概要
『ドラえもん』てんとう虫コミックス第3巻収録の「あやうし!ライオン仮面」内において作中作として『少年ザンネン』に掲載されていたバトル漫画。
ヒーローのライオン仮面が「くらやみ団」という悪の組織と闘う物語である。
作者はフニャコフニャ夫。
作中冒頭では少年ザンネン6月号に掲載されたもののうち最終ページが描かれており、そこでは主人公・ライオン仮面がヒロインらしき女性とともにくらやみ団基地の中で追い詰められ、四方八方から光線銃を浴びせられ、迫真の表情で「ワーッ」と絶叫するコマで終わっていた。そして「7月号へ続く」。
読み終わったのび太は一言。「いいところで切れちゃうんだいつも。」
ここまではいい。
だが、原作者である当のフニャコフニャ夫はこの先の展開を全く考えておらず、完全に行き詰まってしまった。
いわゆる瞬瞬必生の負の面が炸裂してしまったのである。
当時、この作品と同時並行で5つの雑誌に連載を持ち、さらに階段を埋め尽くすほどの編集者を待たせていたフニャコは次の展開に困り果ててしまっていた。
そこで、細かい過程は省略するが、タイムマシンで見てきたため次回の展開を知っていたドラえもんに「次の展開がどうしても考え付かないから来月に行って次号のザンネンを買ってきて」と懇願する。
ドラえもんは言われたとおりに一ヶ月後に行ってザンネン7月号を購入するが、そこで描かれていたのは兄・ライオン仮面を救うため単身くらやみ団基地に乗り込むオシシ仮面の姿だった。
「死んだはずのライオン仮面をどうやって助ける?」
フニャコは未来の自分がどんなアイデアを出したのかに固唾を呑みながらページをめくるが…
なんとオシシ仮面も敵に捕まってしまい、最終ページでは火あぶりの刑に処されて「グエーッ」と絶叫する衝撃的なコマで終わっていた。そして「8月号へ続く」。
こうなると8月号を確認しないとオチが読めない。ドラえもんは今度は二ヶ月後にいき8月号を購入。そこではいとこのオカメ仮面が登場して、これまたくらやみ団に捕らえられて次号へ続くという展開が…
フニャコ「何という無責任なワシだ!」
ドラえもん「あんたが描いた漫画でしょ」
そこに迫るは編集者軍団、パニックになってしまったフニャコは「次に出るワシの漫画が掲載されてる雑誌全部買ってきてくれ!」とドラえもんに泣きつく。
引き受けたドラえもんはその通りに次の回が掲載された雑誌を買い集めて持ってくるが、肝心のフニャコが体力の限界でダウン。
代筆を引き受けるハメになったドラえもんは、「ぼくが写した漫画が載って、この雑誌が出るとすると……この漫画の本当の作者は誰だろう」とボヤくのであった。
10秒でわかるライオン仮面のあらすじ
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余談
『ドラベース』ではかぶと虫杯にて綾宇市ライオンズという草野球チームが登場した。江戸川ドラーズとは2回戦で戦うも大幅に水をあけられたうえ「こんだけ点差がつけばいいだろう」と最後は新メンバー・ミケえもんの噛ませ犬にされてしまった。
なおメンバーは全員『ライオン仮面』のキャラ及び作者と編集がモデル。
また、草野球日本縦断トーナメントでの江戸川ドラーズVS山寺ベアーズ戦にてクロえもんの打球がポンえもんの横を掠めた際、ポンえもんがオシシ仮面の断末魔(「グエーッ」)を上げている。
大山版及び水田版では2度映像化された話だが、前者だと2度目では何故か漫画の名称が「タイガー仮面」に変更されており、それに伴いサブタイトルも「あやうし!タイガー仮面」に改題されている(尤もこれに限らず、大山版は同じエピソードが2度目の映像化をされる場合サブタイトルが変更されるのが決まりだったのだが)。
2020年放送のアニメではオカメ仮面はおかめの仮面をつけた女性になっている。
また、原稿を取りに待機している編集者達の中にジャイアンそっくりの人が混じっている。
『ドラえもんのび太の新魔界大冒険DS』ではモンスターカードとして登場。攻撃力は低いが、ハヤテという召喚酔いしないスキルを持つ。
因みに『ドラえもんの』作者である藤子・F・不二雄もドラえもんの誕生前(前作『ウメ星デンカ』が打ち切られたため)にキャラクターが決まってない状態で、後先考えずに予告のページで「机から飛び出しできたのは何なのか?」などと書いて先延ばしにしていたりする。
関連項目
タイムパラドックス:この現象の説明の例として本作が引き合いに出される事が多い。