概要
井上雄彦が1998年より『モーニング』にて連載している時代劇漫画。
「バガボンド(vagabond)」とは、英語で“放浪者”、“漂泊者”という意味である。
吉川英治の小説『宮本武蔵』を原作としているが、武蔵の実姉が描かれていなかったり、吉岡道場が失火したり、宝蔵院の老僧「日観」が胤栄となっていたり、胤舜に敗北したり、佐々木小次郎が聾唖者であったり、原作小説では数ページに満たない武蔵の百姓修行編が3巻も続いたりと、キャラクターや物語には井上雄彦独自のアレンジが大きく加えられている。
一方で原作の持つ哲学性はこれ以上ないほどに研ぎ澄まされた筆致で描かれ、原作小説よりこっちの方が好きという武蔵ファンも多い。
長期休載
2022年現在37巻が発売されており、原作のエピソードは小倉編のみを残し休止中。
2015年2月から長期休載しており、約7年間連載が止まっている。
2022年には井上を監督したとスラムダンクの映画が公開された。しかし、バガボンドの続きは描かないようである。(描きたいけど描けないのだと映画スラムダンクのホームページで語っている。)
登場人物
☆は原作ではセリフのみor未登場の人物
武蔵と縁の人々
バガボンド第1章・3章における主人公。
武蔵の幼馴染。もう一人の主人公。
武蔵と又八の幼馴染で、彼らの想い人である美女。
「武蔵の弟子」と名乗る少年。
様々な有力な人物との人脈を持つ僧。
小次郎と縁の人々
第二章における主人公。
鐘巻自斎☆
鐘巻流の開祖。小次郎の育て親。
一刀流の開祖。小次郎の兄弟子であり、彼を剣の道に導いた張本人。
自分の流派を立てる夢を持つ傾奇者の青年。小次郎の友人となる。
原作では武蔵の舎弟みたいになっているが、こちらでは不仲。
武芸者
吉岡一門
吉岡道場の当主。小柄で清涼な顔立ちの美男子。
原作というか小倉碑文では大坂の陣まで生きているが…。
吉岡四強の一人で、事実上、京最強の剣士。
清十郎の弟。長身で無骨な外見、極めて厳格で真面目な性格。
吉岡四強の一人。原作にいた息子は娘になっており武蔵とも戦ってない。
吉岡十剣筆頭で伝七郎の弟分。
吉岡十剣の一人。武蔵を道場炎上の原因と思い込み追う。
原作では終盤で宍戸と組むが、こちらは中盤で武蔵に討たれる。
宝蔵院流
宝蔵院流槍術二代目。武蔵と戦う。
柳生家
柳生新陰流の開祖。通称「剣聖」。武蔵の心の師。
石舟斎の孫で、新陰流の後継者。
石舟斎の息子で、将軍家剣術指南役。沢庵と親しい。
その他
関ヶ原一帯を荒らしまわる野盗「辻風組」の頭。
関ヶ原の戦いで敗走した武蔵と又八の前に立ちはだかる。
辻風黄平☆
典馬の弟だが美貌を持つ。通称「死神」。鎖鎌を修得。
鎖鎌を操る盗賊。
龍胆☆
本物の宍戸梅軒の遺児。
大名家
小倉城の前城主で、無類の剣豪好き。武蔵の噂を聞きつけ、彼に細川家の剣術指南役に誘う。
小倉城の城主で忠興の長男。秀忠と親しい。
徳川幕府の第二代将軍。初代将軍徳川家康の息子。武蔵のことを評価している。
その他
又八の母親。
飢餓に悩まされる村で会った孤児。後の武蔵の養子・宮本伊織と思われる。
秀作☆
武蔵が住み着いた村の百姓。捻くれた変わり者だが、武蔵の農業の師となる。