ガピヤ星人アベル
がぴやせいじんあべる
「兄貴に似せて作らせたこの特注のボディにかかれば、どんな奴でもイチコロよ」
「目撃者は消す! これ、ヒットマンの鉄則ね」
「悪いけどネチっこく追い込むように頼まれてるから、恨まないでよねっ!」
データ
- 身長:190cm〜50m
- 体重:190kg〜3万t
- 別名:宇宙ヒットマン
- CV:真木駿一
概要
『ウルトラマンタイガ』第6話「円盤が来ない」に登場。
かつてウルトラマンオーブと戦ったガピヤ星人サデスの弟。時空を股にかけて活動する殺し屋で、霧崎=ウルトラマントレギアに雇われ、ウルトラマンタイガを抹殺すべく地球にやって来た。
姿は体色が青い所以外は兄であるサデスに似ている。外見を見る限り兄サデス同様に機械化しているがこれは兄に憧れてであり、憧れ故にわざわざ特注で似せたボディを作らせたらしい(尚、サイボーグのようで生身の部分も残しているのか、一応毒攻撃は効いていた)。
普段はオネエ口調で喋り「あらやだ」が口癖になっているが、激昂すると口調が荒くなる。
兄同様ハイテンションでコミカルな言動が多いが、ターゲットが兄を葬ったウルトラの一族と知りながら、兄を倒した戦士の同胞を見ても特に意に介さない無関心ぶりを見せており、やはり兄同様のバトルジャンキーな一面が見て取れる。
その一方で「目撃者は全て排除する」と殺し屋としての冷酷さも持ち、自身を雇った霧崎が本当の姿ではないのを(霧崎曰く「見透かされたのは初めて」)見抜くなど、洞察力にも優れている。
武器は腕に装備したレールガンと、サデスのサデステインの同型と思われる長剣。また、兄と同様のパンチ技『ファンタスティック・アベルフィクション』も持つ。だが、兄のパンチが(不意打ちであるが)サンダーブレスターを打ち倒した必殺技だったのに対して、こちらはタイタスが相手の事情もあるが一方的に打ち負けており、兄に比べて威力は大きく劣っている。
戦闘力
トライスクワッドを相手にしていたので無理もないが、巨大化して以降の戦闘シーンを見る限り「弱くはないが強くもない」のイメージが残る。
ボディは外見を重視し過ぎたからか、機械化した部位の性能はサデスより幾等か劣っているようで、後述するタイタスとの戦闘ではほぼ防戦一方、3人でパワーが1番低いフーマにすら蹴りでガードを崩されたり、腕を極められたりと力負けしてる部分が見られ、終始振り回されていた(そもそも、サデスの肉体はダークリングでパワーアップしたムルナウの能力によって生まれたものであり、通常の技術ではその性能に追い付けないのも致し方ないのもある)。
また、単純にサイボーグとしての性能がサデスより劣っていた以外にも、アベルの身の上を逆説的に考えると「ヒットマンとして有能過ぎた」のが原因かも知れない。
ヒットマンは突き詰めれば暗殺者であり、本分が「クライアントの指示を受け、ターゲットを確実に殺害する」である以上、直接的な戦闘力よりも如何にターゲットに悟られずに殺せるかが重要である。
他には「慢心の強い自惚れ屋」な性格もあろう(前述の通り、サデスに似せたボディを自慢している様子から、謙虚とは程遠いのは一目瞭然である)。
アベルはヒットマンとして実績を積み重ねた結果、確かに裏社会で悪名を轟かせていたが、そのせいで増長し自分の実力を見誤り、後述の最期へと繋がったのは皮肉でしかなかろう。
劇中での活躍
円盤で地球に降り立った際、それを「自分の迎え」だと勘違いした男に目撃された為に口封じに抹殺しようとしたが、たまたま居合わせた佐々木カナの邪魔で失敗した為、予め霧崎に許可を取った上で彼をつけ狙う。
その最中E.G.I.S.と戦闘になり、逆上して巨大化。
タイガが現れると「ターゲットの方から来てくれた」と歓喜し戦闘に突入。タイガと銃撃戦じみた戦いを繰り広げ、隙を作る為に壊れたビルを投げつけるなどのラフプレーも取ったが、バトンタッチしたタイタスには銃弾が通じず圧倒され(「鍛え方がなってない」と叱責された程)、ファンタスティック・アベルフィクションとワイズマンフィストの殴りあいに負けて、大きく吹っ飛ばされてしまう。
ちょうど着地地点にいたカナ達を「顔を見られたせいでケチが付いた」と苦し紛れに銃撃しようとしたが、それもバトンタッチしたフーマに阻まれてしまう。
フーマとの接近戦では長剣でフーマを貫いた……かに思われたがそのフーマは残像であり、その隙に背後を取られ長剣を奪われた挙句、切りつけられ大ダメージを負う。
最後は鋭星光波手裏剣によって縦に真っ二つにされ、「あらやだ……こんなやられ方、兄貴に面目が……」と呟きながら倒された(奇しくも兄を倒した戦士の同胞により、その戦士の片割れの力で兄と全く同じ最期を迎えるに至った)。
尚、流れ弾が次々と建物を破壊していく戦いぶりは、星に帰りたい男から「戦いで街がどんどん壊れていく……もっと穏やかに事を運べないのかなあ」と苦言を呈されていた。
余談
スーツはサデスのリペイントと思われる。
ガピヤ星人の体の渦巻き模様は、『ウルトラセブン』に登場したペロリンガ星人をイメージしている縁からか、ペロリンガ星人との共演が実現している。
機械化の影響か、手に油か何かが付着しているらしく、長々と握手されたトレギアが不快感を露にハンカチで手を拭いていた(頑固だったらしく、なかなか取れていなかった様子)。
アベルが乗っていた円盤は『ウルトラマンメビウス』第42話でゾフィーに撃墜された円盤群の流用。
テレビで1話限りの登場だったアベルを、劇場版で全編に渡って登場したサデスより濃く描くのは不可能なので、必然的にスペックが抑えられている点は否めない。但し、キャラクター性の濃さの意味では、サデスと全く違うベクトルで強烈な個性を発揮していたと評価できるだろう。
ガピヤ星人はペロリンガ星人の前身だった「水棲人ピニヤ」を基にしていた経緯から、ペロリンガ星人を中心とした第6話の対戦相手に選ばれた。また、脚本を担当した足木淳一郎は当初『正統派の宇宙人』と想定していたが、監督の田口清隆から「サデスに負けないインパクト」を要望され、キャラクター性を改めた。
あまり触れられていないが、彼の兄がムルナウの用心棒(とガイへのリベンジ)として地球に来訪した点を踏まえると、直接的と間接的の差はあれど、兄弟2人ともトレギアと何かしらの関わりがあった扱いとなる。
監督の田口は「巨大銃撃戦は以前から温めていたアイディアだった」と述べており、着地のシーンは『SSSS.GRIDMAN』でのグリッドマンの着地シーンを意識している。
アベルを演じた声優の真木駿一氏は、偶然にも映画『ULTRAMAN』の主人公と名前が一字違いである。また、真木氏は次々回作『ウルトラマントリガー』ではダーゴンの声を演じており、『トリガー』の次回作『ウルトラマンデッカー』のダイジェストPVのナレーションを担当している。ちなみにダーゴンのスーツアクターを演じたのは、タイタスのスーツアクターを演じた桑原義樹氏である。