ジャイアン「今度こんなことしたら、命がないと思え！」
概要
てんとう虫コミックス38巻及び、藤子・F・不二雄大全集15巻に収録。
この伝票に仕返ししたい相手の名前と仕返ししたい内容を書いて道に捨てておくと、それを拾った人が代わりにその仕返しをしてくれる。
ただし、仕返しを実行するには暴力を振るわれた際に、その場での具体的な被害を細かく覚えた上で嘘偽りなく伝票に書かなければならず、嘘の内容を書いて拾わせた場合その拾った相手から殴られるハメになる。
また効果があるのはその日に被害に遭った分だけであり、昨日殴られた分などを記入しても嘘と見做される。
一度この伝票を拾ってしまえば、拾った人間の意思を無視して強制的に仕返し相手の元へ向かわされて書いた通りの仕返しを実行してしまう。それは伝票を書いた本人が拾った場合でも容赦なく効果を発揮する。拾った相手から伝票を奪い取れば効果は消えるがもちろんそれをやれば伝票を手にした人間に効果が移る。
使いこなすにも結構癖が強い道具であり扱いが難しい。色々な意味で危険なひみつ道具の１つでひみつ道具の扱い方に定評があるのび太を以ってしてもうまく扱えなかった。
まあうまく扱えたら扱えたで人道的な意味でかなりヤバい道具だが。
のび太は「ぼくにぴったりの道具」と情けないにも程がある評価を下したが、ドラえもんは「ずるくて卑怯な道具」と酷く嫌っており同時に「一度使ってしまえば悪癖がついて使うのをやめられなくなり、下手をすれば世界一の臆病者になりかねない」と言う理由からのび太に使わせる事を頑なに拒んでいた。
のび太はドラえもんがデートに出掛けた隙に持ち出してジャイアンへの仕返しに何度か使用したが、自身のミス(昨日殴られた分を書いた伝票をスネ夫に拾わせて自分が殴られる、先生の目の前で伝票を落としたせいで注意されてしまい自分が拾うハメになる、静香が拾った伝票を奪い返して自分に効果が移る)も重なっていずれも目論見は失敗に終わっている。
ドラえもん「これからおそろしいことがおきるけど、ぼくはとめないんだ。たまにはいい薬になるだろ。」
最後の最後までドラえもんからは全否定だったしかえし伝票だが、たとえ意気地無し、臆病者のレッテルを貼られようともいじめっ子やパワハラ上司に同じ苦しみを味合わせてやりたい今時の人にとっては喉から手が出るほど求められる道具だろう。
伝票を拾わせる相手によってはそれこそ確実な解決に繋がる可能性もある。
今では考えられない事だが、「いじめに負けたくなければ強くなれ」みたいな言い分がまかり通っていた時代があったのである。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版
- 1986年10月24日放送。
- 冒頭でドラえもんはタケコプターで買い物から帰る途中、自分に向かって勢いよくボールが飛んできたので、とっさに回避し下を見るとジャイアンたちが野球をやっていた。そしてドラえもんはのび太がメンバーにいないか見渡したが、いなかったので、「いるわけないか。のび太君がいたら勝てるわけないもんな」と納得し帰っていった。
- ドラえもんは帰宅後、ママに買ってきた物を渡すと、のび太を見なかったかどうか聞かれたので、見なかったと答え探してこようかとも提案したが、そのうちかえってくるでしょうと返され、お駄賃としてどら焼きをもらっている。
- そして部屋に帰ると、漫画を読んでいるのび太がいたが、野球なんかより本を読んでいる方がいいと主張し、ドラえもんが「スポーツの秋なのに」とつぶやくと、読書の秋って言葉もあると言い返して、ドラえもんもこれには納得してのび太に謝り、先ほどもらったどら焼きを食欲の秋と言ってほおばっていたが、そこに未来デパートから宅配便が届いた。
- 宅配便が届いてからしかえし伝票の恐ろしさを説明するまでの一連の下りはドラえもんとのび太の問答が原作に比べ多く交わされており、ドラえもんをデートに誘いに来た雌猫の名前はタマだった。
- のび太はしかえし伝票を持って外出すると、まず空地に立ち寄っているが、誰もいなかったので、先に進んだところ、ジャイアンに出くわした。そしてジャイアンはのび太に元気かどうか尋ねる以外にも先ほどの野球での自分のファインプレーも見せたかったが、今度はもっとすごいのを見せてやると言っている。
- ジャイアンはのび太を2回目にボコボコにした際、「今度こんなことしたら溝に突き落として踏んづけてやるからな！」と言い放っており、つきたおしは1回しかやっていない。また、のび太のもとに通りかかったのは、目元をフードで隠したボクシングの選手らしき男性だったがしばらく伝票を見つめた後で黙ってスルーした(あと男性が通ってる間はロッキーっぽいBGMが流れていた)。
- 最後にはドラえもんと一緒にいたタマちゃんものび太の身を案じていたが「君が心配する気持ちはわかる。でもあれだけ言ったのに聞かなかったのび太君が悪い。さあ、これから恐ろしいことが起こるけど見ちゃいけないよ…」と原作に比べドラえもんの台詞がのび太を心配しつつも心を鬼にして突き放すと言った感じになっている。
水田版
- 2015年4月17日放送。
- 冒頭でのび太とスネ夫はいきなりジャイアンにボコボコにされ、2人で一致団結してジャイアンに殴りかかったが、スネ夫は直前で殴るのを止めたため、のび太のみが殴られることとなった。そしてのび太は帰ってドラえもんに泣き付くと、ドラえもんはかなり協力的な態度をとっており、のび太が仕返しのための道具をねだると、普通の消毒薬や包帯を出してやり返してこいを言うが、のび太はそうではなく、自分は何もせず楽にやり返しがしたいと言ったため、ドラえもんはやるなら正々堂々とやれと言い放つが、のび太はこれでしょげてしまい、そこに未来デパートから宅配便が届いた。
- のび太はしかえし伝票を持って外出して、最初にスネ夫に会っており、先ほどの件を蒸し返すが、「のび太が間抜けなんだよ。ベー！」とバカにされたため、しかえし伝票を使用した。そいてこれを大柄の強面の男性が拾ったが、これに書いたのがアッカンベーのみだったため、スネ夫もこれをされただけで、大した被害には合わなかった。
- のび太はしかえし伝票に書いた嘘の被害には足蹴りも追加され、これを拾ったはる夫がのび太に足蹴りを食らわした。
- その後のび太はジャイアンを怒らせようとしたが怖くてうまくいかず、それから空地の土管で昼寝をしているのを見つけ殴ろうとするが、直前でドラえもんの言葉を思い出し、仕返しの無限連鎖が起こることを悟って止めようとしたが、不意に突きだした拳がジャイアンの顔に当たってしまいボコボコにされ再び仕返しをすることにした。
- 今回は先にガタイのいい男性に拾わせようとして自分がジャイアンに拳骨17発、足蹴り13発の被害あってから再びしかえし伝票を使用したが、そこに先生が通りかかってしまった。このため、この次にジャイアンにボコボコにされた際はげんこつ27発、足蹴り23発、つきたおし11回の被害にあい、再びしかえし伝票を使用し、そこに先ほどとは別のガタイのいい男性が通りかかったが、角を曲がっていってしまい、友達の家から出てきたしずかがこれを拾ってしまった。
