辻風黄平
つじかぜこうへい
先代を殺害し、二代目を勝手に襲名した宍戸梅軒の本名。死神と称される剣術・鎖鎌術の達人。
物語冒頭で宮本武蔵&本位田又八と戦った山賊「辻風組」の元構成員であり、武蔵にボコられて死んだ首領・辻風典馬(原作小説では盗賊だが、歴史書では柳生の剣士とされている)の実弟。
序盤で沢庵に捕らえられて松の木につるされていた武蔵の下に現れ、恨んでいた兄への仇討ちが出来なかったことを恨んで殺そうとするが失敗する。
生まれて間もなく間引きのために捨てられたが、同じく親に見捨てられた典馬に拾われ、野盗となる。幼い頃は美少年でありホモの団員に襲われそうになったが、逆に滅多切りにして殺している。その事で顔と剣のウデが劣る典馬から嫉妬を受け、12歳の時に女を襲っている真っただ中で不意打ちを受けて性的不能の体にされた。
典馬に復讐を敢行するも返り討ちにされて牢獄に幽閉されていたが、関ヶ原の戦い及びそれから敗走してきた武蔵と又八に残党がボコボコに叩きのめされたこともあって辻風組は壊滅し、牢を破って逃走。
こうした育ちゆえに人の命に価値を見出せずにいた。
旅のさなかに佐々木小次郎が自分の贔屓にしていた娼婦と親しくしていたのを見て嫉妬し、切りかかるも逆に顔を斬られて深い傷を負った。
流浪の旅路の中で先代の宍戸を殺すが、その娘龍胆から恨まれ命を狙われる。その最中で宍戸父娘の会得していた鎖鎌を学び自力で先代を上回る腕を手にする。そのため、倒して名を挙げようとする武芸者が後を絶たなくなったが、それらを次々斃していく中で、龍胆と不思議な絆を育んでいく。
1604年、武蔵が宝蔵院、柳生との戦いを経て「宍戸」と戦いに来たことで再会。
変幻自在の鎖鎌で武蔵を圧倒するも、窮地で武蔵が編み出した二刀流に敗北し、指3本を失い二度と戦えないからだとなる。
暫く龍胆と暮らしていたが、吉岡全滅時には二人とも苫屋の中で息絶えていた。
武蔵と歩んだ道は違えども、彼もまた人生に後悔せず散って行った男の一人であった。