好本静
よしもとしずか
「我はこの地を管理する者なり」
プロフィール
※ 133話にて判明。由来は『本の日』(もしくは『古典の日』)からだと思われる。
容姿
癖っ毛のある藍色の長髪と青い瞳が特徴。この癖っ毛は彼女の感情に合わせて動く。また、まっすぐにしようと梳かしてもすぐにぴょこぴょこ跳ねてしまう。お団子にするなどしてまとめることはできる様子。
身長は薬膳楠莉(通常時)や伊院知与とほぼ同じで、この3人は恋太郎ファミリーの中で最も背が低いトリオ。ロリ体形。
制服を正しく着用しており、スカート丈も長い。左二の腕に図書委員の腕章を着けている。私服も露出は少なめで、プール回ではスクール水着を着ていた。
恋太郎に出会って以降はほぼ常にスマホを持っている(こちらも詳細は後述)。プール回では防水ポーチに入れて持ち歩いていた。
好本静の「話し方」
好本静は自分の声で話すことを大の苦手としているため、愛読書の『王冠恋物語』(サークレットラブストーリー)の中の文を指差して相手に読んでもらうことで会話を成立させていた。
『王冠恋物語』は静が幼少の頃から何度も読み返し、内容を覚えているため、目的の台詞や文章を瞬時に見つけ出すことができ、このような会話方法が可能となっている。
(静自身はこれを『ただただ ごく自然に身についた技能』としている)
過去の回想では、この話し方をクラスメイトに「気持ち悪い」と言われており、親からも平手打ちをされながら「どうしてあなたはそんなに変な子なのッッ!」と責められていたことが語られる。そのため自らを「変な子」と卑下し、すっかり自分に自信を持てなくなってしまっていた。また、回想の前にある恋太郎との会話では、『本当にありがとうございます』『こんな私のことを忌み嫌わずにいてくださって』とも話している。
しかし、第3話で恋太郎は、「…もちろん口で喋れるようになるのが一番なんだろうけどさ、好本さんにとってそれがどれほど困難なことなのかなんて、俺には分かるはずもないし」「頑張って喋れるようになろう! なんて言えないから」と彼女に寄り添い、「こんな風にほんのちょっとだけでも、君が人とのコミュニケーションを取りやすくなる手助けができたらなって」と、『王冠恋物語』1巻分の文章を一晩で全て打ち込み、テキスト読み上げアプリを使うことで、本を使った会話ではできなかった、互いの目を見ての会話ができるようにした。
以降彼女はこのテキスト読み上げアプリを使って会話するようになり、恋太郎ファミリーという大切な友達も作ることができた。
口に出して話すこともあるが、非常に稀。流れるプールで遭難して(何を言っているか分からない人は本編を読もう)恋太郎に助けを求めたときや、恋太郎と羽香里にピンチが訪れたとき、スポーツ等の体を動かす状況でスマホが持てないとき、自身が精神的に追い詰められた時などに発話する姿が見られている。
ただし話が進むにつれ、発話できる量や頻度は徐々にではあるが増えている。恋太郎ファミリーとの交流がプラスになっているのだろう。
カラオケ回では、事前にカラオケが平気かどうか聞いた恋太郎に対して「『心配ご無用』"歌唱"『機能搭載仕様』"であった"」と返しているため、歌うこと自体はできるらしい。
人前で歌った経験がないため、ちゃんと歌えずに雰囲気を悪くしてしまうのが怖くカラオケでは歌っていなかったが、恋太郎との会話を経て、"誰か"の前じゃなくて"恋太郎ファミリー"の前でなら、と皆の前で歌うことができた。その後アイドルになったときもステージ上でも歌って踊っている。
ところでテキスト読み上げアプリの語彙は非常に豊富だが、本の一節を使うため、だである調とですます調が混在した不思議な喋り方になる。恋太郎ファミリーの名前は全員登録しており、文章の間に挟んで使う。
笑う際は基本的に自分の声でくすくす笑うが、恋太郎にくすぐられるなどした場合は読み上げアプリで「高らかに笑った」と笑う(?)。
登録されている『王冠恋物語』はイオ姫と騎士カマクルの冒険活劇かつ恋愛小説らしいのだが、それにしては腑に落ちない台詞が幾つかある。
- 『我自身追加戦士の身故異論などない』
- 『あ…アニキィ~!こいつが夢にまで見た―――』『桃源郷(シャングリラ)でやんすかぁ~~~!?』
- 『俺の屍を超えて行け』
- 『生きにゃあならん』『生きにゃあ』
