概要
Vol.3で登場した通常魔法。
効果テキスト
通常魔法(禁止カード)
(1):自分はデッキから2枚ドローする。
初期のOCGでは永続魔法などにアイコンが無かったことからそれらと区別するためにテキストが以下のようになっていた。
自分のデッキからカードを2枚ひく。
ひいた後で強欲な壺を破壊する。
解説
メイン画像にある壺がイラストに描かれており、効果は『デッキからカードを2枚ドローする』というもの。
遊戯王OCGではデッキからカードをドローする行為は基本的に自分のターンの開始時(ドローフェイズ)にしか行うことができないため、このカードを使用すれば2ターン分のドローが一度に行える事になり、このカード1枚の損失と合わせて手札が1枚増える計算になる。
遊戯王OCGでは他のカードゲームにおけるマナコストに相当するようなルールが無いため、手札が増えるという事はそのまま使えるカードが増えるということになる。
また、エクゾディアという手札に揃えば発動すらせずに無条件に勝利が確定する特殊ルールが存在する点も、ドローの重要性に拍車をかけている。
このため、他のカードゲームと比べて手札を増やす効果の持つ意義が突出して大きく、他のカードゲームに比べドロー効果が全体的に控えめにデザインされている。
このカード以外でドローできる効果は多くが発動条件やコストが必要であったり、発動できるタイミングが限定されている。特に、2枚以上のドローが可能なものについては、条件に加えデメリットまで付いているか、条件の下準備に時間がかかるものばかりである。
そうした条件もコストもデメリットも無いこのカードはあらゆるデッキにおける強力なサポートカードとして機能しており、逆に言えばどのようなデッキにおいてもこのカードを入れれば強化に繋がる事からデッキ構築の幅を狭める要因となっていた。
カードゲームではドローの確率はデッキ残り枚数が少ないほどに期待値が上がるが、デッキの最低枚数は決められている。しかし、このカードが採用可能であれば、このカードを引けば即座に他の2枚に入れ替わるため、最低40枚必要なルールの中で実質的に39枚でデッキを組めると言い換えられる側面も持っている。
このため、採用すれば強化になると言うよりもゲームシステムとして採用しない理由が存在しないカードであり、一部のフルモンスターのような特別な事情を除き99%採用されるカードである。
こうした、単純ながらゲームバランスを大きく崩してしまうことから2000年4月に早々に制限カードとなり、2006年3月に禁止カードとなる。
禁止前から実質的に下位互換と言える1枚ドローや条件付きドローは多数存在していたが、禁止以降は従来以上に条件やデメリットが厳しくデザインされる傾向となった。
それでもなお、2枚ドローする効果を持つカードの中には禁止・制限カードに指定される(されたことのある)カードが少なからず存在しており、デッキタイプや場の状況を選ばない代わりに非常に重いコストが付けられた強欲で貪欲な壺ですら低くない採用率を誇っている。
上述の理由もあり、発動に対して何のデメリットもないこのカードがエラッタ(カードテキストの変更)無しで制限カードに復帰することはまず無いと思われる。
なお、禁止カード指定後もたびたび再録されている。
イラストの壺について
ちなみにこのカードに描かれている壺であるが、設定上はただの壺ではなくれっきとした生物とされている。
そのため他のカードのイラストでは元気に動き回ったり、筋骨隆々な手足が生えてきたりしている。
また、他の手札に関する効果を持つ「壺」共々非常に高価な品物としても扱われているようで、そのために他人の「強欲」さを引き寄せるのか、落ちぶれた成金ゴブリンに度々盗まれそうになったり、「捕違い」のイラストでは他の(「捕違い」のカードが作られた当時の)禁止カード達がこの壺を密輸しようとして逮捕されたりしている(巻き込まれて濡れ衣で逮捕された者もいるが)。
破壊されたり、欠片になってもなおドローしようとしたり、他の壺と合体させられたりと、性能だけでなくビジュアル面でも顔となっている。
原作・アニメにおいて
原作では闇遊戯がオシリスの天空竜の攻撃力を上げるために使用しており、アニメではOCG同様その効果の強力さが広く認識されているのか様々な人物によって使用されている。
特に遊城十代は融合モンスターの特殊召喚を多用する手札の消費が激しいデッキを使用している関係からこのカードを始めとするドロー効果を持つカードを使用する場面が多かった。
