ゴーストタウンとは、廃墟の一種である。
概説
何かしらの事情で人が住みつかなくなり、放逐されてしまった町のこと。
ただし完全には無人化しておらず、ごく僅かだが住民がいる場合もある。不便さや危険にもかかわらず住んでいる理由は様々だが「(その町で生まれ育つなどで)土地に愛着(あるいは執着)があり、離れがたい」という理由がほとんどの模様。
廃墟マニアや、ホラースポットとしてやってくるオカルトマニア、肝試し目的で来る子供、溜まり場にする不良など、愛好家も存在する。
ただ多くは何らかの行政的な制限が掛かっており、みだりに近づいたり侵入したりすると罰せられる場合もあるうえ、「建築物は人が住まない(あるいは人の手が入らない)と非常に劣化が早い」という定説もある通り、さして年月を経ていない建物であっても崩落や倒壊が発生し、それらに巻き込まれる危険性があるため、迂闊に近づくことはお勧めしない。
類似した現象にドーナツ化現象、シャッター街のような都心の荒廃がある。日本の中小都市は車社会化により中心市街地に人が消えた都市も多いが、居住者すら居なくなる本当のゴーストタウンになる例は稀。
ゴーストタウンの類型
産業衰退型
産業の衰退・撤退に伴い住む人がいなくなった場所。主に鉱山町において採掘物が枯渇したり、まだ埋蔵資源が豊富にあっても需要の低下や市場での価格競争に敗れた結果、産業として成り立たなくなり放棄された場所が多い。
長崎県の端島(軍艦島)がその典型と言え、日本では特に炭鉱で栄えた北海道で多い。
僻地型
離島や山奥など、交通アクセスに難がある僻地において放棄された村落。日本では高度経済成長期以降、多くの離島や山村で発生した。
都市高齢化型(僻地型の亜種)
都市部ではあるが、より生活しやすい場所や綺麗な建物への移住が進んだ結果、特定地域の人口が高齢化し、その高齢者すら死に絶えた結果ゴーストタウンと化すパターン。
東京都多摩市や茨城県日立市は山の上の方にまで住宅街があるが、車の運転も難しいほど高齢になると「外出≒急な坂の歩きでの行き来」となるため(自家用車中心だったため同市のバス網は都市の規模の割に貧弱)、生活が困難になった住人の同市内の平地への転居が相次いでおり空き家が急増している。広い範囲で居住者が完全にいなくなった郊外住宅地はまだ少ない(あるとすれば後述の不動産バブルとの複合ケース)、近い将来本当にゴーストタウンと化したニュータウンのなれの果てが全国で発生するとみられる。
開発型
大規模開発などで放棄されたもの。ダムが多い。
天災型
火山噴火、洪水、伝染病の蔓延など、自然からの脅威を要因として住民が退避し、以来棲みつかなくなった場所。特に火山による被害によって、一時的にゴーストタウンが形成されることはよくある。
人災型
人為的な環境汚染によって住めなくなった場所。鉱山からの鉱毒による汚染、原子力発電所の核燃料漏れによる放射能汚染など。ウクライナのチェルノブイリ、日本だと福島第一原子力発電所の原発事故によって周辺の町がゴーストタウン化している。
戦災型
戦争の勃発によって、都市そのものが戦場となる危険性から住民が退避し、そのまま放棄された場所。不発弾や毒ガス、地雷などの危険物が撤去されずに放置された場所もあり、戦後の状態次第で復興されずにゴーストタウン化する場合がある。また国家間が緊張状態にある国境付近の都市も、こうしたパターンに類する。
不動産バブル型
不動産投資の過熱によって大規模なベッドタウンや別荘地が無計画に造成されたが入居者がなく、そのまま廃墟化するもの。
つまり生まれながらのゴーストタウンともいえるタイプ。日本ではリゾート地でみられるほか、特に1970年代からバブル期の千葉県や大阪府で特に多く、一部では建築途中で放棄された建売住宅地が廃墟化して無残な姿をさらしている(その後行政によって解体されたものもあるが)。
2000年以降の中国でも不動産投資の激化や、無計画な都市開発が乱発され、そうした場所は「鬼城」(幽霊の棲む都市)と呼ばれている。スペインでも住宅バブルが起きた時に大規模なベッドタウンを建造するも、2010年の欧州金融危機によって計画が瓦解し、ゴーストタウンを生みだした。
創作において
創作物でも一時期の世紀末ブームを中心に、人の絶えた都市を描いた作品は多くなった。
特に創作では以下2パターンが固有の、さらに言えば主立った形式として登場する。
怪奇・惨劇型
創作限定の固有パターン。
何かしらの怪奇現象に見舞われ、ゴーストタウンが急造される場合。
吸血鬼などのモンスターによる住民の捕食、侵略者による集団拉致など、理由は様々。
有名な都市伝説である「杉沢村」もこの類と言える。
何かしらの脅威が迫ってくる前兆としてよく登場する。
ポストアポカリプス型(創作)
大規模な災厄によって人類文明が荒廃した結果、都市だけがその記念碑として残存している。
昨今、この手の創作物も一定のファンを得てメジャーとなっており、主人公たちが人のいなくなった都会を遍歴するストーリーは珍しくなくなった。