- 『やめたまえ!!』『てめぇらの主様(あるじさま)を失望させる事になっても構わねぇんだな?あぁ~ん?』
……逆に本の内容が気になる。
結果かなり語彙がカオスなことになっており、ファミリーもそういう意味に取れかねない。一応、他の本の文章を恋太郎あるいは本人が追加している可能性もあるが、いずれにせよこういう内容の本を読んでいることには変わりがない。
ちなみにそれぞれの台詞がどのようなシーンでの台詞なのかは公式ノベライズに収録された話にて判明している。
3話以降の活躍
ファミリー加入当初は羽香里や唐音と比べられるのが怖く遠慮がちになっていたが、2人からもっと遠慮しなくていいと励まされて以降はかなり打ち解けた。
アグレッシブなメンバーが多いファミリー内ではかなりの良識派。しかし話が進みファミリーのメンバーが増えるにつれ「家(ウチ)のお嬢様どもは」など毒のあるツッコミを入れるようにもなってきた。
性的なことに関してはウブで、恋太郎の入浴を覗こうとした他の彼女たちを見て顔を真っ赤にして止めたりしている(にもかかわらず、偶然が重なったことで、ファミリー内で唯一恋太郎の恋太郎を見てしまった)。その他、色々危ない場面では他の人に目を押さえられたり、胡桃が「(特に静にとって)教育上よくない」という理由で恋太郎とのディープキスを遠慮するにまで至っている。
ただし周囲からの印象に反して「恋人といちゃつきたい」という欲求・興味は年相応にあり、読書家なだけあって無知ではない。恋太郎に突然キスするなどの大胆な行動もとる。
夢の中の描写を見るに、少なくとも恋人とベッドに入るところまで知っているのは確定済み。女性の上司と部下の「大人なシーン」が含まれている小説を読んだ際は、感想を誰に共有すべきか迷ってしまったこともある(妹が同じ本を読んでいたことがわかって意気投合した)。
また、羽香里と百八が交わしていた官能交換日記の内容を偶然見てしまった時には体ごと赤面してしまった。
羽々里の髪の毛が暴走した(何を言っているか分からない人は本編を読もう)とき、楠莉開発の「耳がうさぎになる薬」を活用して逃げ切り、ファミリー内で静及び一緒に行動していた芽衣だけが触手プレイを免れた。これも教育上の理由か。
恋太郎ファミリー内では、楠莉や知与とロリトリオでいることが多く、その様子は非常に平和なものになる。また、同じく物静かな愛々との絡みも多い。
中でも凪乃との絡みが非常に多く、一緒にいる率もかなり高い。凪乃が王子様風の男装をした際には『我が騎士…!』と呟きながら写真に収めていた他、プライベートでは2人で買い物に出かける場面も見られる。
上記の通り本を読む事は好きだが、書く事については長らく考えた事がなかった。
その本への熱意から、絵本作家である夢留には創作を勧められ、静も最初は消極的だったが思い立って創作に着手。
一度は大きく行き詰まってしまい心が折れかけるも、夢留から貰った激励を目にしたことで涙ながらに文章を書きあげるに至る。
文章自体は拙かったが「誰もがその人にしか生み出せない物語を持っており、それは比べられるものではない」と夢留に告げられ、また同じく創作に行き詰まっていた彼女の心を救うことになった。その後も創作は続けており、普段からいる図書室では夢留と一緒に作業をするようにもなっている。
作中で最も愛される小動物
テキスト読み上げアプリを使った無口(でありながらよく話す)キャラと言うのもそうだが、静の最大の特徴はその愛くるしさ。彼女自身はボケキャラではないものの、可愛さのあまり結果的にギャグシーンのトリガーとなる機会も非常に多い。
その愛くるしさは異性だけでなく同性でさえも魅了し、金持ちの家のペットの犬が庇護対象と認めてしまうほど。凪乃が美々美と恋太郎ファミリーの美しいところを指摘する対決をしたとき、AI少女と形容されるほど正確無比に行動する彼女ですら静の「美しさ」を言わなければならない場面で「可愛さ」を言ってしまった。
小動物的な雰囲気からファミリー内ではマスコットポジションであり、楠莉の薬でウサ耳を生やしたり、羽々里から着ぐるみパジャマを着させられたりなどしている。
カラオケで歌った際にはその余りの可愛さから精神世界を生み出し、恋太郎とのデュエットで他の全ての彼女たちをカラオケルームから吹っ飛ばした(そして全員恋太郎がキャッチした)。
