ミーア・キャンベル
みーあきゃんべる
人物像
第1次連合・プラント大戦の後、姿をくらましたラクス・クラインの替え玉として、ギルバート・デュランダル議長により用意されたラクスの影武者。
素顔は野暮ったく、そばかす顔で地味な印象を受ける(ミーア本人もあまり好んでいなかったらしい)。
首から上は整形手術によってラクスに似せているが、声やスタイルなどは、元々のミーア自身のもの。
本物に比べバストが大きく、コスチュームもきわどい。そのためか真相を知らない一部のラクスファンの間では「歌姫から安っぽいアイドルになった」ともいわれている。
ラクスとの分かりやすい違いがわかる点は、髪飾りの形と、髪色は若干濃いピンクでストレートヘア(本物のラクスは髪の毛先の部分に若干ウェーブがかっている。そもそも整形前のミーアは黒髪)。
また、彼女が連れているハロは赤色で、英語音声で話す。
アスラン・ザラには個人的に好意を抱き、婚約者として夜這いをしかけたりキスを迫るが、既にラクスとの婚約が破棄されていた事を知らなかった上に、彼個人としてもその気は無く、あしらわれていた。
後にザフトを脱出する際のアスランに手を差し伸べられたが、今の立場を手放したくない彼女はそれを拒否した。
アスランの脱走とオペレーション・フューリー後、テレビ放送されたカガリ・ユラ・アスハの演説をジャックし、オーブを批判する偏向演説を行うも本物のラクスによって電波をジャックし返され失敗。これによって偽物であることが露見してしまい、デュランダルから「所詮イミテーション」と見限られ、コペルニクスで軟禁生活を強いられる。
アスランの言葉で用済みの自分が殺されるかもしれないという恐怖とマネージャーのサラによってラクスの暗殺をそそのかされ、SOSのメッセージを持たせたハロをラクスたちのもとへと向かわせたが、目論見を看破していたラクスやアスラン、キラ・ヤマトと対面。一時は錯乱しラクスに銃を向けたアスランがその銃を撃つ。ラクスの説得によって自分の過ちを理解して改心、ラクスと和解を果たす。
しかしその直後にサラ率いる暗殺部隊の銃撃に会い、キラやアスランと暗殺部隊の銃撃戦後、瀕死のサラの銃撃からラクスを庇い致命傷を負う。
直後サラはアスランに止めを刺されたが、すでに瀕死の状態であり憧れていたラクスや思いを寄せていたアスランに謝罪しながら死亡。
死後、彼女の日記が発見され、そこに記されていた歌への思いやラクスへの憧れは本物だったことを知ったラクスは「自分がラクス・クラインとしての運命から逃げたためミーアを死に追いやった」と深く後悔すると同時に、彼女を利用するだけ利用しつくして切り捨てたデュランダルへの怒りを露わにした。
亡骸はアークエンジェルに運び込まれ、簡単な告別式が営まれた。
あたし…あたしの歌…命…どうか…忘れないで…。
小説版「SEED FREEDOM」ではラクスが今でもその事を後悔しており、同時に二度とミーアのような人間を生み出さない為にも世界平和監視機構コンパスの初代総裁を引き受けた事が地の文で綴られている。
また、映画では「ファウンデーション王国の街頭で流れているラクスの映像に交じって一瞬だけ彼女の映像が映っているのが確認できる。福田監督によると「ラクス用のニュース映像を作っていないとギリギリに制作から言われて、過去のラクスの音楽ビデオ風に映像編集。だが素材が足りなくて、ミーアの映像を混ぜろと指示。デスティニープランの国だから多分仕事に愛がない」との事。これはデスティニー・プランの負の側面を現しており、プランを進めるデュランダルに協力していたミーアにとっては皮肉な話である。だが彼女の活動が抹消されず映像が残っている事が判明したのは、せめてもの救いかもしれない。
また、彼女が所持していた赤いハロはキラとラクスが引き取った様であり、自宅に飾られていた。
終盤でラクスを救出する場面では、他のハロ達と共に催眠ガスをばら撒いて敵を錯乱しており、その際に「Here we go!!」と発言している。
ザクウォーリア(ライブ仕様)
ライブに使用されたザクウォーリア。ミーア(表向きはラクス)のイメージカラー通りのピンクに塗装されている。右肩にハートマーク、左肩にレッドハロ、胸元には「LOVE」とプリントされているなど、非常に派手で目立つ。シールドにはミーアの髪飾りと同じ星マークと「Lacus Clyne Alive!!」という文字が刻まれている。
作中ではパイロットが内部で操作しつつ、掌の上でミーアが歌って踊るという活躍(?)を見せた。
終盤ではメサイア攻防戦に主を失ったこの機体もブレイズウィザードを装備して出撃しているが、その後どうなったのかは不明(但しこれはTV版のみでHDリマスター版では通常カラーのブレイズザクウォーリアになっている)。
一部ゲームなどでは本当にミーアを載せて戦わせることも可能。
派生作品
本編の劇中では悲運の死を遂げるが、他のメディアミックス作品(スーパーロボット大戦など)では生還し、『スーパーロボット大戦L』など作品によっては『ミーア・キャンベル』としてデビューを果たすこともある。
『スーパーロボット大戦K』においては正体露見イベント自体がカットされたため、メサイア崩壊に伴いキラとミストさんにより救出され、ラクス公認の影武者として活動を行うなど、本編以上の活躍を見せている(同作におけるカガリ、ユウナと並んでスパロボ補正が働いているという意見も)。
余談
名前の由来は超電磁ロボコン・バトラーVに登場するキャンベル星人が作ったロボットのミーア。
田中理恵本人曰く、「自分の存在意義に怯える弱さ」がかえって人間臭くなったキャラだ、と述べている。
また続編でラクスの正体が明かされてからは、彼女もデュランダルによって(声が似ているという以外の)何らかの遺伝子的な素養を見出されて選ばれた可能性が考察されている。
また、在野の一般コーディネイターでありながら「ラクスの影武者」をやり遂げる事のハードルが凄まじく高いものだった事がわかり、元々のラクスのネームバリューとデュランダルのバックアップがあり、活動期間は短かったとはいえ、アイドル路線に限って言えばラクスに匹敵するカリスマを発揮できたのは紛れもなくミーアの実力と努力の賜物である。
また、脚本家はギルバート・デュランダルを初期のアドルフ・ヒトラーをモデルとしたと語っており、もしキラ・ヤマトやラクス・クラインが「ヒトラーが憎んでいた天才芸術家パブロ・ピカソやフェルメール」的立ち位置だとすれば、さしずめミーア・キャンベルは「ナチスを騙した贋作画家ハン・ファン・メーヘレン」であり、ミーアがラクス・クラインの偽者だと知られても民衆は「ミーア・キャンベル」の歌は認めたことは「運命の必然」だったのかも知れない。
ただ、シン・アスカは彼女が「ラクス・クライン」として開いた慰問コンサートに同僚達が熱狂する中、一人無関心な態度を取っている。
『スーパーロボット大戦L』でのシンはオーブ時代にラクスの歌をよく聞いていたという設定だが、「最近はイマイチ」と述べている。
彼にはミーアの音楽性は合わなかったのだろうか。
関連項目
カーボンヒューマン:外伝作品に登場した人種。直接の関わりこそ無いものの、遺伝子技術で外見だけでなく記憶も特定の人間そっくりに作り替えた他人である等、ある意味ミーアの上位互換とも呼べる。