概要
2019年12月20日よりwebサイト『TYPE-MOONコミックエース』の立ち上げと同時に連載開始した『コハエースGO 帝都聖杯奇譚』のリメイク漫画。
フルネームは『帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline』。
『BOZEBEATS』『鬼滅の刃 外伝』を手がけた平野稜二氏と、『コハエース』を担当する漫画家経験値氏が描く、どのFate作品ともリンクしない聖杯戦争の物語。
『帝都聖杯奇譚』のリメイクと謳われているが、正確には更にその元となった没原案(コハエースEX収録の設定集)のコミカライズである。
これに伴い、『コハエースGO』で大暴れした割烹着とか妹とかちゃりん娘とかブリテン王とかのスターシステムキャラはリストラ。
代わりに一部没設定を拾い上げた本作オリジナルキャラクターが新しくデザインされる事となった。
なお、一部は元の立ち位置にあったキャラのデザインを踏襲しており、面影が見られる。
作風も節々でギャグ描写が挟まっていたリメイク前とは違い、世界大戦という闇の時代を一つの視点から描いた、終始重苦しく殺伐としたストーリーが展開される(主人公ら登場人物が置かれている状況も、本家よりかなり悪化している)。
ストーリー
昭和20年、帝都。その日、突如として謎の大爆発が起こり帝都は壊滅。約20万もの人名が灰燼と帰した。
それから75年経った令和2年。
現代の日本で平凡な高校生活を送る赤城奏丈は、とっくに廃業した魔術師の末裔。
ある日、亡き祖母の遺品を整理していたところ、目詰まりした奇妙な砂時計を手にする。手を滑らせ、咄嗟に魔力を流してしまった瞬間、突如として奏丈の周囲に異変が。
気が付いた場所は列車の中。
見知らぬ少女。襲いかかる甲冑の騎士。そして————召喚された白髪の剣士。
「申し遅れました。あなたが私の主(マスター)ですか?」
そこは昭和20年の帝都。今ここに、帝都聖杯戦争が幕を開ける。
登場人物
マスター
赤城奏丈(あかぎ かなた) | 藤宮九十九(ふじみや つくも) |
---|---|
衰退した魔術師の一族の末裔。父の代で廃業してるため魔術知識は素人同然であり、魔術への執着もほとんど無い。魔術師であった祖母の遺品を整理中にタイムスリップし、帝都聖杯戦争においてセイバーのマスターとなる。 | 本来帝都聖杯戦争に参加するはずだった魔術師の少女。タイムスリップした直後の奏丈と共に偽のランサーに襲われ、その場でセイバーの召喚を試みるが…。 |
真瓦津(まがつ) | 淺間かなめ(あさま かなめ) |
大日本帝国陸軍の軍人であり、バーサーカーのマスター。階級は少佐“相当”で、2年前に神通力を研究する極秘部隊の顧問として陸軍入りした。同じ日本軍陣営であるアーチャーに対し慇懃な態度を取りつつ、裏で軍を使い暗躍する。 | アーチャーのマスター。異人の妾の子という事から立場が弱く、真瓦津の非道な作戦に反感を抱きながらも異を唱える事ができない。 |
レイター少佐 | 蘭蘭芳(ランランファン) |
アサシンのマスター。第三帝国に所属する軍人。第三帝国と真瓦津の同盟におけるパイプ役を担っている。 | ランサーのマスター。中国の裏社会を拠点に活動しているフリーランスの魔術師。金になるなら何でも盗むと評判で「火鼠」の異名で知られる。聖杯戦争に参加するために戦時中の日本に密入国する。 |
キャスターのマスター | |
キャスターのマスター。今のところ未登場。 |
サーヴァント
セイバー | アーチャー |
---|---|
卓越した剣技と達観した死生観を持つ白髪の少女剣士。作風に合わせてか、それまでと違って明るさ控えめのクールな印象。その正体は、幕末の京都で活躍したあの集団の天才剣士。 | 戦国三英傑と謳われ第六天魔王の異名をもつ有名な武将。作風に合わせてか、それまでと違って常におっかない魔王モード全開。 |
ライダー | アサシン |
白い軍服に身を包む優男と、その側を浮くセーラー美女のコンビ。マスターを持たず、探偵事務所を拠点として動く。正体は薩長同盟の立役者であり、大政奉還を成し遂げた維新の英雄。 | 土佐の亡霊と称されるサーヴァント。性格は残忍でたとえ相手が女であろうと関係ない。また、自らを坂本龍馬と名乗っているが… |
ランサー | バーサーカー |
神槍と謳われた老師。飄々としつつも、強者との戦いを求めている。 | 真瓦津が召喚したサーヴァントで、宮本武蔵と思われていたが、召喚したのは「鬼武蔵」の方だった。 |
キャスター | |
今のところ声の登場のみ。 |
その他
監督役
聖堂教会から派遣した太り気味の神父。
過去シリーズの監督役と比べると比較的人が良く、捨て駒扱いに気づかなかった九十九に同情し、情報などを提供する。
サングラスをかけスーツをまとった人物。
アサシンからセイバーのマスターについての詳細を聞きに現れた。
セイバー陣営への襲撃部隊
真瓦津少佐の指示でセイバー陣営に襲撃を図った日本帝国軍の部隊。
一度目の部隊は二手に分かれて白昼に堂々と襲撃を図ったが、(軍人とはいえ)人間がサーヴァントに敵うはずもなく、赤城の方はその場にいたセイバーに、藤宮の方は別任務で来ていたアサシンによって全滅した。
二度目の襲撃に志願した軍人達は、手榴弾を手に玉砕覚悟で襲撃を図ろうとしたが、お竜さんによって全員叩き伏せられ失敗。恥を忍んで報告に戻った一人も、罰や懐柔疑惑として拷問を受ける羽目になった。
余談
既存からリメイクが行われたFate作品はこれが初となる。
タイトルの「red line」とは『越えてはならない一線』の事であり、死生観が異なる時代に跳ばされた主人公の奏丈の心情も指していると考えられる。
原典の帝都聖杯奇譚では琥珀がセイバーのマスターとなっていたが、本来の構想ではマイナーな魔術師の息子とされており、それが本作主人公が赤城少年に変更された経緯なのではないかと言われている。
また、近年『月姫』とFateシリーズが別世界設定となった事も関係しているのだろうか。
『Fate/GrandOrder』に参入したサーヴァント達は、「経験値版」の経緯を得た存在である事が仄めかされているが、この「リメイク版」は既存のFate作品とは"リンクしない"という触れ込みである。
本家コハエースでも、FGOの気風に染まったぐだぐだ勢が原作より残忍になった自分達に引くと言うネタが出た程。
また、単行本の巻末にある用語辞典冒頭には、この作品の設定は既存のFate作品とは違う独自設定で成立していると但し書きの通り、時間遡行など既存のFate作品ではあり得ない無茶も多いのが特徴(型月世界で時間遡行は、魔法の領域だとされている)。
『Fate/prototype』のような従来の型月世界から離れた設定になるのか、従来の型月世界の派生に属した上で既存のFateとリンクしない世界観になるのかは現状不明。
設定関係自体は経験値氏がガッツリ監修しており、主人公のタイムスリップやセイバーを召喚した意外な触媒も最初からそのつもりであったと、コハエース内で語られている。