自他共にその身体能力の弱さは自覚しており、運動は全般的に苦手。カナヅチだったり野球でバットを振ろうとして逆に振られたり(?)した。
前述のペットとの絡みではファミリーにも
凪乃「類いまれなるあまりの弱さ」
恋太郎「自然の摂理すらも覆す究極のか弱さ」
唐音「これが被食者の戦い方」
楠莉「自然界最弱のミジンコウサギ」
などと言われている(全員誉めてます)。178話では地の文(ナレーション)にすら「ミジンコウサギ」と称されていた。
口が小さいため他の人より噛む回数を多く必要とし、結果的に顎の力が強い。フードファイトフェスティバルではこれによりタピオカを制したが、絵面は完全にリスだった。
年齢の割に精神的にやや幼く、楠莉と一緒に本気でお人形ごっこをしたりする。楠莉が年齢退行しているため、ロリトリオの中では実質的な年齢は最も高いはずだが、中学生の原賀胡桃と比べても胡桃の方が上に見えたりする(胡桃が強い性格なのも一因だが)。
一方、困っている仲間に対してすぐに気を遣う優しさや、ピンチの仲間を助けようと果敢に飛び込む強さももっている(もっとも上述のか弱さのため、状況が好転することは稀であり、かえって事態を悪化させたり「二次遭難」の末ほかのファミリーメンバーに救出されることが大半である)。野球回で敵に利用され、完全に打ちのめされた彼女を見た恋太郎ファミリーは穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた愛の戦士「超アイヤ人」として覚醒した。このように、彼女を泣かせる者や彼女に害をなす者は恋太郎ファミリーの総員を憤怒と共に敵に回す事になるため、ある意味一番のアンタッチャブルだったりする。
なお上記の「弱さ」は綿毛のように軽い体とも描写されており、14話ではタオルをパラグライダーとして呉莉羅連合が起こした強風で空を飛んでいたが、話が進むにつれ突風だけで簡単に空に舞い上がりかけるようになった。
また、炭酸飲料が苦手。カラオケ回ではオレンジジュース・焼肉回ではりんごジュース等、炭酸の入っていない飲料を好んで飲んでいる様子が見られる。
ただし、夢留の勧めが元で物語を自作した際には、上記の通り彼女に渡されたMONSTERを飲んでいる。これは夢留が静が炭酸が苦手と知らなかった事によるものだが、静も創作の戦友としてとても気に入り、例外的に「自ら飲む炭酸飲料」になった模様。
彼女の家族
静の父:未登場だが、135話にて仕事でほぼ海外にいるため滅多に家に帰って来られないことが判明する。
静の母:初登場は3話の静の回想。134話で再登場(回想を除いた場合は初登場)する。アニメの声優は米澤円。
以下、134話と135話のネタバレが含まれますのでアニメ勢の方は閲覧注意。
ある日、静の母は娘の静が自分に秘密でアプリを使って会話をしていたことを知り、娘のスマホを取り上げる。
このことを言い出せなかった静は、スマホが無い理由を故障だと恋太郎ファミリーに誤魔化していたが、凪乃が自宅に誘い話を聞き出し、恋太郎へと連絡。
恋太郎は好本家を訪ね、静の母と対面する(凪乃は自分がいるとかえって邪魔になると考え、同伴を辞退)。一応付記しておくがこの時、誰かの母とは違いビビーンとはならなかった(むしろあちらのほうがレアケースなのだ)。
静の母は、恋太郎のテキスト読み上げアプリを「偽善」「自己満足」とし、静に2度と関わらないように要求、いつまでもそのままでは静が苦しまずに生きられないとし、恋太郎の行為を非難する。
恋太郎は静が“今”苦しんでいること、“一生苦しまずに”生きられる毎日を目指している意思を伝えるが、静の母は「一生」なんて世の中を大して知らないから言える思慮の浅い言葉、これから世の中を知ればたくさんの素敵な異性がいて、"わざわざ"静でなければならない理由なんてない、と話す。
しかし恋太郎は、静を一生愛すると切り返し、「確かに俺は世の中の事をまだ全然知らないのかもしれません…ッ」「でも静ちゃんのことならたくさん知ってます!!!」と、彼は自分が知る静がどんな子かを次々と話す。
他の人と同じでなければならないという価値観のもとに静を否定し、恋太郎はいつか静を捨てると考える静の母に対し、彼は、「ただ喋ることが苦手だからってそれが何だって言うんですか!!」 「俺が静ちゃんを好きなのは"静ちゃんだから"です!!」 「他の人と同じである必要なんかない!!」と伝えた。「それはあなたが浸りたいだけの勝手な価値観」との反論にも、恋太郎は訴える。
