諸元
概要
ストライクルージュの開発と同時期に開発が進められていた専用ストライカーパック。
P.M.P社から開発を引き継ぐ形で統合兵装ストライカーパックAQM/E-M1 I.W.S.P.の設計データを入手したオーブ連合首長国(モルゲンレーテ社)がその設計を見直し、独自の技術を取り入れて完成させた。なお、モルゲンレーテはI.W.S.P.の方も同時並行で開発を継続して当初の仕様通りに「P202QX I.W.S.P.」として完成させている。ただし、ストライクルージュが実戦投入されたC.E.71年9月27日の第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦には完成が間に合わずこの時はエールストライカーで代用された。さらに、本パックよりもI.W.S.P.の方が完成が早かったことから、大戦終結後に行われた数多くの式典にてストライクルージュに何らかのストライカーパックを装備する際、未完成だった本パックではなくI.W.S.P.が採用されている。
ベースとなったI.W.S.P.の基礎設計から改変することにより、当初抱えていた信頼性や整備性の問題点を解決したことに加え、島国故に海上戦を国土防衛の要とするオーブ国防軍の戦略に対応し、大気圏内での動力飛行を可能とした推進システムと4発のエンジンを搭載したX状の空力推進翼(後退翼)を駆使することにより、高度な飛行能力を有している。また、後部にストライカーパックの接続用コネクタがあり、別のストライカーパックを追加装備できる。他のストライカーパックと同じく追加バッテリー(パック上面にある白い突起部位)も搭載している。
分離状態では前方に折りたたまれた機首を展開することにより、パック単独での作戦行動が可能である(操作は機体本体から遠隔で行う様子)。
特殊な装甲材を用いているためか、パック自体の耐久力も比較的高く、通常モビルスーツを平然と貫通するどころか対ビームシールドさえ破壊するガナーザクウォーリアの「M1500 オルトロス高エネルギー長射程ビーム砲」を爆散しながらも受け止め切っている。
後継
本パックのコンセプトを踏襲し、ORB-01 アカツキの「大気圏内航空戦闘装備 『オオワシ』」が開発されている。
武装
全装備がパックにマウントされているため機体本体の両手が空くことから、実運用の際は本体側に「57mm高エネルギービームライフル」と「対ビームシールド」を追加装備している。前者は取り回しに優れた携行ビーム兵器、後者は唯一の防御兵装として、本パックの装備を完全に補完している。
レールガン
パック左舷の可動式アームに装備されている電磁加速砲。
アームを用いることにより機体本体のマニピュレータを用いることなく使用でき、圧倒的な実弾耐性を持つフェイズシフト装甲さえ破砕するほどの威力を持つ。また、右舷のビームランチャーよりも速射性・連射性に優れている。
なお、オーブにおけるレールガンの呼称は「電磁加農砲」とされるが、本装備では単に「レールガン」と呼称される。
ビームランチャー
パック右舷の可動式アームに装備されている高出力ビーム砲。
アームを用いることにより機体本体のマニピュレータを用いることなく使用でき、左舷のレールガンと同じく、高い射程と威力を誇る。
大型対艦刀
ビーム刃部と実体剣の刃先を備えた近接兵器。パック上面右舷にマウントされている。
I.W.S.P.の対艦刀は省エネのために完全な実体剣となっていたが、本パックは想定している装備元のストライクルージュが大容量バッテリーパック「パワーエクステンダー」によりエネルギーに余裕があることから、ビーム刃を発振できる仕様となっている。
外見はソードストライカーの「15.78m対艦刀『シュベルトゲベール』」と似ており、機体本体の全高に匹敵する長さを持つが、ストライクルージュレベルのマニピュレータでも片手で振り回せるほど軽量化されている。また、シュベルトゲベールと比較すると、柄部分のレーザービーム砲が完全にオミットされ、片手で使う想定となったためか柄部分も短くなっている(両拳がギリギリ並んで入る程度の幅しかない)。
内部に予備バッテリーを内蔵しているのか、マニピュレータから離れてエネルギー供給が途絶えても数秒であればビーム刃を維持できる。
元は名称通り対艦用の装備であったが、他の近接用装備を持たないためか、後に対モビルスーツ用にも位置付けられた。
ミサイルランチャー
オオトリ上面左舷に装備された小型ミサイル用の4連装ランチャー。
任務に応じて機関砲や電子戦装備への交換もできる。
3連小型ミサイル
両翼下ハードポイントに懸架されているミサイル。3基のミサイルが1セットとなり片翼あたり2セットずつ(両翼合わせて計12基・4セット)接続される。
その他
ドロップタンク
両翼下ハードポイントに懸架されている。ミラージュコロイドを利用した一種のステルス支援システムとされているが、その詳細は明らかになっていない。
劇中では
アークエンジェルのオーブ脱出時にストライクルージュ共々艦載されており、キラ・ヤマトのフリーダムに半ば拉致される形で乗艦したカガリ・ユラ・アスハによって運用される。ただし、カガリは大西洋連邦との同盟に基づいて派遣されたオーブ国防軍の戦闘行為を止めることを主眼としていたために本パックの多彩な武装も活かされることはなく、専ら大気圏内を飛行するためだけに取りつけられていた。
本パックの本領はストライクルージュにキラが搭乗してエターナルを救援に向かった際に発揮された。最も取り回しの良い武装である機体本体のビームライフルをアンドリュー・バルトフェルドのガイアに投げ渡してもなお、射撃の雨を高機動で掻い潜りながら対艦刀・レールガン・ビームランチャーを駆使して多数のザクウォーリアやグフイグナイテッドを無力化していく。ちなみに、ストライクルージュのカタログスペックはザクウォーリアやグフイグナイテッドに劣っているが、本パックによる性能の上乗せとキラの操縦技術により、数的不利さえ物ともせずに性能差を覆している。
最後はガナーザクウォーリアの砲撃からエターナルを庇うため遠隔操作で射線軸上へ向かい、オルトロスの直撃を受けて破壊された。それでもエターナルまでの貫通は許さずに相殺しきっている。また、本パックを失ったことによりストライクルージュの火力と機動性は大幅に低下し、唯一残された対艦刀で果敢にも斬りかかっていたところをガナーザクウォーリアのオルトロスに狙われ、避け切れずシールドで受けたために左腕を損失、その後エターナルへ着艦する際に両脚にも被弾して大破同然となった。
結果的に失われたが、ストライクルージュ本体と共にストライクフリーダム搭乗までの繋ぎとしての役割は十分に果たした。
続編『FREEDOM』では、大破したストライクルージュは修復されていたが、こちらが再生産されたかは不明である。
デッドコピー
オルタナティブ・プロジェクトにおいて、デッドコピーが製造されている。あくまでデッドコピーであるためオリジナルの性能をどの程度再現しているかは不明とされているが、こちらではドライグストライクと同型のジョイントがパックの上面と下面に増設されており、ソードストライカーやランチャーストライカー等の武装を増設できる。
実際に、ドライグストライクにオオトリ・ソード・ランチャーを同時装備することでマキシマムパーフェクトストライクというとんでもない形態とすることができる。
関連タグ
I.W.S.P....ベースとなったストライカーパック。モルゲンレーテ社における開発史では同時期に開発されていたため兄弟にもあたる。
マルチプルアサルトストライカー...類似コンセプトのストライカーパック。最大火力以外はこちらの上位互換となる。