概要
エルフ族の数少ない生き残りのひとり。見た目は小柄な少女なれど、歴史上最も魔族を殺したと言われる魔法使いで、「葬送のフリーレン」の異名を持つ。
年齢は少なくとも1000歳を超えており、劇中世界では真偽を疑われるほど古い伝説を直に見知っている事も多い。
だがこれでもエルフの中では「若者」に入る部類らしい。
エルフの寿命は人間の100倍もあるとのことで、仮に寿命が10000歳と考えると、1000年は人間換算で10年程度にしかならない。
そのため人間換算で20歳に満たない可能性すらある。
卓越した実力を持つ魔法使いであるが、元々地位や名誉に興味がないことや、魔王討伐から長い時間が過ぎていることもあって、ほとんどの人々から忘れ去られた存在になっている。
経歴
1000年以上前、故郷であるエルフの隠れ里が魔族の襲撃を受けた際、里で最も高い自身の魔力を駆使して魔族に真正面から立ち向かうも敗走し、唯一生き残ったところを人類の魔法の開祖である魔法使いフランメに救われる。
その後、彼女から魔法の手ほどきを受けると共に、漲る魔力を押し隠して敵を欺き倒すという戦い方を伝授される。
フランメの死後は遺言通り、名声への望みや野心を抱くことなく数百年以上もの長い時を人知れず孤独に暮らしてきた。特に黄金郷のマハト相手に敗走してからは、ほぼ隠遁状態にあったという。
ある時、未来を見通す力を持つ人類最強の南の勇者と出会い、魔王討伐の旅にスカウトされるがこれを拒否。
拒否されることを予めわかっていた彼から、避けられない死の未来を負う自分に代わって魔王討伐を成し遂げる勇者が現れフリーレンと出会い、更にそれが彼女の運命をも変えることを予言される。
そして予言通り勇者ヒンメルと出会ったことを機に魔王討伐の旅へ加わり、10年の旅路の末、仲間たちと共に本懐を遂げる。
その後は気ままな一人旅に戻って50年を過ごすも、年老いて再会したヒンメルとの交流や彼の逝去を機に、短命な人間だからと彼を知ろうとしなかった深い後悔の念を初めて抱く。
結果、人間そのものを改めて知ろうと決意。ヒンメルの生きた証を辿りつつ、彼の思いや人物を詳しく知るための新たな旅に出た。
その後は旅先で出会った人とはなるべく関わることを意識しつつも、目的のない魔法収集の趣味の旅を続けていた(風化する前にヒンメル達との冒険の痕跡を辿っていきたいとも思っていた)が、ハイターとアイゼンの導きにより死者の魂の集う場所……『オレオール(魂の眠る場所)』でヒンメルとの再会を果たすことを今の旅の目的としている。
人物
エルフ族は長い寿命を持つ代わりに感情が希薄なため、フリーレンも感情の機微が分からず、あまり喜怒哀楽を表さない。
種族自体恋愛感情も生殖本能も薄いため、緩やかに絶滅に向かっているとのこと。
長命種特有の時間感覚で生きており、何事も数か月単位、数年単位で行動している。そのため、人間からしたら考えが悠長過ぎることが多い。
元々は寿命の短さゆえにすぐ死ぬという理由で人間とあまり交流を持っていなかったが、ヒンメルの死後はそうした考えを改め、なるべく人と関わるようになった。
ゆえに人格的には案外未成熟な一面がある一方、長い寿命からくる老成さも併せ持つという不思議な性格をしている。
他人だけでなく自分に対しても無頓着で、一言で言えば非常にずぼら。寝起きが悪く放っておくと昼まで寝ており、髪の毛も気を抜くとぼさぼさにしてしまう(弟子のフェルンからは「お洒落に一切興味がない」と思われているようだ)等、悠久の年月を独力で生きてきたとは思えないほど生活力の無さが目立つ。
フェルンと同行してからはそれが特に顕著だったが、彼女に怒られて多少改善する気になった模様。ちなみに寝相も悪いようで、寝ている間にフェルンの布団を剥いだり彼女に乗っかっていたりするコマが描かれた話が複数存在する。
ただ女性らしい部分が皆無というわけではなく、体型を気にする素振りを見せたり、年寄り扱いされて不機嫌になったりもしている(年寄り扱い(「おばあちゃんみたい」など)をされると彼女にカウントをされ、3度目には勇者も引くほど泣き喚く)。
ヒンメルの死と新たな仲間との旅路を機に徐々に心境も変化していっており、旅立ちへの踏ん切りをつけられずにいた僧侶ザインに「ヒンメルが旅立つ勇気と仲間と過ごす楽しさを教えてくれた」と語るまでになり、穏やかに微笑んだり仲間と共に笑い合ったりすることも増えている。
世界有数の実力者だが決して自分の実力をひけらかすことはなく、優れた魔法使いに対してはたとえ宿敵である魔族であってもそれなりの敬意は払う。
ともすれば謙虚とさえいえるその姿勢は、おそらくは師匠のフランメを始めとした優秀な魔法使いと多く出会ってきた経験がそうさせているのだろう。
