概要
88星座の一つで、天の川の近くにある。トレミー48星座の1つ。
紀元前1200年頃から知られている非常に古い星座で、わし座のアルタイルの北東にある。
4等星と5等星で出来ている暗めの星座だが、周囲には星が密集している為発見は容易。
神話
ギリシャ神話によると紀元前7世紀の詩人アリオンがシチリア島や南イタリアの音楽会から故郷に帰るために一隻の船に乗り込んだ。
しかし音楽会で優勝した事でアリオンが手にした多額の賞金に目がくらんだ船員たちは、沖に出た途端アリオンに武器を向け、金を置いて海に飛び込むよう迫った。
武術の心得の無いアリオンは仕方なく応じ、死ぬ前に琴を弾かせてほしい頼んだ。船員たちが了承し、アリオンは船の穂先でこれまでになく心を込めた素晴らしい歌を演奏した。
するとイルカの群れが集まってきて、アリオンの歌にじっと聞き入っていた。
演奏を終えたアリオンが潔く海に飛び込むと、集まって来たイルカたちはアリオンを救い出して背中に乗せ、コリントスの港に運び無事アリオンは故郷に帰る事が出来た。
このイルカたちの行いに感動した神々は、彼らを夜空に挙げて星座にしたと伝えられている。
一方アリオンを裏切った船員たちはコリントスの港で逮捕されている。
またいるか座になったイルカたちはコップ座の伝説に伝えられている酒の神バッカスを誘拐しようとした船員たちが姿を変えられたもので、罪を償うためにアリオンを助けたともいわれている。
これ以外にも、『カタステリスモイ』では海の神ポセイドンとの結婚を拒み、逃げ出したアムピトリーテーを探し出して連れ戻したイルカを記念したものと書かれている。
星図では現実世界のイルカとは全く異なる姿で描かれている。ポセイドンは鯨に似ても似つかない化け鯨を使役しているが、このイルカもその類なのかもしれない。