトライアル以前から似通った構成のPPS-43がすでに配備されている。

 ただし、46年のトライアルで条件を満たしていなかったAK46が採用された理由の一つではあるかもしれない。


基本データ

全長880mm
銃身長415mm
重量4,300g
弾薬M43実包(7.62×39mm弾
装弾数30発
有効射程600m

概要

信頼性

 初期のアサルトライフルである為に鉄製/木製のパーツが多く、やや重いが、逆にその古さ故か、あちこちに隙間がある(構造に余裕がある)ため、ジャミングが少なく、多少パーツがいい加減でも問題なく動作し、それ故に泥にも砂にも水にも寒さにも衝撃にも錆びにも強く、"信頼性"においては他の銃とは一線を隔している。

 劣悪な環境でも動作し、構造が単純かつパーツが少ないため整備し易く、削り出しのレシーバーの採用により容易に変形することのない頑丈さを持ち(初期・現行型のプレス・モデルやコピー品は変形しやすい)、それが銃を扱い慣れていない新兵だけでなく、過酷な条件下にありメンテナンスを怠りがちなゲリラ組織にも好まれている理由のひとつである(全くクリーニングをせずに撃ちつづければ、さすがに故障するが)。


 欠点としては、木製ハンドガードの内部に遮熱機構がなく30発ほど連射すると素手で触れないほど熱くなる。

 開発当時のソビエト地上軍の場合は、分隊支援火器としてRPDが配備されていたので、アサルトライフルをワンマガジン連射という状況は正規軍の場合はよほどの緊急時以外は起こり得ないので問題にはならなかったのだろう。

そんな火力支援が期待できないゲリラ兵の場合は別だが…

 他に、あまりに撃ち続けるとハンドガードが燃えてしまうことが指摘されるが、さすがに使い方が悪い。

そんなことが起きるのはFPSゲームの如く延々と弾をばら撒き続け、弾が切れれば間髪入れずにリロード、再射撃なんて無茶をした場合に限り、通常通りの射撃ペースに抑えれば発火の危険はない。ほぼすべての銃はドクトリンに則って使用する分には問題が無いのである。

そのいい例として、ベトナム戦争において、ベトコンのAKとアメリカのM16が戦った際、性能ならM16のほうが上なはずなのに、一方的にAKに狩られる事態が起きている。

理由はM16は頻繁に動作不良をおこしたが、AKはその頑強さ故に多少劣悪に取り扱っても普通に使用できたため。

死亡したアメリカ兵の周りには故障したM16が転がっているが誰も拾わず、むしろアメリカ兵がAKを鹵獲して使い始めるという体たらくであった。(終戦後、埋まっていたAKを掘り返して試しに引き金を引くと問題なく発射できたと聞けばその凄まじさが分かるだろう)

ただし、現在まで改良されながらM16が使われているのを見れば分かる様に、M16がダメだったわけではなく、その故障は導入初期という点を除いても弾薬が正しく製造されていない、整備マニュアルやメンテナンスキットが無いまま運用するなどの問題に加え、そして整備不良、つまり(理由はいろいろあったとはいえ)使う側がいい加減に扱っていたのが原因であり、銃本体にはなんの問題もなかった。

(銃の中にはビールなどの栓抜きにマガジンの突起を使う馬鹿兵士が多数存在し、それにより部品が変形し多数の給弾不良が起きていた事から、銃に栓抜き用のパーツをつけた銃も存在する)

つまるところ、「どんな優れた兵器でもドクトリンに反した使い方や、いい加減な整備をすれば旧式に負けてしまう」という事である。


そんな高い信頼性を持つAK47だが、最近では有志によるYoutubeの耐久試験動画で、泥や砂による動作不良がたびたび見られている。原因にはAK47のクリアランスの大きさが考えられている。

AKは生産性を高めるため、寸法公差が大きめに取られ、また異物が入っても抜きやすいように部品間のクリアランスが大きめに取られている。この隙間の多さから逆に異物が侵入し、異物に弱いトリガーメカニズムなどに掛かると動作不良を起こしてしまう。

ただし、クリアランスが大きめに取られている分、作動不良を起こした際のリカバリーは容易。砂であれば、それこそダストカバーを開いてひっくり返せば数発は撃てるようになり、射撃時の振動で殆どの砂は排除できる


また、カラシニコフ社が行った公式凍結テストで他の西側軍用小銃は凍って作動しなかったが、それを尻目に基本構造は同一のAK200はボルトハンドルを二、三回引いて、弾薬をチャンバーに入れた後問題なく作動した。テスト結果がAKの信頼性と環境耐性は依然に追従を許さないことを物語る。(極寒の地を殆ど想定していない西側諸国と違い、祖国が場所によっては氷点下40℃未満もザラであるロシアの武器という点は考慮する必要があるが)