OCGでこのカードが禁止カードに指定されて以降のある時期からアニメでも全く使われなくなっており、それ以前からもドロー効果に何らかのデメリットを併せ持つカードはアニメオリジナルのカードも含めてアニメに多く登場したことからアニメに登場するカードでは珍しくアニメとOCGで扱いがあまり変わらないカードと言える。
ただし、アニメではエクゾディアがOCGよりも更に希少なカードで一般的なゲームバランスに与える影響が極めて小さいためか(演出上は手札を多く消費する派手な展開を行いやすくするために)ドロー効果を持つカードに付けられているデメリットがOCGよりも緩い傾向にある。
演出上も実際のゲームに比べ一気に手札を使い切るダイナミックなプレイスタイルが多いため、現実の「使える手札を増やす」というよりも「前のターンで使い切った手札を補充する」ことで退屈なターンを産まないための役割としてドローされることが多い。
また、初期のテキストをイメージしたのか、プレイヤーがカードをドローすると共に壺が砕け散る演出がなされたこともあった。
なお、カードその物は登場していないが遊戯王VRAINSにおいて、ダブルドローという類似効果を持つスキルが存在する(正確には『ドローフェイズの枚数を2枚にする』スキル)。ハノイの騎士というクラッカー集団がスピードデュエルのデータを不正に改ざんして作りだしたスキルと説明されており、「デッキや場の状況を選ばず2枚ドローできる」という点がいかに強力であるかを物語っている。
マスターデュエルでスキルを使わないだけまだ彼らは有情だ、との視点も存在するが…
遊戯王ラッシュデュエル
通常魔法(LEGEND)
【条件】なし
【効果】自分は2枚ドローする。
解説
2021年8月12日発売のNintendoSwitchソフト『遊戯王ラッシュデュエル 最強バトルロイヤル!!』の付属カードとして登場。
ラッシュデュエルはルール上ドローフェイズに5枚になるようドローするため、そちらの影響力に劣るものの、ノーコストで手札1枚増加のメリットは健在。
元が禁止カードのせいか、レジェンドカードに指定されている。
アニメでは上城龍久及びザ☆ルークメンが使用。アニメでの使用はGX以来16年ぶりである。
関連項目
天使の施し:初期の遊戯王OCGにおいてこのカードと並んで強力な手札増強カードとして活躍し、このカード同様現在は禁止カードに指定されている通常魔法
遊戯王ラッシュデュエル:2020年、OCG11期と並行して始まった新ルール。毎ターン合計5枚になるようにドローする。
ライドブッカー(仮面ライダーディケイド):こちらはクラインの壺に幾らでもエネルギーやライダーカードを貯蓄できるという設定であり、必ずしも複数ドローするわけではない
WIXOSS:こちらには「ドロー・フォー」と言う文字通りに『カードを4枚ドロー出来る』と言うカードが存在する。他のTCGでもドロー加速が如何に強いかを物語るカードと言えるだろう。
プレミアムバンダイ:2019年11月29日、何とリアル商品として強欲な壺が予約販売された。しかも、即日完売をしているが……リアル版を持っていてもドロー2枚可能になったりはしないので注意。
藤田ニコル:モデル。壺と自身の顔が似ていると(主にアンチから)ネタにされていたが、後に自らネタにし始めた。
今田耕司:吉本興業所属の芸人。2013年に放送されたバラエティ番組『ジェネレーション天国』の『週刊少年ジャンプの回』に司会として出演しており、他の出演者たちが(遊戯王がランキングベスト10入りしたのもあって)強欲な壺について盛り上がった際に「ご、強欲な壺ぉ!? 小学生がなんて名前のカードつこうてんねん!」というごもっともなツッコミをした。
きまぐれクック:料理系Youtuber。当人が大の遊戯王ファンなのもあって先述したプレミアムバンダイのリアル強欲な壺を購入しており、それを使って「ジョンボクジャン(アワビの醬油漬け)」を作ろうとしたが、リアル強欲な壺は中に水を入れられない仕様だった為断念した(普通の壺に変えた)。そらそうだ。動画はコチラ
マサキ(ポケモン):ポケモンシリーズに登場するキャラクターだが、そのカードゲーム『ポケモンカード』では『デッキから2枚カードを引く』という効果を持ったトレーナーカードとして登場している。こちらはデッキに4枚積みが可能な上に上位互換とも取れるカードもあったが、ルール改定に伴い、『(マサキ及び類似する効果のトレーナカードは)1ターンに1枚しか使用できない』の制約が課せられた。