実際フリーレンによると「自分より魔力が低い相手」に過去11回負けたことがあるそうで、魔法使いの強さは魔力のみでなく、努力と根性、才能によって決まると話している。
上述の通り感情は希薄だが、同郷の仲間たちを皆殺しにされた恨みと「魔族は言葉で人を欺き食らう言葉の通じない猛獣」という本質への警戒から、魔族との敵対時には一切の迷いも容赦も見せず、魔族を発見するや否や周囲の状況を顧みずに問答無用で葬り去ろうとさえする。
子供はいない。だが数十年前に男子にパンツを見られたことを覚えているなど、男の性欲の概念はある程度理解している模様。
タマネギが嫌い。
能力
長い寿命により得た膨大な魔力に加え、魔法の知識や技術も非常に卓越している。
さらに長年で培った研究、実戦経験や多種多様な魔法も備えており、純粋なスペックは作中でも最強格。
とはいえ本人の性格や価値観から、一般的な魔法使いのイメージらしい派手さは皆無。戦闘の際も下記ゾルトラークに絞った「作業的」とも称されるほど極めてシンプルなスタイルを行使し、(本人曰く「今の魔法使い相手ならこれで十分」)これはフェルンにも受け継がれている。
常に己の魔力を制限しており、外観で認識できる魔力は人間の熟練の老魔法使い程度。
これは、魔法に対する誇り高さに加えて魔力の高さが同族内での力関係に直結するために「魔力の高さをあえて秘匿する」という発想を持たず、持つこともできない魔族たち(フランメ曰く「クソみたいな驕りと油断」)の裏をかくためで、「実力がはるかに格下だと相手に誤認させ、油断の隙を突いて殺す」という戦い方を常套手段としているためである。
師匠のフランメから伝授された戦い方だが、その戦法を見破った魔族からは魔法のすばらしさや魔法使いの誇りを汚す卑怯な手段と認識されている。フランメ自身もそれを理解していて「卑怯者は自分たちだけでいい」と語り、彼女から「一生をかけて魔族を欺け」との言葉を託されたフリーレン自身もそう認識している。
無論これらやり方は、あくまで格下相手や不意打ちが有効であった場合のもの。強敵を前にしたときは、長い年月のうちに培った強大な魔法を惜しげもなく行使する。
これほどの実力があってもゼーリエのような大魔法使いに言わせれば「年の割に技術が甘い」らしく、フリーレン本人もそれを認めている。
高水準で卓越した技量の魔法使いのため突ける者はほとんどいないが、「魔法を使う瞬間、一瞬だけ魔力探知が途切れる」という弱点があり、見習い魔法使いがよくするミスであるのだが、フリーレンは「昔から苦手」と自覚を持った上で直していなかった。
また、一般攻撃魔法は現在の人間からすればあって当たり前の基礎だが、エルフにとっては新しい魔法になるため、反射神経で無意識に防御できず誤差レベルであるが思考する分対処が遅れるとも語っている。
使用した魔法
- 一般攻撃魔法/人を殺す魔法(ゾルトラーク)
その名の通り一般的な攻撃魔法。
大元は約80年前にフリーレン一行に封印された魔王軍の魔法使いクヴァールが編み出した史上初の貫通魔法で、当時は多くの冒険者や魔法使いを葬った魔法として恐れられていた。
封印後、大陸中の魔法使いによって精力的な研究がなされた末に人類側の魔法体系に組み込まれ、文字通りの一般的な攻撃魔法に昇華された(その過程にはフリーレン自身の献身も寄与しているという)。
その経緯上、人類側の習得からまだ日が浅いが、性能は非常に優秀なので基本的にこれしか使わない。
- 魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)
上記の「人を殺す魔法」をフリーレンが改良し魔族殺しに特化させたもの。
魔法陣が五芒星から六弁花の図式に変わっている。
- 防御魔法
自身の周囲に六角形のバリアを張る一般的な魔法。
バリアが相手の魔法と同調し威力を分散させる仕組み。
魔法に対しては絶大な防御力があるものの木や水など質量的な攻撃に弱い他、仕組みが複雑な分消費魔力も多いため、全面展開すると優れた魔力の持ち主でもすぐに魔力が尽きる。
- 飛行魔法
その名の通り空を飛ぶ魔法。
魔族が使っている術式をそのまま使っているため原理不明。
そのため応用も出来ず、人より大きな物は短時間しか飛ばせない。
- 破滅の雷を放つ魔法(ジュドラジルム)
杖から雷撃を放つ。
- 地獄の業火を出す魔法(ヴォルザンベル)
杖から爆炎を放出する。
- 石を人形のように操る魔法
大岩に、岩石で手足をつけてまるで生きているかのように動かす魔法。原作では回想にてヒンメルたちに披露する程度だったが、アニメ版でゴーレムのように戦闘能力のある巨人を作り出すことも可能だということが判明した。
- 魔法と認識できない攻撃(名称不明)