カラシニコフ社公式の小銃凍結テスト



操作性

 誤操作しにくく簡単な教育で扱えるようにできている。

セレクターもコッキングレバーも、銃右側のグリップ、もしくはハンドガードから手を離さなければ届かない位置にあり、構えを維持したまま操作することができない。

セレクター自体もかなり特殊で、安全状態だとコッキングレバーと干渉するようになっており、単射、連射にして初めて銃弾が装填できる。

なぜこのような操作システムになっているかというと、多民族国家であるソビエト連邦の場合は兵士の全員がロシア系とは限らず、当然ロシア語の読み書きも覚束ない者もいた為、「畑から取れる」とまで言われた徴兵によりかき集めた素人でも最低限の教育のみでより安全に銃を扱えるように設計されたという。

簡単な教育で扱えるようになる特徴ゆえ、教育水準の低いゲリラやテロ組織で多用され、少年兵が広がる原因の一つともなっている。


セレクターの順番も安全→連射→単射と珍しいが、連射と単射の距離が非常に近く、動作角も狭いので一発で連射を通過して単射に入れることも可能になっている。某国の小銃と一緒にしてはならない。

ベトコンが極限状態で操作すると単射に入ってしまって火力が足りなかった」と欠点のように言われることもあるが、フルオートはセレクターの現在位置もわからない様なパニック状態になりながら使っていい機能ではないので、ここに(正気なら戦術的に問題ない程度に)手間取らせるのは銃としては正しい。


射撃精度

 現代の視点からすると低い部類である。ただし同時代のアサルトライフルはM14,FAL,G3,64式といった面々であり、これらに対しAK47は非常に軽く小型であることは無視できない。

 そもそもアフタマートという銃に求められているのは300mほどでの銃撃能力であり、この場合精度より銃を安定して保持できるか・連射をある程度行えるか、という点が重視される。実際、AK47はM14に対して優位に立っていた。



 堅牢性と信頼性の確保のためにロングストローク・ガスピストン方式を採用している。それに加えて、確実に装填と排莢を行うためにボルト重量が大きい。

 このため多少弾薬が変形していても閉鎖不良は起こらないのだが、重いボルトが大きく動くので銃自体が強く揺さぶらてしまう。

 さらにもともと公差が大きく、精度が高く作られてはいない上、正規品よりコピー品・密造品の方が多いAK-47ならではの問題として、乱造された低品質なAKが命中精度に於ける悪評を生んでいるとも言われる。


 照門の位置はレシーバー前方についている。AK47以前のヨーロッパ各国の小銃の一般的なスタイルである。種別はタンジェントサイト。常用照尺500m、最大照尺800m。

 M1ガーランドから続くピープサイト式のM14に比べると遠方の目標に対する射撃は不得手となるが、これは軽機関銃や随伴する歩兵戦闘車の車載重機関銃の役目である。これらが無力化されたなどの場合は、19世紀よろしく照尺を調整して集団で射撃することになる。


 フルオート射撃を念頭に置いて開発されただけあって、同時代の自動小銃の中では連射時の安定性は高い。AK47 I型では早くも直銃床を採用しているほどである。しかし、これは当時のソ連軍の運用に合致しなかったのかII型、III型では曲銃床であったが、AKMでは再度直銃床に改められている。


 しかしそれでも、60年代後半には戦術の変化も起こり小口径高速弾が登場し、7.62x39mm弾は一線を張るには厳しい情勢になる。

 M14がAK47に大敗した後に登場したアーマーライト社のAR-15は弾薬が小さく、ボルトの作動にガス直接利用方式(ダイレクトインピンジメント式)をとっており、ボルト本体が小さく前後動の距離が短いためほとんど発砲の反動のみとなる。小口径の弾薬と相まって跳ね上がりは少なく、命中精度が高い。

 AR-15の登場は、ソ連が後にAK-745.45x39mm弾を開発した理由の一つとなった。


運用

ソビエト連邦では、徐々に改修を行い59年には一新したAKMが採用された。1974年にはAK-74に置き換えられてしまったが、中国の56式自動歩槍をはじめ、東欧を中心に大量の正規品やコピーが出回ることとなり「貧乏人が持ってる木と鉄のアサルトライフル≒AK47」の構図を作り上げた。

 ライセンス期間が切れた後も不正に製造が続けられ、純正も含めた生産数は1億丁以上といわれており、市場への供給は潤沢で価格も安く、テロリストマフィア、反政府ゲリラなどにも使用され、「世界最小の大量破壊兵器」「最も人の命を奪った銃」とも呼ばれる事になった。

アメリカが秘密裏に軍事支援する際に、最新兵器だの払い下げ品だのをばら撒くと批判されるし西側を刺激するので、東側に敵対している国に密造したAKや設計図をばら撒いたなんてことが起きたのもAKの氾濫に拍車をかけている。

カラシニコフは生前「祖国防衛のための私の銃が他の国で罪無き人々の命を奪っているのはとても悲しいことだ、こんなことなら民衆の役に立つものを造ればよかった、例えば芝刈り機なんかを」とコメントしており、あくまでも祖国防衛の為に設計したAK47が犯罪や紛争に使われている現状を嘆いていたという。


 PMC(民間軍事会社)では部品弾薬の入手性の高さ、砂塵等でのトラブルの低さ等からAKが愛用されているが、予算が十分にあり、西側の軍と協同する一部のPMCではAR-15等を用いる所が増えている。

