概要
・スコップを持った木津千里
長い柄の両端に持ち手と幅広の刃をつけただけの簡単な構造。
現在のような、土砂をすくう部分が金属でできているものは、7世紀に中東でムハンマドが追撃してきた敵対する国家の騎兵を足止めする塹壕を掘るために発明されたものであり、この時に掘った塹壕がムハンマドの窮地を救ったため、塹壕掘りを指揮した人物の墓のあるモスクに、この時に使った現物が聖遺物として安置されている。
武器として
また、扱いやすい武器でもあり、銃器に頼れず刀剣類もない状況下では「斬る・突く・回転斬り・刺す・叩く・薙ぎ払う・投げる・解体する・埋める・銃座にする・防御・塹壕を掘る・目玉焼きや肉を焼く」と実に汎用性の高い武器である。
実際、塹壕戦がメインとなった第一次世界大戦時は円匙が最も兵士に信頼されており※、第二次世界大戦でもそれなり以上に活躍した。
閉所用機関銃であるトレンチガン(サブマシンガン)等の登場で武器として陳腐化した現代でも塹壕を掘ったり、立ち往生した車両を救出するのには必須なため、こいつを装備していない陸軍はない。
陸上自衛隊では「エンピ」と呼ばれ、車両等にツルハシと共に標準的に積載されるほか、刃面の大きい個人用の折り畳みスコップを携行する。
※:第一次世界大戦のドイツ帰還兵が書いた半自伝小説『西部戦線異状なし』内に実際「塹壕内の格闘戦にスコップの使い勝手は最もいい」(意訳)と書いており、それを映像化した1930年映画版にも原作を再現する兵士達がスコップで殺し合いのシーンがある。原作、映画共に第一次世界大戦の悲惨さを伝える不朽の名作であり、興味があるなら見よう。
最近では中国軍発祥の「多機能スコップ」なんてのもホームセンターで売られるようになっている。
(刃の角度を変えて鍬に変形出来たり、つるはしに変形出来たり、パイプ状の柄の中に懐中電灯や火打石等を内蔵していたりする。なお単に分解可能なだけの携帯型スコップなら昔から存在しており旧日本軍でも採用されていた)
実は共産圏では自衛隊の銃剣道並みにスコップ戦闘術に熱心なのだとか。
「穴掘って埋めますぅ~!!」
呼称
ちなみに日本の東西(もしく各地方)によって、小さい方がスコップ・大きい方がシャベル、または大きい方がスコップ・小さい方がシャベルと、まったく呼び方が逆になり、その原因も定かではない。
JIS規格では足をかける部分があるものをショベル、無い物をスコップと記されている。
ややこしいと感じたら商品名の剣先スコップを覚えておくと捗る。
近年になってコレをメインウェポンとする騎士もいたり。
なお、園芸用の小型のものは商標登録上、園芸用移植ごてが正式名称で、スコップでもシャベルでもないらしい…。
また先端が尖っておらず刃の部分が正方形に近い方形状になった除雪用スコップも存在しており、関東平野以西の太平洋・瀬戸内海の沿岸部、南九州と沖縄以外では必需品である(福岡・佐賀・長崎の北九州は関東南部よりも降雪量は多い)。特に豪雪地帯ではスノーダンプと呼ばれるスコップとソリの中間のような道具が愛用される。
寒冷地では積雪が硬くならない・重くならない為なのか、木製や樹脂製の柄と樹脂製の刃(しかも多くの孔が空いている)で出来た除雪専用シャベル、通称雪かきが普及している。長所は軽さで長時間の除雪作業でも比較的疲れない。
土掘りの省力化(地面がとても硬い場合)のためにエアーハンマーや電動ハンマーの先端工具としても専用消耗品のスコップが販売されている。(これについては当然の事ながら動力工具の本体が必要)
平成末期より大規模災害が頻発するようになり、降雪地域でなくとも常備する価値が出てきた(土嚢作成、土砂・瓦礫・鋭利な破片の除去、刃先を喰い込ませてのこじ開け等)。
園芸用ではなく、歩兵携帯用と同じく折り畳むとコンパクトになるタイプもある。
なにはともあれ、ご家庭にも是非一本ご用意してください。
関連キャラクター
※作中では専ら「シャベル」と呼称している作品もある。