「“他の人と同じじゃなきゃいけない”のもあなたの価値観で 静ちゃんの価値観じゃない!!」
「他の人と同じようにさせてくれって そうさせてほしかったって 静ちゃんがそう一度でも言ったんですか…!? あなたに!!!」
それを聞いた静の母は、今までの静との思い出を思い起こす。
そして、静は泣きながら自らの口で母に言葉を紡ぐ。
「お おお おか お母…さん…っ
あ あのね…っ
だ だだ だだ 大好きな…ほ…本を読めて…っ
な なか 仲良く してくれる…だ だ 大好きな と 友達も…
た た たくさんいて…っ
こ こ ここ こんなにも…っ あ 愛してくれる
だだ だ 大好きな恋太郎君と…で 出会えて…っ
わ わた わた 私は…っ
わ 私は私に生まれられて―
し 幸せだよ…っ
あ あ あ ありがとう…っ」
第3話では自分を「変な子」と思っていた静が、自分を肯定できるようになった。
静の母は、静の将来への思いが先行して、まず1番重要な静自身を見れていなかったことに気づき、恋太郎に帰るよう促した。
伝えたいことを伝え、彼女の心情やこれまでの苦悩を察した恋太郎は帰宅する。
(静の台詞冒頭にある『お母さん、あのね』という言葉は原作第135話のサブタイトルにもなっている)
翌朝、静の机にはスマホが置いてあった。
静は、今まで自分を守る事に必死で、自分の話し方や思いを隠し、伝えようとせずに逃げる事しかできなかったことから、お母さんは私が恨んでいると思っていたのかもしれないとの考えに至る。
そして、母とちゃんと向き合い、伝えようと決意し、朝食の際にテキスト読み上げアプリを使って母へ話しかける。
134話では無言だった朝食が、135話ではお互いに会話しながらの朝食になった。
朝食の席で静の母は、「…静、あなた…」「___そんな風に喋るのね」と涙を流すのであった。
135話の静の母の回想では、静の父は仕事で日本にほとんどいない上、静がこのまま大人になれば、自分に何かあった時や将来自分が死んだ時、静がどう生きればいいのか、と思い悩み、「静の喋り方が直らないのは私の厳しさが足りないせい」「静がこうなのは母親である自分のせい」と考えていたことが描かれている。
(回想で見える家の本棚には「子どもの未来」「○○もが幸せに」(○○の部分は写っていないためこの表記にしたが、おそらく「子ど」か「こど」などの文字が入っているのではないかと考えられる)などのタイトルの他、教育本と思われる本がいくつか見られ、135話最後の親子の会話では、娘の好みの味つけも理解していることが分かる)
この話を組み込んでのものなのか、アニメ3話の回想は母の台詞が余裕のない涙声になっており、文字だけの原作では伝わらなかった彼女の辛い心情が読み取れる形になっている。
単行本16巻では、この話の後日談として、卵焼きの作り方を母に教わる静の姿が描かれた。
また180話では恋太郎が好本家を訪ねており、静が恋太郎を家に招くことに特に反対しない他、娘とその彼氏が何度も長時間キスをする様に扉越しに顔を赤らめる母の姿が描かれており、親子関係・家庭環境が改善に向かいつつあることが話の端々でうかがえる。
余談
初登場は第3話…と思いきや、第1話に栄逢凪乃ともどもモブとして写り込んでおり、花園羽香里や院田唐音よりも1コマ早く登場している。
名前の由来は「本が好き」で、愛読書を使って「静かに」話すことからだろうか。
もしくは、物静かな本人の性格及び「図書室では静かに」というルールから「静」なのかもしれない。
彼女が自分の口で話すときに滑らかに喋ることができないことから、読者からは「吃音(きつおん)」という意見が多数あがっている。
なお、静の初のメイン回となるアニメ第3話が放送されたのは、10月22日、国際吃音啓発の日である。
ちなみに、23話にて「新しい自分に生まれ変わる薬」の作用で中身に凪乃が入り込んだ際には非常に流暢に話しており、対して静が入り込んだ唐音は話せなくなっていたことから、彼女自身の身体に何か問題があるわけではなく、あくまで精神面の問題が大きいのだと思われる。
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