※血です。
概要
刑事ドラマ『太陽にほえろ!』における台詞の一つで、より正確には「なんじゃあこりゃああ!」。表記揺れが多いタグの一つでもある。
この台詞が登場したのは、番組2年目の締めくくりとなる第111話「ジーパン・シンコ その愛と死」(1974年8月30日放送)での事となる。同話数のクライマックスにて、激しい銃撃戦を制したジーパン刑事(柴田純)であったが、一件落着かと思われたその直後、彼が守ろうとした男が血まみれのジーパン刑事の姿に錯乱し発砲に及んでしまう。ジーパン刑事は倒れるも、すぐさま立ち上がりまるで痛みを感じてないかのように振舞ったため、その様に男は逃げ出す。不審に思ったジーパン刑事が、撃たれたという事実すら半ば飲み込めないまま、被弾した腹を押さえていた手に付いた血を目の当たりにして、驚愕とともに発したのがこの台詞である。
このインパクトが強すぎるためか、叫びそのものが断末魔であり、叫んだ直後にブツッと事切れたと勘違いする者が後を絶たないが、実際のところジーパン刑事は叫んだ後に仰向けに倒れ「死にたくないよ…待ってくれよ。俺はまだ死にたくないよ……なんで死ぬんだよ、おれ……」と運命に抗いながら死に向かい、結局力尽きていくのだった。
このシーンは全てジーパン刑事役の松田優作のアドリブによるものであり、松田による熱演ぶりや、ジーパン刑事が結婚を控えていた中での殉職という、人生の絶頂からの急転落も同然な展開も含め、現在でも同作における語り草の一つとなっている。『太陽にほえろ!』という作品に詳しくなくとも、この台詞だけは知っているという向きも相当数いる事だろう。
誕生秘話
前述のとおり「なんじゃこりゃあ!」に始まる一連の台詞は全て松田のアドリブであるが、この台詞の誕生には長さん(野崎太郎)役の下川辰平が関わっているという。松田が下川から「意味不明な絶叫を残して亡くなった入院患者」の話を聞いたことからこの台詞が生まれたといわれている。なお下川は松田の前任者の萩原健一の殉職シーンの時にも特攻隊員が母親を想って亡くなったという話を萩原にしており「母ちゃん…あっついなぁ…」と死んでいくという名場面の成立に一役買っていた。
パロディ
刑事ドラマをパロディしたコントなどで刑事が犯人に撃たれた際に「なんじゃこりゃぁ!」などの叫びをあげるのはもはやお約束となっている。コントの内容次第では同僚に誤射される場合もある。
コメディアン時代の竹中直人はこのネタを持ち芸にしていた。
近年のバラエティ番組でも『チコちゃんに叱られる!』の2019年2月22日放送回でキョエちゃんが叫んだ場面がある。
ドラマケイゾクでも中谷美紀演じる柴田純(ジーパン刑事の本名と同名)が刺された際に「なんじゃこりゃ」と発している。(こちらの柴田は生存)
竹中直人特撮におけるパロディ・オマージュ
晩年の松田が東映系のセントラル・アーツに所属していたためか東映の特撮ヒーロー番組では頻繁にパロディあるいはオマージュのような場面が見られる。
敵幹部のザイドス少佐が死に際に「なんじゃこりゃぁ!俺の顔ぉ!俺の体ぁ!」と叫びながら泥人形と化していく。
敵幹部の黒岩省吾/暗黒騎士ガウザーが銃撃戦の果てにジーパン刑事を彷彿とさせる動きを見せる。
- 『仮面ライダーW』
DVD第5巻収録のショートドラマ「左翔太郎ハードボイルド妄想日記 もしも竜が探偵だったら」で情報屋の翔太郎に誤射されたドーパント(怪人)刑事が字幕で「なんじゃこりゃぁ~!」の叫びを残して倒れているほか、Vシネマ「仮面ライダーアクセル」では刃野幹夫がドーパントとの戦闘時に腹部を銃撃され「なんじゃこりゃぁ!」と叫んでいる。
警察戦隊パトレンジャーがパトレンU号に初合体した場面、敵の能力によってパトレン1号が性転換させられた際に「なんじゃこりゃぁ!」とリアクションしている。
ドンオニタイジンに初めて合体した際にサル、オニ、イヌ、キジの4人が「「「「なんじゃこりゃー!!!!」」」」と反応する。
漫画・アニメにおけるパロディ・オマージュ
2nd Seasonで敵の襲撃により大破されたプトレマイオス2が地球に突入し逃げ込んだ。
その後、治療室に眠っていたイアン・ヴァスティが目を覚ますと船体の破損個所から見える景色に驚くあまりに「なんじゃこりゃぁ!」と叫んでいる。
ロザリーがパロディ的に「なんじゃこりゃぁ!」と叫ぶ場面がある。
当然ながら演者が生まれるよりも前のネタなので元ネタを知らず、ヒルダ役の田村ゆかりが元ネタを教えたという。
「死んだ私は太陽にほえる」というエピソードで主人公のさゆりが猫を助けて死んだ際に「なんじゃこりゃぁと叫んで死にたい」と死神に無茶ぶりして何度も生き返らせてもらうが…
藍羽浅葱が「錬金術師の帰還編」で同様の叫びを残すが後に生還したことが発覚する。