正確にはフリーレンの能力をコピーした魔物が試験編でフェルンに対して使用。相手を押さえつける正体不明の攻撃を食らったフェルンは、これを魔法での攻撃と認識できず戸惑っていた。戦闘後フリーレンは『これを使わされたのは八十年ぶり』と言っているので時系列的に以前に使用した相手はクヴァールかもしれない。
- 漆黒の攻撃魔法(名称不明)
こちらも正確にはフリーレンの能力をコピーした魔物が試験編で本物のフリーレンに対して使用。漆黒の光線を放つ魔法でフリーレンの防御魔法を正面から打ち破り左腕に傷を負わせたが、この攻撃の隙をフェルンに突かれた。
- 小型のブラックホールを出す魔法(名称不明)
アニメ版にて登場。こちらも正確にはフリーレンのコピーが使用したもの。小型のブラックホールを出現させ、周囲の瓦礫を引力で引き寄せあと、一気に射出することができる。
- 解除魔法(名称不明)
断頭台のアウラによってかけられていた服従させる魔法(アゼリューゼ)を解除する魔法。
強力な解除魔法のようで、魔力消費は相当になるらしい。
- 結界を破る魔法(名称不明)
一級魔法使い試験の一次試験にて、試験区域全域にゼーリエによって張られた結界を破った。
民間魔法
- 銅像の錆びを綺麗に取る魔法
銅像の掃除が楽になる。
- 甘い葡萄を酸っぱい葡萄に変える魔法
アイゼンの好物が酸っぱい葡萄であり、本編で再会した際振る舞っていた。
- 綺麗な花畑を出す魔法
フランメが戦闘魔法以外で唯一フリーレンに教えてくれた魔法であり、フランメが一番好きな魔法。
実物を見たことがない花は再現できない。
- 命懸けで宝物庫の扉を閉じる魔法
民間魔法の中でもトップクラスの封印魔法であり、この魔法をかけられた扉は術者が死ぬまで開くことはない。
- 服が透けて見える魔法
悪かったね、面白い体じゃなくて。
なお、武器を隠し持ってないかの確認という一応実戦的な使い方もある。
- かき氷を出す魔法
アニメ版はアドリブなのかふわふわのやつが出るという追加情報があった。
※シロップを出す魔法はない。
- 底なし沼から引っこ抜く魔法
沼にハマったザインを助ける時汚くて触りたくなかったので頑張って思い出した。
- 失くした装飾品を見つけ出す魔法
- カビを消滅させる魔法
- しつこい油汚れを取る魔法
これまでのフリーレン一行の旅を一変させた(ある意味)伝説級魔法。
- 鳥を捕まえる魔法
大雑把に鳥のような相手を拘束できる魔法。鳥型の魔物も拘束できる。拘束力は隕鉄鳥(シュティレ)を身動きできなくできるほどに強力だが、射程が50cmなのが欠点。
女神の魔法
聖典に記されており、聖典の所持者でないと使えない魔法。その多くが魔族の魔法と同じで原理がわかっておらず、また生まれながらの資質がある程度ないと扱うのが難しい。
- 毒の種類の判別
毒蛇に噛まれたシュタルクに使って毒の種類を判別した。
- 病気を判別する魔法
フェルンが熱を出した際に使って病気の種類を判別した。
余談
『frieren(フリーレン)』とは、ドイツ語で『凍っている』を意味する。ヒンメルと出会うまで凍っているようだった彼女のメンタルを表しているのだろうか?仲間が居る間だけ(心が)溶けているのであれば、タイトルの『葬送』も相まって少し不吉な印象も受けるが…。
なお、『フリー・レン』なら、『自由な(自立した)トナカイ』にもなる。
ちなみに彼女の師匠である「フランメ」の名は、ドイツ語で「炎」を意味する単語に由来しており弟子であるフリーレンと対となっている。
氷の様だったフリーレンの心を徐々に溶かしたのがフランメでありその象徴が氷を意味するその名前、そして後世の仲間たちとの旅を通じ徐々に花開く花の様にフリーレンが変わっていくことの象徴が、フランメの最も好きだった綺麗な花畑を出す魔法、と言えるのかもしれない。
関連人物
- ヒンメル:フリーレンの旅の目標そのもののような人物。
- ハイター:フェルンを引き取り育てていたが、フリーレンに託す。
- アイゼン:シュタルクの師匠。
- フェルン シュタルク:ともに旅をする仲間。
- フランメ:フリーレンの魔法の師匠。
- ゼーリエ:フランメの師匠。同じエルフ族。
関連イラスト
関連タグ
葬送のフリーレン エルフ エルフ娘 魔法使い 主人公 ロリババア ツインテール 麻呂眉 ミミックに食われかけフリーレン しょぼしょぼフリーレン ロリーレン 髪下ろしフリーレン 見た目は子供、頭脳は老婆
他作品
創作物におけるエルフ像のパイオニア的キャラクターで、とある人間に惹かれていく。
魔王を討伐した時空戦士パーティに所属していた魔法使いのハーフエルフ。エルフの血を引いている為寿命も長く、本編の後日談では一緒に魔王と戦った仲間達が寿命で先に亡くなっていくのを見届けている。