概要
1954年公開のゴジラシリーズ第一作『ゴジラ』に登場する架空の島。
日本の小笠原諸島にある島の一つで、古来より島民の間では呉爾羅(ごじら)という怪物の伝承がある。不漁が続くとその呉爾羅が現れたとして若い娘を呉爾羅への生贄として差し出すと言う風習があったが、1954年の時点ではすでにその風習は廃れており、呉爾羅の怒りを鎮めるための神楽だけが名残として残っていた。
日本近海で頻発していた海難事故の元凶である巨大生物が日本に最初に出現した場所であり、嵐の夜に上陸したその生物の襲撃により集落が壊滅、島民だった新吉も家族を生物に殺される。この事件を受けて山根恭平博士を始めとする調査団が島に送り込まれ、その調査団の前に件の生物が姿を現したことで、その巨大生物の存在が公式に確認された。
その時に発見された巨大生物はこの島の伝承から取って「ゴジラ」と呼ばれることとなる。
他作品
その後のゴジラ作品にもその名は度々登場している。
読みが「おおとじま」か「おおどしま」かは作品ごとに異なっている(作中であまり話題にされず超全集等の資料で語られる場合も同様)。
ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃
大戸島自体は出ないものの、大戸島近くの「孫の手島」にゴジラが上陸し、民宿をはじめとした村落を破壊している。
シン・ゴジラ
牧悟郎が同島の出身者という設定で名前のみ登場する。
呉爾羅伝説も存在するが、それでは怪物ではなく「神の化身」とされていた。
怪獣黙示録
登場人物の証言の中に登場する。
小笠原諸島に所属する小島で人口は2030年時点で3000人ほど。呉爾羅伝説も存在するが、怪物ではなく「龍神」とされている。
2030年5月29日、カメーバⅣの死骸が浜に打ち上げられ、この個体を殺害したと思しき怪獣は島の伝承に則り「ゴジラ」と名付けられた。
これ以降については特に語られていないが、作中の日本は怪獣災害への対策で過疎地の住民を移転する日本要塞化計画を進めていることから、そう遠くないうちに全島民が本土へ移転されたと思われる。
ゴジラ-1.0(ネタバレ注意!)
初代「ゴジラ」以来69年ぶりに大戸島が登場する。
第二次世界大戦中には旧日本海軍の基地が建設されており、整備兵からなる小規模の守備隊が駐在しているだけで、特攻に出撃した戦闘機が故障した際に緊急着陸する為の不時着場として使われていた。
一応は米軍の攻撃対象とされているのか、敷島浩一が緊急着陸した1945年の時点では不時着場の滑走路に爆撃された跡があったり、整備場内の黒板にも「昨日ノ敵B17来襲ハ「八丈島」ヲ偵察セシモノノ如シ、(以下略)」という記載があることから爆撃機も飛来していたと思われる。しかし、米軍は飛び石作戦によりこの島を攻略対象としていなかった。
過去作と同様に島民達の間で呉爾羅伝説が存在しているが、“出現の予兆が不漁ではなく深海魚の死骸が浮いてくる”、“怪物の存在がただの伝説ではなく根拠のある事実”である等、呉爾羅に関する伝承が一作目の物とは若干異なる。小説版によるとこの時浮き上がってきた深海魚を鍋で煮込んで食べる「深海魚鍋」が名物らしい。縄張りの広さからそうそう上陸はしてこないのだろうが、島民は大分逞しい様子である。
この呉爾羅と呼ばれていた怪物の襲撃によって整備兵たちは橘宗作と敷島浩一を除いて壊滅。真相は闇に葬られ、表向きは米軍との戦いで玉砕したことになっている(呉爾羅襲来は、劇中の同場面にて基地内の黒板に「二月二十一日」と表記されていることから1945年2月21日。小説版では1945年夏の終戦数日前の出来事とされている)。
余談
「ゴジラ」における大戸島の撮影は三重県鳥羽市石鏡(いじか)町でロケが行われ、島民達もほとんど石鏡町の町民がエキストラとして演じている。
尚、「ゴジラVSキングギドラ」でゴジラのルーツが恐竜ゴジラザウルスである事が判明しているが初代ゴジラ、そして昔の大戸島の伝承の呉爾羅もゴジラザウルスの一種だったのかは不明である。