概要
スタジオジブリ作品として制作された初の作品で、当時隆盛を極めていたロボット・SFアニメに対するアンチテーゼとして「子供向けのマンガ映画の復活」を掲げて企画された。宮崎らしい爽快な空中描写やスチームパンク的な世界観が高い評価を誇り、前期宮崎駿の集大成的作品となっている。
しかしアニメブーム全盛の1980年代中期においては、単なる「古臭いアニメ」と思われ、興行時はあまり良い成績ではなかったらしい。宮崎が国民的映像作家の地位を固め、レトロフューチャーの世界観がブームになるのは1980年代末のことであり、本作が大衆に受け止められるのは公開後約3年を要した。
プロデューサーは高畑勲、音楽は久石譲。金田伊功・近藤勝也・名倉靖博らが原画として参加している。
内容
炭坑で働く少年パズーが、空から落ちてくるヒロイン・シータに出会うところから物語は始まる。
ポムじいさん、モウロ将軍、ドーラを首領とする空中海賊といった個性的な面々が多く登場するが、pixivにおいては本作の悪役ムスカ大佐への歪んだ一途な愛情を垣間見ることができる。
主人公であるパズーやシータの活躍以上に脇役たちの印象が強く残る作品であり、
「親方ッ!空から女の子が!」(パズー)
「40秒で支度しな!」「竜の巣だぁ」(ドーラ)
などの台詞はpixivでも様々なネタに活用されている。
人気
ムスカを筆頭に個性的なキャラクターや特徴的な台詞が多く、ネット上を中心にカルト的な人気を誇っている。「好きなジブリ作品は?」というアンケートでも上位に食い込むことが多く、テレビ放送時の視聴率も高い。
しかし、公開された当時の興行成績は観客動員数77万人、配給収入5.8億円と、ジブリ作品の中ではワースト記録である。
また、1988年4月2日に金曜ロードショーにて初の地上波放送された際の視聴率も12.2%と、当時の人気アニメが当たり前のように視聴率20%以上を記録していたことを考慮すれば、これもあまりいい記録とはいえなかった。
もっとも、配給した東映による観客満足度調査は97.7%と非常に高く、少年少女から高齢層にまで支持を受けていた点は、当時のアニメとしては他に例をみないものだった。ジブリの「万人向け」路線はこの『ラピュタ』で既に定まっていたと言えよう(宮崎の全作品『風の谷のナウシカ』の支持者は青年層が中心だった)。
ちなみに…
ラピュタのエンディング映像には続きがあるという噂があり、シータの故郷(ゴンドア)に降り立った二人が握手をして別れるという内容というもの。
ビデオ・DVDには一切収録されておらず、TVの初回放送と劇場版・LDのみの映像とも言われているが、後にジブリの関係者から正式に否定されている。しかし、実際に見たという人もあり、アニメの都市伝説と化している。
ちなみに、設定資料集には上記の噂の内容に類似したイラスト(本編未使用)が掲載されており、恐らくはこの絵を見た人が本編の絵と勘違いしたからではないかと言われている。
徳間書店から出た小説版では、映画で描かれなかった部分が書かれている。飛行船襲撃前の、シータがムスカ達に連れ去られる場面と、シータとパズーが各々の故郷に戻ったエピローグ部分である。そのエピローグでシータがパズーからの手紙を読むシーンがあり、ゴリアテは事故で大破して修復中とし、ラピュタについては全く触れられずに軍から公式発表されている。
なお日本テレビの「金曜ロードショー」では「ノーカット」を謳いながら時間の関係で一部シーンがカットされている。