「……たまるか。こんなの…慣れてたまるか」
「怖いけど…逃げたくないんだ。このまま、何も分からないまま後悔したくないんだ」
プロフィール
年齢 | 17歳 |
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性別 | 男性 |
概要
父の代で既に廃業した魔術師の一族出身の高校生。自身も魔術に関する知識は素人同然で、魔術師に対する未練や執着はない。
両親は離婚しており、現在は母方の姓を名乗り、母と妹のはるかと三人で過ごしていた。
ある日、半年に一度の面会交流で父と再会し、バイト代わりに亡くなった祖母の遺品整理を手伝っていた所、誤って砂時計に似た魔術礼装に魔力を通してしまったことが原因で、突如として戦時中の帝都にタイムスリップしてしまう。
さらにその場にいた少女の九十九が英霊召喚の儀式を行った際、自身の所持品の一つであるライトノベル「帝都戦記」が英霊召喚の触媒として働きセイバーのサーヴァントを召喚。偶発的にマスターになってしまったことで、世界大戦の裏で起きていた聖杯戦争に巻き込まれていく事になる。
手の甲にある令呪は砂時計の意匠が入ったデザインをしており、現在はアサシン戦で使用し1画消費している。
奏丈の住んでいた現代は、過去に起きた帝都の大爆発以外を除けば我々の世界と何ら変わりがないと思われたが、後に過去の大爆発の影響で東京の中央が文字通り消滅し、内海になっていたことが判明した。
加えて爆心地を中心に海の一部が汚染されており、海岸に魚の死骸が集まる等、埋め立てる事も叶わない状態になっている模様。
魔術
扱えるのは「手に触れた物体の運動速度を一時的に遅くする」というもののみ。ただし、これは誰かに習ったのではなく、生まれつき使えたのだという。また、人前でうっかり暴発させる事も多々あったため、友人たちには「手品」と言い張って誤魔化していた。後に九十九によってこの魔術の正体は「魔術刻印」によるものと判明した。
所持品
現代で所持していた物で第1話で家族や友人との会話で使用。過去に飛ばされてからは当然ながら圏外で通信関係は使用不可能。使えるのは付属機能(懐中電灯やカメラ)くらいであり、通行人からは「変な板」と言われた。アサシン戦では敵の目を引くため魔術と併せて使用。
帝都戦記
セイバーの召喚の触媒として機能したライトノベル。友人の勧めで読んでいたが、冒頭と結末しか覚えておらず作者も不明。
実は劇中の聖杯戦争をベースに一部変更(例えば、聖杯・魔術絡みは記載されていない)して書籍化した物。しかし、奏丈が聖杯戦争に介入したことでタイムパラドックスが発生し内容が一部変わってしまった。さらに未来の流れが不確定化したことで文章が滲んだ状態になり先を読めなくなってしまったが、現在進行形で内容が変動するため一種の未来予測として機能することが出来る。列車内での戦闘で後半の頁が紛失したらしいが、後述の砂時計と同様アーチャーのマスターが所持していると思われる描写がある。
砂時計型の魔術礼装
奏丈がタイムスリップした原因を作った魔術礼装。祖母の九十九が作ったと思われるが、製作目的は不明。列車内での戦闘で紛失していたが、対峙したアーチャーに回収されたようで、現在はアーチャーのマスターが所持している。
解析した結果アーチャーのマスター曰く、構築も組成もとにかく緻密で果てしなく、製作した人間の執念が滲みでているそう。
また、従来の型月作品において、時間遡行は魔法の領域とされており、奏丈がタイムスリップしたのは、この魔術礼装以外の要因が関わっていた可能性も考えられる。
しかし、『Fate/type Redline』は既存のFate作品とリンクしない独自設定で成立している為、あまり心配は要らないのかもしれないが。
人物
良くも悪くも現代を生きる一般人。
基本的には穏やかで争いを好まない、現代人らしく平和ボケした性格。
普通に学校に行き、放課後に友達と話をして笑い合ったり、家に帰って夕食を食べ、風呂に入って眠るというありきたりな日常を送っていた
魔術は使えるが、魔術師としての教育も受けていない為、魔術としての価値観は皆無。魔術師にとっては初歩も初歩である「死を容認する」という覚悟もできていない。
それ故、自分の生きてきた現代と死生観の異なる時代とのギャップに苦悩しており、人が頻繁に命を落とす戦争末期の価値観に染まる事を強く忌避している。
しかしながら、責任感は非常に強い。
自分が命を失うかもしれない恐怖に震え、誰かの命が無碍に失われていく戦時の現状に苦悩しながら、そこから目を逸らすことだけは決してせず、人の命を重さを忘れない。たとえそれが、自分を殺そうとして死んだ人間に対しても。
