概要
福井県坂井郡地方に伝わる妖怪で、雪や霙(みぞれ)の夜道を歩いていると「びしゃびしゃ」と音をたてて後ろから付いてくるという。
夜道の怖さを体現したような妖怪であり、べとべとさんと類似した存在である。
「ぴしゃがつく」とも表記される。
京都府京丹後市大宮町五十河にも同様の怪異が伝わっており、こちらは「ピシャどん」という。雨の降る日に西山の百合道を歩いていると黒い衣を着た小坊主のようなものが後ろから「ピシャピシャ」と音をたてて付いてくる、足を止めると音も消え、小坊主もいなくなるという。
創作作品におけるびしゃがつく
妖怪ウォッチ
水木しげる作品
- 妖怪画
水木しげるのデザインしたびしゃがつくは「ひょうたん型の黒い体に一つ目があり、足元が根のように枝分かれしたびしゃがつく」と、「楕円形の体に縦にタコの吸盤のようなモノが付いたびしゃがつく」の2種類が存在する。
前者のびしゃがつくは1983年発行の子供向け妖怪本「妖怪おもしろ大図解」にて体の構造が詳しく描かれており、「マイナス150度の体温の体を持ち、靄(もや)で姿を隠す」、「脳から『霊気』(冷気ではない)を出して相手の脳へ刺激を与えて恐怖を高めさせる」、「人の心臓の鼓動の音を集めて食べる」、「下の枝分かれしてる触覚で冷気や魂を吸い取って体内で新しいびしゃがつくを生成する」……とかなり恐ろしい設定が盛り込まれている。
後者は5期鬼太郎ED『ウラメシ夜』の水墨画風イラストの中に姿が確認できる。なお、全年代通して未だに本編には登場していない。