概要
帝都で起こった聖杯戦争に参加するはずだった魔術師の少女。学生服を身に纏っている。
勝気でやや短気なところがあり、その画力は経験値氏風である。
魔術師藤宮家の五代目当主で、作中(昭和20年時点)での年齢は17歳。
藤宮家は魔術師としてはやや没落気味の家系、とはいえこの戦時中に紅茶を嗜む余裕はあるようなので、家庭環境はそれなりに裕福な模様。
聖杯にかける未来は「明るい未来」(ちなみに最初は世界征服と言おうとしていた)で、自らを取り巻く戦争だらけな時代を本気で憂いている。
聖杯戦争参加に際し、触媒として「聖剣の鞘」を聖堂教会に手配させ、アーサー王をセイバーとして召喚する予定だったが、その前に敵に襲われ、同時に乱入してきた赤城奏丈が偶然沖田総司を召喚してしまったため聖杯戦争に参加できなくなってしまう。
仕方なく、彼を自分の代理として戦わせようとするが…。
本来の歴史においては、彼女がセイバーを従え聖杯戦争に参加したのでは?と奏丈は推測している。
そうなると「何故召喚されたのがアーサー王じゃなかったのか」という疑問があったが、後に聖堂教会から受け取った鞘は文献を参考に見た目だけ似せた偽物だったことが判明(よって魔術的加護は皆無)。沖田が召喚されたのは恐らく縁や共通部分あっての者と思われる。
偽物を渡した理由については教会の監督役曰く「触媒が無くても英霊召喚はできるし、一介の魔術師に聖遺物をおいそれと譲るわけにはいかない」とのこと(ちなみに肝心の本物はコーンウォールの地に埋まったまま)。監督役から電話越しにそれを告白された際には当然ながら呆然。大声で罵詈雑言(伏字済み)を浴びせている(が、監督役は日本語のスラングを理解していなかったので効果は無かった…)。
尚、監督役もそんな不義理な真似をするつもりはなく、本来は聖剣の鞘とは別に聖遺物を用意する予定であったが、なにぶん戦時中である為に聖堂教会も自由に動けず、聖遺物を用意できず苦肉の策として偽物を渡すことになった、というのが事の実情である。
胆力は相当なもので沖田に刀を首に当てられていても決して焦りを表に見せないように振る舞えるほど。また、アサシンの拷問にも口を割らない処か言い返す気丈さもみせる。
実は奏丈の父方の祖母の若かりし頃の姿。
若い為か容姿、人格的にも大きく違うため名前を聞くまで分からなかった。
奏丈が6歳の頃に他界しているが、優しく穏やかな祖母だったらしい。
現状、自身が奏丈の祖母である事は知らされていないが、事情を知っているセイバーとライダーから顔を覗き込まれたことを訝しんでいる。
藤宮家は軍部に魔術を使った国防に協力したが機密保持のため口封じで皆殺しにされてしまったらしく九十九はその生き残りらしい。他にも弟2人、妹1人がいたが上述の一件で死亡している。
使用魔術
魔力を液体に込め、霧のように操る魔術を使う。
作中では「水晶筒」と呼称していた小瓶を投げつけ、周囲の水分を連鎖的に蒸発させて目くらまし用の霧を発生させていた。
威力は低いものの、至近距離ならば人の頭を吹き飛ばすくらいはできるらしい。
奏丈が時代を超える切っ掛けとなった砂時計の形をした魔術礼装は彼女の遺品だったが、実際に彼女が制作したものなのか、現段階では不明な点が多い。列車内での戦いで紛失したと思われたが後にアーチャーが回収していた事が判明した。その後、マスターのかなめの方で調べた所、見た目に反して魔術構造がかなり複雑で不明点が多く作り手の強い想い又は執念を感じさせるとのこと。
人間関係
本編
未来からやって来た孫だが、迂闊に素性を明かせない彼が記憶喪失を装っているため、「記憶喪失に陥った田舎者の魔術師」と認識している。
ゴタゴタでセイバーを取られた挙句、聖杯で「未来に行きたい(元の時代へ帰還したい)」と零した彼には激憤しており、自分の代わりに戦わせる腹積もりでいた。しかし、アサシン襲撃後は奏丈と共に戦争を終わらせるために共に力を合わせることを約束する。
なお、彼女が子供を授かる前に死亡した場合、未来が変わり子孫の存在も消滅してしまう(実際、九十九が重傷を負った直後に奏丈の身体が透けて存在が不安定化している)。そのため、奏丈はどのみち九十九を守りながら聖杯戦争を生き抜く必要がある。
未来の彼女は彼を大切にしていた模様。その一方で奏丈の魔術刻印に非人道的な措置をしているなど謎が多い。
奏丈のサーヴァント。召喚儀式を行ったのは九十九だが、そこに意図せず割り込み触媒を放り込んだ彼に令呪が発現してしまった。
マスターである奏丈に忠誠を誓う一方、彼に対してきつい態度を取る九十九を疎んでいる。
一方の九十九も、アーサー王より遥かに格が低い近代英霊である沖田への評価は散々で(ダンダラ羽織と剣技のせいで真名は速攻で看破した)「その辺の泥放り込んだってもうちょいマシなのが出てくる」と述べている。上記の通り、本来の時間軸ではマスターは九十九だった。
後に奏丈から彼女との関係を知って以降は彼女も守り抜くことを約束した為、ある程度改善された。
未来の息子
魔術師を廃業した息子。
もっとも、彼女自身も魔術と研究を継がせる気は無かった模様。
一般人女性と結婚したが、事業の失敗が原因で離婚している。
彼女を襲撃したサーヴァント。反撃しようとした彼女の左手の指を斬り落とす。
拷問してきた彼を言い負かし「坂本龍馬のファン」扱いした。
同盟を組むことになったライダーと行動を共にする女性。回復能力を持つ彼女の唾液でアサシンによる拷問でボロボロだった身体を完治してもらったがその為に全身を舐めまわされ唾液まみれにされてしまう。だが、回復後は彼女の能力に興味が湧いた事で質問攻めをしていた。
その他
「セイバーを召喚しようとした」「魔術師の少女」「状況も知らない魔術師未満にセイバーを取られた」など共通点が多い。(ある部分の差は大きいが…)
原典である『帝都聖杯奇譚』においてほぼ同じポジションだった人物。
「黒髪ロングのお嬢様」というキャラデザイン(ある部分以外)を継承している。
「セイバーとは不仲」「聖剣の鞘(九十九のは偽物だったが)を所有」「聖杯戦争で生き残るも後遺症を患う」など上記の2名と同様共通点が多い。ただしこちらは本物のアーサー王を召喚している。