概要
ヘリオスの娘とされる。魔術と薬学に優れ、毒薬で人間を動物や魔物に変えることができた魔女。オデュッセウスの部下を豚に、美女スキュラの下半身を多頭の怪物に変えてしまったエピソードなどが有名である。
神話
ある所に、スキュラという美しい娘がおり、多くの男達が彼女に求婚したが、スキュラは恋愛や結婚に興味がなく、全て断っていた。そんなスキュラに惚れた男の一人に、グラウコスという名の海の神がいた。グラウコスはスキュラに求婚するが、グラウコスの人間離れした姿に恐れを抱き、他の男と同じように断り、逃げ出した。諦めきれないグラウコスは、薬草作りで名高い魔女キルケーに惚れ薬を作ってくれるよう依頼した。ところが、キルケー自身がグラウコスに恋してしまい、嫉妬心からスキュラを怪物に変えてしまった。怒ったグラウコスはキルケーの元を去っていった。
また、イアソン率いるアルゴナウタイが帰還する途中、メディアが犯した弟殺しの罪を清めた。
トロイア戦争の後、帰国しようとするオデュッセウスの船団が島を訪れた時、キルケーの宮殿にはライオンや狼、熊に猪と凶暴な動物が何匹も集まっていたが、彼らは船員達にじゃれるばかりで襲っては来なかった。彼らはキルケーに変身させられた被害者達だった。
キルケーは船員達をもてなし、豪勢な料理を振る舞うが、それを食べた者達は皆豚になってしまった。しかしオデュッセウスだけは、ヘルメスから魔法の薬草を事前に食べさせられていたため、動物にはならなかった。キルケーはオデュッセウスを気に入り、船員達を元に戻すと、一年の間宮殿で暮らした。ふと船員の一人が帰るべきだと忠言すると、オデュッセウスは目を覚まして島を後にしようとした。キルケーは引き止めたが、渋々認め、オデュッセウス達に食料と飲み物を与え、海域の先に潜むセイレーンやカリュブディス、スキュラなどの怪物の情報と攻略法について教え(スキュラについてはキルケーの責任なのだが)、彼らを送り出した。
ギリシャ神話の系譜においては、魔女メディアの父アイエーテスや、ミノタウロスの母パシパエとは兄弟(叔母)である。また異説ではメディアとともに魔術と冥府の女神ヘカテーの娘(姉妹)とされる。
創作での扱い
Fateシリーズ
キルケーはヘカテーと並び、メディアの師匠とされ、これは上記の系譜から作られた二次設定であると考えられる。
恐竜戦隊ジュウレンジャー
第8話「恐怖!瞬間喰い」に登場した怪人「ドーラキルケ」は魔女の姿ではなく、豚に変えられたオデッセウスの部下がモチーフだった。
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
作中にてケネス・スレッグが自らの「キンバレー部隊」の隊名を魔女キルケーの名と逸話にちなんで「キルケー部隊(ユニット)」と改名するシーンがある。
ラストオリジン
バイオロイドのキルケーは人類滅亡前にハロウィンパークでコンパニオンとして、ダッチガールらがC地区で残虐な拷問ショーの末に命を奪われるのをずっと見続けてきた。
その時の贖罪の念をぬぐい切れず、酒を手放せないという。
DCコミック
ワンダーウーマンのアンタゴニストとして1949年に初登場。1988年のTVアニメ版『スーパーマン』、『ジャスティスリーグアンリミテッド』、『Justice League Action』にも登場している。
関連タグ
Circe(Κίρκη)