その太平の世で過ごしたなかで培われた、人間として真っ当な、悪く言えば平和ボケした価値観は、作中でも様々な人物からそれぞれの印象を抱かれている。
だが、今まで「何故過去に人々は戦争をしたのか」を知らない方が良いと斜に構え、考えない様にしていた自分を見つめ直し、祖母である九十九を助け、「帝都で何が起きたのかを知り、消滅する未来を変えたい」と決意するなど、平和な時代で生まれた自分だからこそ、今出来る事をしていくその勇気は、人一倍強いものであると言える。
また、自らの命も関わっているとはいえ、九十九を助ける為に死地に赴き、サーヴァントの戦闘の中を躊躇なく走り出すなど、腹を括った時の胆力も、歴代の型月主人公にも劣らない。
ちなみに、地味に手先が器用で、拷問により切断された九十九の指を彼女のサポートがあったとはいえ外科手術の真似事で繋ぎなおしている(本人曰く無免許の天才外科医が主役の漫画を読んでたおかげらしい)。
人間関係
本編
祖母。現代では幼少の時に亡くなっている。
1945年にタイムスリップした際、その場に居合わせた若かりし頃の彼女と行動を共にすることに。彼女が死亡した場合、タイムパラドックスが発生し自身の消滅に繋がる。
ライダーとの同盟後は彼女から魔術をレクチャーして貰うことになった。
所持品であるライトノベルを触媒に偶然召喚されたサーヴァント。
自身を尊重してくれているが、死生観に関しては相互理解を拒否された上、ある事情から視野狭窄に陥った彼女と気まずい関係になる。
だがその後意を決して秘密を打ち明けた事で、向こうも歩み寄る姿勢を見せ始める。
悪化の一途を辿っていた自分達の状況を救ってくれた恩人。奏丈は彼の人柄に好感を覚えており、色々と手助けしてくれている彼に感謝している。
ライダーからは「案外彼みたいな人間が生き残ったりするものさ」と人となりを高く評価されつつも、自分以上に平和ボケした性格を訝しげられてもいる(その疑問は、自分の秘密を盗み聞きされていたので解決している)。
アーチャーのマスター。彼の所持品である砂時計を持っている。バーサーカー暴走の連絡を受け、陸軍の基地に駆け付けた奏丈に助けられる形で出会う事となる。
赤城はるか
現代にいる実妹。
自分より魔術の才能があったため、フリーの魔術師として活動中。
他作品
『コハエースGO 帝都聖杯奇譚』において同じポジションだった人物。
こちらは現代人の奏丈と違い、戦時中の人間(という設定)である。
『Fate/GrandOrder』の主人公。こちらは『ぐだぐだ帝都聖杯奇譚』において同じポジションだった人物で奏丈と同様、元々は平穏な現代日本で“普通の日常”を過ごしていた一般人。スペック、経歴、精神面ともに平凡でありながら戦いに巻き込まれた。いざというときの胆力や時を越える経験をしているところも共通。
ただし、奏丈が「魔術師の家系出身であり、単独で魔術行使が可能」だが「非日常的な異常(人の死や殺し合い)に慣れてしまうことを忌避している」のに対し、藤丸は「道具が無ければ魔術を行使できない、正真正銘の一般家庭の出身」でありながら、「生きる為に非日常的な異常(身の丈に合わない冒険や“戦争”)に順応せざるを得なかった」という大きな違いがある。
『帝都聖杯奇譚』の原作者である経験値氏が連載している『ぐだぐだ太閤伝ZIPANG』の主人公で奏丈と同じく沖田総司を召喚した人物。額に傷がある点や正史とは異なる歴史を歩んでいるという共通点を持つ…と思われていたが…。
余談
奏丈の人物像と展開は「コハエースEX」に収録されている帝都聖杯奇譚 用語辞典に記載されている、戦時中でありながら妙にのんびりとした、悪く言うと平和ボケした価値観を持ち、特にこれといった信念もなく、嘘みたいな偶然と事故の連続によって聖杯戦争に巻き込まれた人物という設定に基づいている。
また、召喚の触媒であるライトノベルもとある書物という形で存在をほのめかしていた。
桜セイバー曰く「え? いや、なんというか、ちょっと残念な……」とのこと。
Fate主人公らしく何度も死亡&消滅に直面しかけている。
さらにタイムパラドックスの制約や、孤立無援の中で襲い来る一般軍人達、セイバーとの齟齬や彼女の容態等、歴代トップクラスの窮境に陥っていたが、ライダーの助力で何とか改善された。
関連タグ
マーティ・マクフライ:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公で奏丈は「PART1」におけるマーティと立ち位置がよく似ている。