概要
クレタ王ミノスの妃。長母音を省略しなければ「パーシパエー」と表記される。
夫ミノスはクレタ島の王位継承権を兄弟たちと争った際、その正統性の証として海神ポセイドンに雄牛を授けてくれるよう祈り、その暁にはその牛を生贄として捧げることを誓った。
祈りは聞き届けられ、晴れて王位を手にしたミノスだったが、当の雄牛があまりに美しかったために犠牲にするのが惜しくなり、代わりに別の牛を捧げてしまう。
この違約行為に怒ったポセイドンは罰として彼の妻だったパシパエに呪いをかけ、なんとその雄牛に対する激しい恋心を吹き込んだ。
あまりにも道に外れた恋心に煩悶するパシパエだったが、どうしても欲情を抑えることができない。彼女は極秘で発明家ダイダロスに相談し、中を空洞にした本物そっくりの雌牛の木像を作ってもらう。その中に入って雌牛になりすまして雄牛を欲情させ、遂に思いを遂げたのだった。
この禁断の交わりによってパシパエは身ごもるが、やがて生み落としたのが半牛半人の獣人・ミノタウロスである。