 各種コンテンツに於いてもテロリストやマフィアの所持する武器として描かれる事が多い。ゲームにおいては大抵、反動は大きいが高威力で、カスタマイズパーツが特に豊富な銃として設定され、主人公の初期装備とまではいかないまでも、敵も使用していることが多く、倒せば弾が手に入るシチュエーションが多いことから、ステージが始まって最初の敵から奪い取りさっさと持ち替えて愛用するユーザーも少なくない。(特にランボープレイをする際はAKや弾が共用のRPKなどを使えば、敵が弾薬箱でしかなくなり、弾切れを気にせず乱射できる事から人気が高い)


ソ連崩壊後

 ソ連の崩壊後、ロシア連邦におけるAK製造最大手のイジェフスク機械製作工場は民間企業「イズマッシュ公開株式会社(ОАО Ижмаш)」となり、ライセンス料の徴収を始めた。

 しかし、資本主義経済制を取り入れたばかりの旧共産圏とあって商標の保護が未成熟で、特別な機構も無いため特許で保護することも出来ず、ライセンス料を払う企業はごく一部であり、不正コピー品の氾濫に歯止めが利かない状況にある。

 イズマッシュ社は対策として形状を商標登録申請。実銃、トイガン問わず形状を模倣した商品だけでなくゲーム等の映像作品であっても許可を得ていない製品のロシアへの輸出は不可能となった。ロシア国外でも同様の申請をする予定である。

 しかしながら、前述の通りコピー品の氾濫よってイズマッシュの経営は著しく悪化して破産。2013年にカラシニコフ社として再スタートを切った。


アメリカでは

 アメリカでは国内のガンメーカーがカスタマイズAKを製造しており、ガリルを参考に両側にセレクターを設置したアンビセレクター化、AR-15と同じ操作のセレクターへの変更等、様々な改良を施した機関部、主にM4カービンの部品を流用したスライド式の銃床、レール付きのハンドガード、レール付きの高強度削りだしレシーバーカバー、レシーバーカバーの上から被せるアッパーマウントレール(リアサイト部とストック基部での二点固定)、ボルトを後退位置で固定できる切り欠きの付いたセレクターレバー、MINIMIAR-15M1911のグリップを装着する部品等、様々なカスタムパーツが販売されており、それらを使用したモダナイズドAKも製造・販売されている。

 アメリカの銃規制法の関係でレシーバーなど主要部品の輸入は難しく、東側諸国の製品は何かあればすぐに輸出規制の対象となるために安定した入手は難しいという事も有り、国内製造しなければならないといった理由もある。

一方でカラシニコフ社も対策を進めており、カラシニコフUSAを設立、アメリカ現地法人での主要部品の製造や、アメリカ市場に向けた9mmx19弾を使用したカービンモデル(K9シリーズ)の発表などを行なっている。

 中小企業だけでなくSurefire社やTDI社といった大手企業からもカスタマイズパーツが発売されており、AR-15と並ぶほどに市場が確立している。

マズル部はM14ピッチ1.0逆ネジが切られており、AKMや社外品のハイダーへの交換が可能な事からそれらから流用した部品によりカスタマイズがされた銃もある。(余談ながら東京マルイ電動ガン化した際にマズル部のネジを規格ごと再現した為、規格の共通化のために以降の製品は実銃のネジ規格は無視されて全てM14P1.0LHとなった)

 ハイダーの固定はスプリングによりテンションのかかったピンで固定されており、クラッシュワッシャーのような消耗品は使用されていない。


 近代化や、旧西側諸国にマーケットが拡大したことにより、スライドストック化やRAS化、NATO加盟国のアサルトライフルの使用弾薬である5.56mmNATO弾を使用する姉妹機の開発なども行われ、かつて仮想敵国であったアメリカの市場でも人気があり、アメリカの企業でも製造されている事などからも、史上最も成功したアサルトライフルといえよう。

 ただし米国シューターはAKをまっとうなライフルとして見てない場合が多く、あまり評判は良くない。強い排莢力により薬莢がシューティングレンジの屋根に当たり、白い目で見られる事も。


AK47にはブルパップ方式を採用したものもあるが、あまり知られていない。もっともコロボフおじさんの試作銃器群には反動利用式から連装型まで何でもあるのだが…。


他のAK系と混同される事も少なくないので注意されたし。


関連イラスト

汗かきAK★★★アナスタシア大佐★★★

AK-47


関連タグ

アサルトライフル  自動小銃

ソ連 ロシア

AK-47 AKM AKS-47 AK-74 AK-12 M1カービン StG44

7.62×39mm弾

ガリル:数多く存在する「AKを参考に設計された銃」のうちの一つ、何度言ってもマガジンで栓抜きする馬鹿が減らなかったので栓抜きをつけた銃でもえる(最新バリエーションには付いていない)


AK-47(ドールズフロントライン)

MGSV:ソ連製仮想小銃「SVG-76(グリゾフ)」シリーズが登場。基本性能は低いが拡張性に優れ、派生形やオプションに富むという点からAK47がモチーフと思われる。

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