90年代
きゅうじゅうねんだい
世相
日本の90年代は、経済的にはバブル崩壊とその後の「失われた10年」としてまとめられることが多い。1990年代中頃には企業の急激な採用抑制で「就職氷河期」が問題になった。日本の企業は新卒採用に偏っていたので、ただでさえ人口の多い団塊ジュニア世代(1970年代生まれ)が恵まれた職になかなかつけずに「失われた世代」になってしまう。
日本がバブルのもたらした爪痕の後始末に失敗し、そればかりか世の中にアメリカ流の格差社会とグローバル資本主義を肯定する新自由主義思想が広まっていったことが、2000年代以降、社会の貧困化と失業問題が再び深刻化する伏線となる。
それでも、1997年の消費税増税でデフレが始まるまでは社会にも余裕があり、全国各地で若者文化が隆盛を極めた。2000年の大店法(大規模小売店舗立地法)の規制緩和前で、地方の商店街もまだ活気があり、シャッター通り化はしていなかった。
時代像
1990年〜1993年ごろバブル景気は終焉を迎えるが、この頃は社会にバブル期の余熱があった。文化的にも80年代後半の延長線上という感じである。
90年代の風俗といえば、1996年-1997年前後の女子高生・コギャルブームのイメージが強烈である。この時代の高校生たちが、携帯電話のメールで日常のコミュニケーションをとるという生活スタイルを定着させた。CDや漫画、書籍の売り上げもこのころピークを迎えた。
1995年までは人々のファッションや髪形などもいかにも古臭い感じであるが、1996年から現代に近いものに変化していき、1998年以降の映像は今見てもそれほど違和感がない。日本の大衆文化がこのころ成熟を迎えたことが伺える。
テレビゲームの売り上げも最盛期であり、ドット絵からポリゴンによる3Dゲームへと移り変わっていく時代に当たる。スーパーファミコン・プレイステーション・セガサターン・NINTENDO64などが激しくしのぎを削り、中でもプレイステーションは社会現象と言えるほどの絶大な影響を与えた。
パソコンが一般の家庭にも浸透するが、常時接続環境が一般的でなかったこともあり、まだインターネットサービスは成熟していなかった。
乗り物
自動車業界においてはバブル期のハイラックスサーフやパジェロなどのSUVブームを経て、オデッセイやワゴンRを筆頭とするミニバン勢が勢力を拡大。尚、当時はミニバンとSUVはひとまとめに「RV」と呼ばれていた。またこの頃からエコのことは叫ばれ始めるモノの人々の関心はまだそれほど高くなく、メーカーもまだ走り重視の広報戦略を採っていた。今でこそ「21世紀のカローラ」とも言えるほど売れているプリウスも当時は(ガソリン価格が安かったこともあり)環境保護に対する意識が高い人だけが乗る色モノ扱いだった。(もっとも、2013年現在多くのプリウスオーナーが求める「低燃費」はエコノミー目当てでありエコロジーに関心があるとは思えないが・・・)
鉄道の方は電車の制御装置vvvfが普及し始める。